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(社)岐阜県柔道整復師会・橋本会長、「傷病名問題」を語る!
―二次審査を外部委託する保険者が急増しています。防止策等があればお聞かせください。
適正化への取組みについての通達通り、外部委託及び返戻の留意事項の徹底を強くお願いします。柔整師全体が不正集団扱いされるような文面が目につきますが、真面目に日々の施術をしているものにとっては迷惑な話です。我々柔道整復師ももっと自浄努力をして足元を見つめなおす必要があると思います。個人請求団体が外部委託業者を兼ねていることは公平性に欠けると思います。今回の通知内容は事務の委託を代行するだけで、業務委託はよいとされていないのですから返戻等は一切しないことになっています。しかし、現状は委託をしてしまっており、それはいけないということが書かれていますので、そのように持っていってもらいたいと思っています。
―最近は、柔整師自身が、グレーとされていた「傷病名問題」について明らかにしていきたいと言われ始めておりますが、実際はどのように医療者である柔整の業務範囲として医学的に疾患名を追加させるお積りでしょうか?また柔道整復師法に添った傷病名というのは、どういった傷病名でしょうか?
柔道整復師の取り扱う業務範囲に医学的疾患名を追加することは、現時点では不可能と思われます。それどころか現状維持も危ぶまれる昨今、まず現法の中で理論の確立、エビデンスの確立が必要と考えられます。そのことを広く認知して頂き、例えば傷病名に急性、亜急性を付けること(急性○○捻挫、亜急性○○挫傷)により、受傷原因との整合性を高めてはどうかと考えます。また今様々な研究機関でデータ解析を行っている最中ですから、急性・亜急性についてもちゃんとエビデンスを示して理論を確立出来ると思っています。しかも骨折の症例について、同じ年齢で同じような骨折で、片や手術を行う、片や徒手整復を行う、そして仮骨というか、新しい骨の付き具合を両方ずっと経過を追って調べていって、予後における機能障害的なもの、或いは最新の予後がどういう状況か等について非観血療法と観血療法の有意差について、この時期までは非観血のほうが有意である、この時期からは手術・観血療法のほうが有意であるといった研究を時間もかかりますが、大きな研究所なら出来そうな気がします。やはり同じ条件でという訳には中々いかないと思いますし、沢山の症例は出来ないにしても、我々が完璧な整復をして固定をすれば手術より優るということを立証してほしいと思います。勿論金額的にはかなりの有意差があるので、立証していただければ、我々の前途は明るくなっていくと思います。
―医師がいわれている急性・亜急性と柔整師がいわれている急性期・亜急性期という意味が異なることを理解されているのは恐らく柔整師の先生方だけのように思います。オーバーユース等の疾患を扱ったデータの解析は可能なのでしょうか?
医師の急性、亜急性は主に時間を示すもので急性期・亜急性期と「期」がつきます。それに対して柔道整復師の急性、亜急性は損傷時の「力」を示しています。しかしながら医療でいうところの「疲労骨折」は「一度では骨折に至らない程度の力が骨の同一部位に繰り返し加わることによる骨折」であり、亜急性の定義は「反復あるいは持続される力によってはっきりとした原因が自覚できないにもかかわらず挫傷が発生する」ということで、繰り返す外力という考え方が近似しています。多少語弊はありますが「疲労性」イコール「亜急性」と考えれば理解しやすいと思います。又、データ解析に関しては柔道整復師の業務範囲内の傷病であれば可能です。
―支給・不支給については、保険者次第であるとされていますが、それについて如何お考えでしょうか?
保険者の大部分は医学的柔整的に知識の少ない方々が行っているためマニュアルに沿った一方的な不支給となっています。やはり被保険者さんが困って来られますので、その辺の聞き取りを誘導尋問的にかけておいて一斉処理をするようなやり方はされないで、不支給にするには相当の調査と相互の理解が必要とされると思います。大事なことは、被保険者さんが接骨院に遊びに行っているのではなく身体的苦痛を取り除いてもらおうと思って一生懸命通われたものが却下されたのでは困ります。その辺のところはフェアにやって頂きたいと思います。専門的な知識をもってない方が調査代行業務をされるには、相当の研修が必要と思います。一方、業界の対策としては各県社団にプロジェクトチームを配置する必要があるかもしれません。