柔整ホットニュース

特集

シリーズ第4弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/08/16

5項目の提言の3番にあげられております「全国決済制度の導入について」。全国決済制度の導入に関しては「請求方法の統一」が前提となるようですが、これについては当然効率が求められるため、保険者にとっても柔整にとってもメリットがあることと思われます。この件に関して何かアドバイス等があればお聞かせください。

療養費の全国決済制度、すなわち発生地審査、発生地支払いとは全国どこの都道府県で怪我をしても、現地の施術所で施術を受けたら、その都道府県で審査会に諮り支払いを受ける。
そして各都道府県ごとで発生している療養費の合計を相殺して精算することが全国決済制度となる。
つまり医療費現物給付はこのシステムを支払基金が行っている。
発生地審査になれば、国、行政、社団、柔整師個人にも様々なメリットがある。
国や行政にとっては施術所の管理が各都道府県の数だけで済み、今迄のように県外から送られてくる分の施術所まで管理しなくても良く、郵送料や振込料もかなり節約できる。
また公的審査会を始めとしその他の審査会においても、そこの都道府県内の先生の申請書のみが提出されるので、長期、多部位、提出パターン等が把握し易く適正な審査を図ることができる。
各県社団においても申請書を各都道府県以外に送ることなく、審査を行えるため以前より支払いも早く成り、今まで必要としていた送料は殆ど掛からなくなる。
全国社団にしてみればかなりの経費の節約になり、また申請書の不備等で返戻の場合でも県内であれば日数も時間も短縮出来る。
ただこの全国決済制度を実現するには、まさに申請書用紙の統一が必要であり、これはまた近い将来の電子化にも繋がって行く。
医療費(現物給付)と療養費(現金給付)では法律が違うため何らかのハードルはあるのかもしれないが、医療費はもう既に何年も前から全国決裁をしているわけで、社団日整の組織力から考えればそれほど難しいことではないと考える。
また、国の方針で地方に出来ることは地方でと、今こそ療養費の全国決済制度を取り入れ早くシステム化されなければならない。

 

5項目の提言の4番にあげられております「疑義請求対策について」。この問題については、誰もが頭を悩まされております。実際、大島九州男参議院議員を中心とする、民主党の統合医療を普及、促進する議連の中にある柔整小委員会では、最終的に制度改革までもっていこうと相当のパワーで取り組まれております。こういった中で、柔整の不正請求間題がマスコミ等でたたかれることはよくありませんし、そ の不正をなくすためにも現在の受領委任払い制度を改正していく方向にあるのではと思います。柔整の保険取り扱いは、どのような形が望ましいとお考えでしょうか。

柔整の不正問題において、問題が起こるたびに受領委任制度そのものが不正請求であるが如く報道される。確かに受領委任制度、療養費の支給基準(算定基準)には不明確な部分もあり、説明が付かない部分もあるのは事実である。
しかし、それをもってすべて不正であるが如き報道には大きな疑問をもたざるを得ない。
また、不正については個人の問題であって、これはどこの世界でも存在する。
昨今、健保組合からの柔道整復師のかかり方、お尋ね等はどう見ても適正化のためとは思えず、民間会社(委託会社)が業務として成り立っている現状が問題である。
ただし、保険者が業務委託を行う背景には支給決定判断材料が難しいこと、返戻にたいするクレームが多いこと、処理件数が増加(不当・不正請求の増加)、柔整療養費が良くわからない、会社の方針、等があげられているが、このようなことは本来、各県の公的な審査会で審査されるべきことであり、受領委任制度を確かなものに変え発生地審査になればこのような問題は解決できるはずである。
昨年の行政刷新会議で取り上げられた柔整師の治療範囲の問題で、急性・亜急性のほかに慢性疾患・肩こり・腰痛を捻挫や挫傷に変えて・・と有りますが、多部位すべてが慢性疾患のごとく報道され行政仕分けの結果、見直しと判定され療養費の改定に繋がった。
この問題についても単に多部位であるものは不正と結論付けられたことにいささかの不合理を感じるものである。
柔道整復師の業務範囲の問題については、慢性疾患・肩こり・腰痛と言うのは症状であって負傷名ではなく、それぞれの症状を持っている患者様であっても捻挫や打撲、挫傷を起こす事もあり、この部分を民間委託業者等が聞き取りにより判断している実態である。
この業務範囲の問題を明確にして国民(患者様)が必要とする制度改革が望まれる。
今後これらをどのように明確にしていけるのか、また、新たな法のもとに柔整療養費を準医療費(現物給付)として医療の枠組みのなかで取り扱うのもひとつの方法であろう。
ただし、この場合、柔道整復師をどのように位置付け変革するのか大きな課題である。