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特集

シリーズ第4弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/08/16

国保中央会5項目の提言について、業界はどのような対応と取り組みをすべきであるのか? この5項目の提言内容について柔整業界が真摯に取り組むことで柔整の進むべき今後の方向が明らかになっていくと思われる。 柔道整復師側の立場として、どのように捉え、取り組んだらよいのか、その意義について分かり易いご意見をいただくことで、多くの柔道整復師の方々に真摯に受け止めてもらいたい。
そのシリーズ第4弾として(社)三重県柔道整復師会理事副会長・伊藤宣人氏に以下の質問に答えていただいた。

 

5項日の提言の1番にあげられております「施術所からの請求方法の統一化について」。今回の料金改定にもありました申請書の施術日記載等について、来年1月1日よりということからも「申請書等様式の統一」は早急に取り組まなければならないと思います。過去何度もこういったことを言われ続けてきましたが、実現されてこなかった理由と今回は確実にやれるという根拠をお聞かせください。

日整では過去、日整統一用紙として全国社団にむけ統一の方向で働きかけたが、結果として統一できず現在も全国社団の約半数近くが独自の仕様申請書である。
多くは自県仕様の使い勝手の良さとシステムの利便性を追求し、また、会員数の多い県ではOCR等を使い事務処理を行うため、システム変更には多額の費用が掛かり容易に変更できない事情があった。これらが統一できなかった大きな要因である。
さらに、他団体、個人契約も含め用紙統一をしてこなかったもうひとつの理由は、協定書において「申請書の様式は様式5号又はそれに準ずる様式とすること。」となっている。
それに準ずる様式であれば必ずしも様式5号でなくても良い訳で、支給申請書の「施術の内容」欄だけを修正しなければ独自で自由なレイアウトが出来る。
このため、社団をはじめ他団体、個人において多種多様な申請書が混在している理由である。
また、申請書提出についても協定と契約の違いがあり、協定では(2)申請書を月単位で作成すること。
契約については(2)申請書を原則、月単位で作成すること。
ただし、月単位で作成することが困難な場合は、一の申請書(様式5号)において各月の施術の内容が分かるように作成すること。このように協定書の違いがあり社団では毎月申請書を出しているが、契約に至っては1か月遅れなどは多数ある。甚だしいのは1年9ヶ月遅れというのもなかにはあり協定と契約の違い、ここの部分をひとつにしなければ統一の実現はない。
今回の適正化を機に、日整はリーダーシップを最大に発揮し、各県社団の協力のもと、申請書統一を必ず実現しなければ社団の明日はないであろう。
また、他団体、個人契約においても厚生労働省の通達により、様式5号とすることとしなければ統一は出来ない。
そして申請書を統一する事が柔道整復師をひとつにするための大きな一歩であることに間違いない。

 

5頁目の提言の2番にあげられております「審査の統一化について」。勿論、業界サイドよりも、国が明確な統一した審査基準を決め、それに基づいて全国各県に審査会が設置され、審査委員についても公に選出されるべきでありますし、また審査会の権限についても検討されるベきと思います。確かに国にやっていただくことではありますが、業界がもう少し踏み込んでしっかりとした意見を述べ、要求してこなかったことについて、何がいけなかったと思われますか。お考えをお聞かせください。

審査会の審査方法については、概ね4通りの審査方式があり、いずれの場合であっても一長一短である。
また、療養費の支給基準および算定基準にたいする統一見解がなく、判断の難しい事案については各県での審査会合議の見解によるものとなり、これがローカルルールと言われるものである。
本県に於いては平成8年に作られた療養費審査会規定、審査基準・審査の方法にもとづき、内容審査において返戻および一部査定(保険者の権限委任)も行っているが他府県の申請書の場合(県外分)、その施術所の状況・施術所近辺の地域性等が解らず、一、二枚の申請書で2万円~4万円の高額な請求が上がっても内容の判断が難しい。
この様な問題においては発生地審査(全国決済制度)になれば一施術所の全ての申請書を見ることが可能なわけで、その施術所の平均単価・部位数・長期施術・負傷名の癖(セット傷病)等が把握し易い。
このようなことから発生地審査になればもっと統一的で適正な審査に繋がる可能性は非常に大きい。
今後の審査会については、審査方法の一元化と審査会の統合、これは現在、公的審査会(協会健保)国保団体連合会による審査等(公的審査会に準じた審査)があるが、これらをひとつの審査会にする。
さらに審査会に権限を委任し発生地審査(全国決済制度)になれば各県所在の健康保険組合、共済組合においても公的審査会で行うこととし、現在のような民間業者に委託し審査する必要がなくなる。
早期に審査方式の一元化、審査会の統合、審査会に保険者の権限委任が行われること。更に発生地審査になることが適正な統一審査に繋がり、統一された基準にもとづき療養費の支給基準および算定基準の作成が求められる。

 

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