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(社)岐阜県柔道整復師会・橋本会長、「傷病名問題」を語る!
―近年不正請求等の問題でマスコミに叩かれておりますが、その根本的な問題は、何であると思われていますか?
第一の要因として養成校の乱立により、柔道整復師が急増し資質の低下と倫理観の欠如が起き、当然の様に過当競争が起きたこと。柔道整復師が行う内部審査、保険指導を受けない個人契約者が増えたことが第二の要因です。第三の要因としては、生活困窮者や将来に不安を抱く柔整師が多く、稼げる時に稼ぐ的な利己主義な考えを持つ者がいる。やはり柔整師がもう少し自分の足元をよく見ないと、まともにやっている柔整師と野放しの柔整師とが居て、社会的な信用がなくなってしまったように思います。良いところは目につかないが、悪いところだけが兎に角目について、これほど多く学校が出来てしまって、毎年柔整師が5000人誕生するとこれはどうなるのかと前から心配されてきたことです。こんなにも多くの柔整師数は、絶対に必要とされていない数です。1000名位が丁度いい数で、裁判に負ける前はトラブルもあまり無かったんですが、これほど大量に出てくるようになると、柔整師は不正ばっかりしているという風に言われてしまうことになって、我々を必要としない風潮になってきています。インターネットの爆発的な普及に伴って、特に広告等の制限が厳しくないこともあり、やりたい放題、すき放題なことを書かれているようです。その辺のことも、規制できるようにして欲しいと思っています。現在、保険財政が悪化している中で、柔整療養費に関して一人ひとりの個人請求者に支払う療養費の振り込み手数料が膨大になっています。そこでそれらの個人請求についても社団が一括して行うことも検討されており、可能であるとされております。そうなれば保険者さんの負担はかなり軽減されることになりますし、こういったことは公益社団であるからこそ出来る仕事であると思います。
―これまで日整と保険者間の協定では、問題は起こらなかったと聞いておりますが、それは何故なのでしょうか?
日整傘下の各社団では内部審査、会員指導を実施することで自浄努力を行っており、行政の指導を真摯に受け止め法令順守の精神が会員に備わっていたためと考えられます。社団の組織率が低下して次々と新しいグループや個人が誕生し、中には行政に対し高圧的な態度で接するグループも居ると聞いています。何か言っていただければ納得のいくように話をする、会員にも納得のいくように話をするという、所謂緩衝材になってきた訳ですが、最初から敵対という感じのグループがあり、役人さんはそういうのを嫌います。そういうことが頻繁にあるようであれば、我々が築いてきた信頼を根底から崩してしまうことになり、益々生きていくことが難しくなるような、お互いの立場が尊重されなくなってきてしまうということではないかと思います。
―今様々な問題が取沙汰されるようになったのは、個人請求者が増えたこと、つまり養成校の乱立が背景にあり、一方保険者財政の悪化があるかと思います。橋本会長のご見解をお聞かせください。
先の質問でも述べたように様々な要因の一つに養成校の乱立や個人契約者の急増があると思っております。しかしながら柔道整復師はその歴史の中で「開業権」、「受領委任払い」に胡坐をかき、より強固な制度の確立に努力してこなかったことが現状を招いてしまったと思います。養成校の乱立の状況というのは、昔観たSF映画で、例えば『黒い絨緞』とか、あとタイトルは忘れましたがネズミが大量発生したり、バッタが地球上の生物を全て食べ尽くしてしまうような勢いで大量発生して、最後には海にドーッと飛び込んだり、火の中に入ったりして滅びていくんですが、それは自壊現象といって自らを滅ぼす現象だと思います。柔整は今そういう状況にあるのではないかと感じています。作るだけ作って、不必要なものが増えてくれば当然共食いもできてくるでしょう、自分で辞めていく人もいるでしょう。ネズミやバッタとは違うにしても何かそんな気がしてなりません。従って、何がなんでも認定柔道整復師制度というのは必要と思っていますが、ただこの認定制度は国がある程度力を貸してくれないと出来ないことです。保険財政がこんなに悪化している現状なので、例えば、我々は小型免許の小型トラックで、お医者さんは大型免許の大型トラックだと思います。大型トラック一台買うととんでもないお金がかかりますし燃費もかかります。そういう所でやらなければならないものは確かにありますが〝小型トラックの小型免許で運べるものは、小型で任せてください〟と。残念ながら接骨院の良さは、経験をした人でなければ実感は分かりません。柔道整復は無害です。人間は本来どの人も治癒能力を持っているため、それを上手く引き出してあげることが我々の仕事だと思います。医療財政の安定化にも我々は貢献し続けていると自負してきた訳ですが、国はそういう風には認識してくださらない。患者さんは我々の接骨院にきて〝楽になった〟ということが頻繁にある訳です。従って『やむを得ない理由』を「整形外科で治療して貰えなかった場合」としていただけると現実的であると心の中で思っています。〝我々でやれる仕事は我々に任せて下さい〟、そしてドクターに相談をしながら仲良しでいけるというのが一番の理想です。