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◇柔道整復の危機と説明責任
『柔道整復が危機なのではなく、自らを説明できないことが危機』

2011/03/01

長野県 牛山 正実

「一体何が危機なのか」

接骨院や整骨院に患者さんが来なくなったのでしょうか?
保険者や他の医療職種、関係者から柔道整復師の皆さん頑張ってやって下さいと言われても、患者さんが来なくなれば、まさに危機です。
しかし近年の危機はその逆のようです。患者さんは来るけれど、保険者から様々なことを言われています。整形外科医からも言われています。鍼灸師も、更にあん摩マッサージ指圧師からも言われます。不正の塊のように言われます。
今までの柔道整復師を見ていると、そうしたことに対して殆ど反論していません。何を言われようと黙って静かに事が収まるのを待っています。今まで柔整はずっとそうでした。
反論しない美徳とでも言いましょうか、柔道整復に来てくれている患者さんをシッカリと治す手立てを誠実に続けていれば反論なんていりませんでした。
ただ、最近は少し心配です。少しぐらいは言われたことに対して間違っているならば、間違っていますとか、違いますとか、実際はコウですとか、言ったほうが良いのではないかと思うのです。これからはむしろ言わなければならない時代になったと思います。

 

「外部関係者への説明」

最近、民主党に政権が変わってからは、小委員会というところで議論がされており、しかも公開の場ですので、内容が分かり易いという点ではとても良いことだと思います。
そうした場所で、柔道整復の社会的な役割や内容をシッカリと説明していただければ、理解していただけると、そう思っています。
但し「からだサイエンス」の第4回の保険者会議の記事をみました。それからしますと、柔道整復の良さを説明できているとは思えません。
すくなくとも、保険者には全く伝わっていない。保険者の担当者が医学的な臨床にまで踏み込んで様々に指摘していますが、それに対してなんら説明していない。そんな印象を持ちました。

 

「インフォームド・コンセント」

インフォームド・コンセントは、今日の医療において当然の概念のひとつとなっています。それによって患者は自らの医療について自己決定を行う権利を有しています。そのため柔道整復師が患者を診察したときは直ちに患者本人に対して病名を含めた診断内容を告げ、当該病気の内容、今後の推移、およびこれに対する治療・処置の目的、内容、実施した場合やしない場合の危険・利害得失、代替の有無などを患者が理解できるように易しく説明し、その上で患者の自由な意思に基づく同意すなわち「インフォームド・コンセント」を得ることが不可欠です。
ところが、この説明責任は、患者さんばかりでなく、保険者などに対しても一定の説明責任を柔道整復師は負っていると考えられるようになってきています。

 

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