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「患者と柔整師の会」主催、第7回保険者会議開催!

2011/11/01

柔整師側からは、先ほどの健康保険法第87条に関して是非聞いて頂きたいとして〝「やむを得ない場合」と言われたが、以前厚生労働省から発表された文書には「困難であると認める時」という一文があり、これが1998年3月の健康保険組合連合会発行の「柔道整復師の施術にかかる療養費適正化対策の実際」という冊子の中で「やむを得ない場合」だけの一文に切り替わっている。それ以前の厚生労働省の「療養費支給の手引き」には「やむを得ない場合」と「困難であると認める時」もきちんと明記されている。必ずしも「やむを得ない場合」のみの支給ではないというのが柔整師側の理解である〟とした補足説明が行われ、進行役の本多氏から〝健康保険制度というのは時限立法であった。取りあえず現物給付をして保険医療機関に行わせる。しかし十分に医者がいない時代にどうするのかということになり、それを補完する意味で療養費を償還するという制度を例外で作った。それは本来の道筋ではなく本来は保険給付、現物給付でやりなさいという中で「やむを得ない場合」と「困難な場合」だけに限定したものである等、解説。また、柔道整復師というのはずっと古来から行われてきたが、当時日本には整形外科医がなかった。戦後の昭和40年頃から整形外科医が現れた。それまでは全部柔整師が「骨つぎ」としてやってきた。この柔整師を医療に入れると西洋医学を中心に作った医療体系がおかしくなるため、医療の外に置きながら医療と同じ仕事をさせるという矛盾した制度を作った。柔道整復師に療養費償還払いの受領委任払させる方法をとることによって、「やむを得ない場合」や「緊急な場合」として柔道整復師を例外的に外し、協定を結ぶことで取り扱うことになった。今まで日整さんと保険者の間は協定でうまくいっていた。しかし厚生省が〝個別契約でも良い〟としたところから大混乱が始まった。もう一度あの協定の時のルールと近いものを作り直したらどうかというのがこの提案である〟と受領委任払い制度が出来た経緯と試案の根底にある考えを示した。

 

◇保険者会議後半は、支払機構と審査基準指針について、主催者側から資料等の説明が行われた。指針には2つの特徴があり、1つは骨折、脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった所謂外傷性の疾患等については部位別請求で行う。もう1つは、非外傷性(慢性的な非外傷的な障害等)のものについては、部位は関係なく定額で行うという考え方である。(今回示したものはあくまでも指針であり、支払機構の委員会で作成することになる。)  

また非外傷性のものという新しい捉え方を示した理由として〝保険者は非外傷性のものは柔整師の治療対象にしてはいけないとの考えが強く、外傷以外はやってはいけないとしている。しかし現場は違っており両者が建前論を言っている。現場は治して欲しいという患者がいて治している。現実の臨床現場を踏まえ、実態を公に取り上げ、それを規律した方が生産的である。非外傷性を扱っていなければ良いが、実際は扱っている訳で、これに歯止めをかけようというのが非外傷性に対する基準の指針であると説明。更に本多氏は、自身のことに触れ、〝腰痛持ちで肩こり症、特に目が悪いので非常に辛い。そういう私の疾患に対して傷病名を付けられるのか。捻挫でも打撲でもない。無理矢理傷病名をつけるからおかしくなる、傷病名をつけないと治療はできないのか。傷病名に拘るから無理した傷病名を書かざるを得ない。傷病名は書かなくてよい、そのかわり治療の範囲・部位・程度を記し、発生機序もしっかり明記する。負傷の原因が違う部位が原因であるとすれば、その部位も追加した形の請求になるため、非外傷性のものは部位別請求を行ってはいけないとする。また、生活障害という文言について、痛みにも疲労による痛みと生活障害を伴う痛みとがあり、慰安行為と区別する、等述べた。ただし、この「非外傷性」という言葉が漠然としすぎて乱用の余地を残すのではないかという懸念があるため、この辺の絞り等はできないかとした質問に、柔整師のK氏は〝非外傷性というと範囲が非常に広くまとまりがない。我々が扱っているものの中で、坐骨神経痛や五十肩は非外傷性ではないが柔道整復師の徒手整復になじむ疾患であり、治療方法や筋肉の回復訓練を行えば確実に治っていく「頸肩腕症候群」等に絞り込んでいけば理解しやすいのではないか〟と答え、「非外傷性」については、専門家の知恵を借りて具体的な表現を研究していく。回数制限については、柔整師と保険者で中々意見の一致をみないが患者会議の中で〝回数は制限をしないでほしい〟という患者さんも多くいた。