柔整ホットニュース

特集

シリーズ第8弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/11/01

3.全国決済制度について

この問題は1、の項目と当然リンクする問題でしょうから、共に同期して考えるべき問題と考えますが、ただ思いますには、この制度構想は打ち出したからには机上の空論で終わらせないことが必要です。これについては、柔整業界全員の意識改革も必要であるだけにとどまらず、「IT化等の一層の導入」というのは、「意識改革」以外の部分・・テクニカル面での緻密なプログラム設計が必要になります、そしてそのシステムを監視・管理する機構もなくてはならないでしょうし、具体的にコンピューター導入といった流れに対してどうしても歩調を合わせられない人たちの存在を切り捨てるような冷徹なシステムであるのもいけないと考えます。デジタルの効率性のみが認められ、アナログはいっさい排除される世の中はけっして我々にとっても住みやすい世界ではないと信じます。

 

4.疑義対策について

これについては、私見ですが、やはり、我が国が世界の誇る「健康保険制度」は、全体が「性善説」に基づかれ全体が稼働する事が理想であろうと考えます。
しかし、「健康保険制度とは誰のものか」と問うなら、言うまでもなくそれは、病院や製薬メーカー、ましてや柔整業界のために存在する筈もなく、目的及びその主体は「市民」のためのものに他なりません。従来柔整業界においてはこうした疑義についてのマスコミの記事等が問題となるたび、必ずのように出てくる文言は・・「職業倫理の一層の確立」とある意味で「全体目標」が叫ばれました。しかし、今の社会状況で鑑みるなら、このスローガンの提唱のみで済まない事はあきらかでしょう、必要なのは概念等ではなく、具体的な実行策です。疑義問題の具体策には当然、疑わしきを摘発し罰するといった「懲罰」も必要で、そのため一種の「検査システム」を構築し、それが稼働する事は、我々業界内の圧倒的多数の「正しき柔整師」にとってけっして忌み嫌うべきことではないと思われます。ですが同時に、不安要素としてこうした摘発・懲罰のシステムが、取り締まることのみを目的とし、次第に暴走しないと云う保証はどこにも有りません、お互いが疑心暗鬼となり信頼関係を失くした状況で、果たしてより良い施術が出来るか?と考えるなら、未来への明るい希望が持てません。
疑義対策の必要については、総論については反対する要素はなにもありません、が、実際に疑義対策のシステムが稼働するとするなら、そのシステムに我々は、業界を飛び越え 国民のひとりひとりとして、よくよく注視と関心を持ち続けることも必要でしょう、監視する者が絶対で、監視される側の者はひとことたりとも抗弁できない状況を作り出してはいけません。そのためには、現行のように、役所が業界の公益法人関係者に通達をするなら、その業界への通達は全て完了という従来の手法を踏襲されてはある意味たまりません、役所も業界の公益法人も是非とも、その公益責任の名において、他の適正な業界の任意団体とも同じテーブルで意見を交わす事に消極的な姿勢は是非とも改めていただきたい。業界は従来のいきさつや固定概念を捨て、少しでも共通したピースを見つける努力をするべきだと思いますし、それが今後この業界を担っていく若い層に対する責任だとも思います。
一方・・・一時は連続記事体制を敷いたはずの有力新聞ですが、(期待するほどの社会よりの反響に乏しかったという風のうわさも聞こえておりますが)現状としてフェイドアウトした様相なのは、当会JBとしては逆に残念な思いです、追及をひたすら恐れ逃げ隠れるではなく、まず問題の根源を掘り起こす意味において、この業界にはじめて社会のスポットが当たったと考えましたが、マスコミも売上げ部数等の諸事情から解放されないものなのかと思うと複雑なる心境です。
また、民主党の統合医療を普及・促進する議連の「柔整小委員会」の発足にも、業界人として、また国民のひとりとしても期待しました。良い意味で未だ発展途上な若い委員会ですから、今の段階で良い悪いを断定するのは早計だと思います。ですが、この若い筈の委員会が、若干弾力性を失い、一部の牽引者に付和雷同的に導かれているとの情報もありますし、また一業界人によるロビイスト活動のうわさも伝え聞くところであります。ようやく確立した業界への協議機関です、かかわる全ての人が、特定の利害にとらわれない善良なる活動をなす事を業界の人間として、また国民のひとりとして切に望みます。
ある意味で「囁かれ続けている」、柔整診療の受領委任払いの撤廃問題ですが・・・、
自分がこの業界の人間だから言うのではありませんが、本当にそれを実行したならば・・・正直我々業界もそれは困るでしょうが、それよりももっと、対処不可能ともいえる混乱に陥るだろうは、各保険者サイドに他なりません。
現在の受領委任払いが、今度は治療を受けた患者当人による償還払いへと移行したならば・・・、おそらく保険者の業務はパンクします。これは駄法螺ではありません。
現在公益社団各支部に属する柔整師、団体として活動実績とその機構、財源を有しある程度以上の構成員を有する任意団体の柔整師を足すならば、かなりの%として柔整師がこの部分に占められます。各保険者は団体を1つの窓口にして総額を一括で送金処理するなら作業は終了します、それが・・・今度は、全国各地で接骨院・整骨院で治療を受けた膨大な数の【個人】に対して1つ1つ審査をして送金処理を行わなくてはならないわけで、どう考えようとも、そのような事は非現実的であり、かつ不可能だと思います。
情報として掴んでいるものとして、現在さえ多くの柔整師団体、それに加え完全に個人請求柔整師へのレセプトの送金処理に頭を悩ませる保険者は数多く、その事が、患者宛に保険者調査を代行する機関の需要(送金処理と患者調査業務の一体化)を生み出したといううわさです。しかし、聞くところによれば、代行調査会社最大手のG社とても、思うほどの利潤は上がらず苦闘しているという由で、思うに・・・現行のシステムが少なからず制度疲労を起こしているのは違いなく、現行制度の上であれこれと策を講じても、もはや業界の内外、誰ひとりとしてそれにより得をしない構図の中あえいでいると言ってもあながち外れてはいないかもしれません。この現状を打破するためには、今の柔整師制度を固定概念に囚われず抜本改革し、ひとつの例として、「開業のための免許」と、「保険請求できる免許」を分けるといった方法論等を真剣に検討する必要があると考えます。
それが当会が現在推奨し取り組んでいます「認定柔道整復師制度」の骨格です。