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特集

日本超音波骨軟組織学会 第25回東日本支部学術集会開催!

2011/05/02
Jリーグ東京ベルディ、Xリーグ鹿島ディアーズ、NEC陸上部のスポーツドクターとして活躍中の福島一雅先生(ライズシティクリニック 超音波画像診断センター センター長)による基調講演「超音波エコーで診るスポーツ外傷・障害」

福島氏は〝今日は「超音波エコーで診るスポーツ外傷・障害」というテーマで講演を依頼されましたが、ご参加の皆様は、以前から超音波に慣れ親しんでおられる先生方と思います。私はまだ超音波のプローブを触り始めて2年しか経っていませんが、2年位でこれくらいのことは診れるようになるんだなと感じて頂ければと思います〟と前置きし、1年半前に開院した池袋・サンシャインの下にあるクリニックを紹介、本論に入った。超音波に関する一般の方の関心が非常に高くなっており、なんで今更、整形外科でエコーをやり始めたのかというと、開院する前まで、東京ヴェルディの専属チームドクターをやっており、エコーをクラブハウスの中に導入。レントゲンが必要な怪我は1割に満たなかった。筋肉、腱、靱帯の損傷が多く、殆どがエコーで診断・治療できるような状況だった。エコーの長所は、選手と一緒に画像を観ながら説明することが出来るため、選手・スタッフと怪我の状況を共有できるのでエコーは非常に役立った。レントゲンでわかることは殆どなく〝他の整形外科に行ったがレントゲンでは特に異状はありませんと言われた〟という患者さんが多く来院される。エコーは、一緒に画像を示しながら治療ができて、患者さんにとって理解しやすいということで、注射をした後に五十肩の患者さんで、急に肩が上がるようになり治療に対して積極的になった。2009年11月にクリニックを開業し、最初は月間50例位だったエコーの件数が右肩上がりに増え、現在月200例~250例を扱っている。画像診断をする上で、整形外科ではレントゲンが当たり前のファーストチョイスとして用いられるが、2次元の画像なので、どっちが正面でどっちが側面なのか、半分くらいの患者さんはよくわかっていない。今は3D-CTが撮れ、多方面から画像診断が出来る、患者さんにも分かり易いが、被爆の問題が一番大きく特に成長期の子どもを検査する時には、親が被爆のことを気にするケースもあり、やり難い検査と言える。MRIは骨・軟部組織もよく見える画像だが、関連性に問題がある。例えば今日怪我をしてきた人で予約を取るとなると、明日・明後日にMRIを撮るしかなく、結局1週間後に数日前の画像を見るということで、リアルタイムに出来ないことが問題である。エコーは、患者さんが来たら、直ぐに検査を始められ、関連性では有用である。患者さんが見ている前で患者さんが痛いと言ったところ、症状があるところを診ることが出来るので、使いやすい。意外と整形外科のドクターはそういうことを知らなくて、何故エコーの画像が出来るのかということをよくわかっていない。私も2年前までは全く興味もなかったので、エコーとレントゲンとMRIの違いさえよく分からず、被爆しないことくらいしか分かっていなかった。物体が2つあると、物質のインピーダンスの違いによって、画像が構成される。その物質の違うところで音が跳ね返る時、それをデータとして信号を取って画像を出しているという当たり前のことを頭の片隅において検査をすると、非常に色んな事が理解しやすい。例えば3つの違う媒体があるところに、超音波を当てると、各層によって違った信号がきます。3層の組織が組み合わさって出来ている画像だということが理解できる、基本的なエコーの特性を知っていると非常に画像が理解しやすい。実際の臨床で、例えば筋肉を診る時に、何を目印に見つけていくか。筋肉のような均一なものの中に不均一なものは何かなと。あと受傷起点等を考えればこの筋肉の中の不均一な部分が肉ばなれではないかといったことが理解できる。あと1つは、連続の中の不連続で、白いところは骨で、ずっと見ていくと不連続な部分が出てくる。骨は連続性がなければいけないので、不連続なところは骨折ではないかと。私は整形外科医で、レントゲンも併用しているが、レントゲンで他の骨とかぶって見えないところはエコーで非常によく分かる。特に剥離骨折なんかはエコーのほうが解り易い。また、野球肘は、超音波が一番わかり易い疾患の一つで、離断性骨軟骨炎とか言われているが、主な原因としては血流障害と言われている。早期発見によって、予後が良好なので、野球肘の子どもを見つけた時には、すぐに投球をやめさせて治療してあげてほしい。今、取り組んでいる高周波温熱療法、サンライザ治療についての評価を説明。絶対に簡単な病気だからや安全だからということを過信してはいけない等、注意を促した。最後に〝今回の大地震と津波でまだ不自由な生活を強いられている被災者の方々がいらっしゃると思いますので、心よりお見舞い申し上げたい。今、私たちが何が出来るのかを考えると、こういう時期ですから整形外科医と柔道整復師の先生方が枠組みを超えて協力し合って社会の為に尽くす時ではないでしょうか〟と患者さん重視の考えを訴えた。