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アスリートからみる柔整業界【国士舘大学・中島タケシ 教授】

2011/08/01

―中島教授と柔道整復師の先生方とのお付き合いは長いのでしょうか?いろんなエピソードがあると思われますが、簡単に教えてください。

1978年、私が在豪中に日本からIJF教育ソリダリティーの仕事で清水正一先生(日本体育大学学長)および渡辺喜三郎先生(日本武道館理事)がご指導に来られた時にお目にかかり、帰国後、学生柔道連盟の仕事を介して清水先生(全日本学生柔道連盟会長)と再びご一緒する事が出来ました。その交流の中で柔道を志す一人として、柔道整復術を体得するもよしとのお誘いから、先生の門(日体柔整専門学校)を訪ね、1985年に入門、1988年柔道整復師国家試験合格・取得させて頂きましたのが柔道整復師の先生方とのお付き合いでございます。
特に柔整師の先生方とのお付き合いの中でも、東京有明医療大学橋本昇教授を始めとして、日本柔道整復師会や、東京都柔道接骨師会の諸先生方と国内外の学会活動であります。
その中での一番の思い出は、2009年、オランダ・ロッテルダムで行われた世界柔道選手権大会と同時に開催された国際柔道研究者シンポジウムに参加した時のことです。
学会終了後、日本柔道整復師会主催で小宴を開き、東京オリンピック無差別級チャンピオンでのDr,アントン・ヘーシンク氏(2000年国士舘大学名誉博士授与)をご招待し、また東海大学の山下泰裕教授も駆けつけて頂き、そしてIJFよりフランスのDr,ミッシェル・ブルース教授(ボルドー大学)、IAJR 会長Dr, マイク・キャレン教授、Dr,エメルソン・フランチーニ(サンパウロ大学)そして、そのスタッフ、Mr ,ディエゴ・スカートン・Miss,カトリーナ・マックドナルド(バース大学)・山田道夫ご夫妻(日本柔道整復師会代表)・本間琢英氏(日本柔道整復師会国際部員)・大西辰博氏(京都府柔道整復師会会長)・橋本昇教授(東京有明医療大学)・火箱保之教授(京都産業大学)・長尾淳彦教授(明治国際医療大学)岡田龍司准教授(近畿大学)・今野充昭氏(KLM航空)・川本隆司氏(東建コーポレーション)そして私を含めた総数17名、外国でしか出会えないメンバーでありました。特に、アントン先生からは昭和38年頃、来日当時の日本の歌謡曲を数曲披露して頂いた事が一番の思い出となりました。(アントン先生は、その翌年2010年8月27日享年76歳にてご逝去されました。)

 

―中島教授は、「大学柔道選手の基礎体力の評価尺度(その1)−正規性の検討−」ほか、数多くの論文を発表されておりますが、論文発表することの大切さをお聞かせください。

研究は研究者にとって、自分自身の裏付けであり、よって活学・実学研究者として、不可欠かつ重要な責務でもあると考えております。
私の主な学会研究活動は、スペインのオリンピック科学会議以来5回連続。国際柔道科学者シンポジウム4回。アジア科学会議6回。USA柔道学会4回。日本体育学会2回。日本武道学会20回。日本応用心理学会7回等々であります。

 

―柔道整復師にはこれまで学問が無いとずっと言われ続けておりますが、柔道整復師の学問体系を築き上げていく上で、重要と思われる研究等、中島教授からアドバイスがあればお願いします。

明治維新後、日本は鎖国から目覚め、急激に西洋諸国の波が押し寄せ、文明開化によって日本国自身、全てにおいて西洋色に染まりました。医学界においても然り、ドイツ医学が導入したことにより、従来日本で行われていた経験療法を活かした整復術も時代の波により隅に追いやられてしまいましたが、嘉納師範等の功績により、柔道整復師として活路を得ました。
臨床を主とする西洋医学と、経験療法を重きに置く柔道整復学を、常に研究研鑽を重ね柔道整復学の学術的体系を確立し、そして世界で開催されている学会等に発進せねばならないと考えます。