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(公社)日本柔道整復師会 第41回九州学術大会大分大会 開催

2012/08/01

去る2012年7月16日(祝)、レンブラントホテル大分において公益社団法人日本柔道整復師会第41回九州学術大会大分大会が開催された。前日の7月15日18時30分から行われた開会式で学術大会長の公益社団法人日本柔道整復師会・萩原正会長は〝数日来降り続けた豪雨による九州北部の被害に心からお見舞い申し上げます。柔道整復師の歴史は古く今日まで継承してきました。本年度から保険部介護対策課より「柔道整復師と介護保険」と題してランチョンセミナーが行われます。これまで、本学術大会で発表された数々の研究成果は、地域医療の現場で大きく貢献しており、明日の学術大会で多くを学べると期待しています〟等、述べた。

主管県である(社)大分県柔道整復師会・加藤和信会長は〝開会直前にかつてない大雨に見舞われ皆さんからご心配の電話と励ましのお言葉をいただきました。被災された方々にはこの場を借りてお悔やみ申し上げます。本大会は日本柔道整復師会が公益法人の認定を受け九州で開催される最初の学術大会です。振り返ると前身の九州ブロック学会第1回大会も大分県から始まりました。本年は県都大分市誕生101年の節目の年であり、記念すべき年に主管できることを会員一同喜びと同時に責務を感じる次第です。多くの方々のお陰で実りある学会になると確信しています。多くの収穫を持ち帰ってください〟等、挨拶。

大雨による被害で多忙を極める大分県知事・広瀬勝貞氏もかけつけ〝このたびの集中豪雨、九州各地に大きな傷跡を残しました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに被災された多くの皆さんの一日も早い復興を祈りたいと思います。皆様方には住民の保健・医療・福祉のためにご尽力をいただき心から敬意を表し感謝申し上げる次第〟等述べ、挨拶で敬意を表された。続いて来賓を代表して、衆議院議員・岩屋毅氏、参議院議員・衛藤晟一氏らが挨拶を述べた。

 

足関節捻挫「足関節ねんざの新しい考え方」 と題して田渕整形外科クリニック院長・学校法人 花田学園 東京有明医療大学客員教授 田渕 健一氏の特別講演が行われました。

田渕氏は、〝たかだかねんざ、されどねんざ。ねんざの重症度は2週間程度で治る軽症と、4週間かかる中症及び6週間以上もかかる重症の3段階あるとされている。選手はいつから練習ができるかを知りたがる。最初の診察で重症度を見極めることが大切である。痛み、荷重して歩けるか、可動域制限の程度、腫れ皮下出血の程度は大事であるがこれだけでは診断出来ない。少しでもこの診断に役立つように私の考え方を反省をこめて解説させていただきたい。腫れや痛み、歩けるか歩けないかは目安にならないという事がまず出発点である〟と話した上で、スライドを用いて足首・足関節捻挫の診察法・整復法・固定法等について解説。圧痛により足関節以外の足部外側の靭帯である脛腓靭帯、二分靭帯、背側踵立方靭帯、また第5中足骨基部の損傷でない事を確認し、前距腓靭帯(ATF)の損傷による前方引き出しを診る。しかし、この靭帯の損傷による緩みは、前外側回旋不安定性と修正することが必要である。診察時に足関節が亜脱臼のままだと緩みが証明出来ないので、整復してから証明する必要がある。この整復は距骨の内方のすべり、踵骨の外側を後方に滑らすことによりなされる。踵腓靭帯(CF)損傷の内反動揺性も診察する。

また足関節の診察法にはA.仰臥位(仰向けで寝た姿勢)B.側臥位(横向きで寝た姿勢)C.腹臥位(うつ伏せで寝た姿勢)D.座位(座った姿勢)E.立位があり、可動域の診察は、伸展・屈曲し、回外を入れないようにまっすぐ行う。左右差をcmで記録する。屈曲時の痛みの場所も観察、腫脹の場所も観察する。前脛骨筋、長母趾伸筋は足を背屈するが回内するので捻挫を予防出来ない。長趾伸筋と第3腓骨筋の筋腹は一つだからToe Extension が捻挫の予防に役立つ。さらに圧痛点の違いを見極めることが大事だとして、足関節捻挫の外側の圧痛点には①前脛腓靭帯②前距腓靭帯(ATFの長さは7mm)③踵腓靭帯、内側は④内果先端の衝突性の痛みがともなう。足関節捻挫の外側の圧痛点は外側①Y靭帯②脛腓靭帯③背側踵立方靭帯裂離骨折を伴う)☆第五中足骨基部⑤底側踵立方靭帯⑥距骨下関節などがある。

足関節、距骨下関節の亜脱臼が無いか、足関節のみならず距骨下関節(踵骨、舟状骨)の総合的な亜脱臼だと腫れや皮下出血は軽度で骨折が無いのに痛くて荷重できない、動かせない、歩けない。足の変形は軽度で全体に内反すなわち軽度底屈、踵部内転位である。この時足全体の亜脱臼と考え整復を試みる。整復法としては凸なる方を凹面に滑らす。まず舟状骨と距骨を、次に足外側を回旋させながら後ろに落とす。この操作により捻挫なら痛みが軽減しすぐに足を着いて歩くことが出来る。捻挫後の可動域制限は、外果周囲の腫脹および後方に皮下出血を認める。亜脱臼のため底屈、背屈ともに制限あり。やや足内転、踵骨内転を認める。徒手整復により可動域を改善する。舟状骨に対して距骨の頭を内側に滑らせ滑車を背屈させながら外旋させ後ろに落とし込む。

 

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