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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その1 返戻・患者照会の実態―

2010/07/16

近年、柔道整復師施術療養費請求レセプト点検審査の外部委託がすすんでいる。健康保険組合・共済組合など保険者が外部委託できる根拠は、周知の通り平成12年8月15日並びに平成18年1月12日付で厚生労働省保険局保険課の地方厚生(支)局保険主管課長宛事務連絡等に拠るとされ、また健康保険法の第59条*・第121条*により、患者照会が出来ることになっている。従って、保険者が調査会社に柔道整復師の施術療養費請求書の点検照会業務を委託することも、調査会社が受託することも現段階では法的に問題がないとされている。

保険者が施術療養費請求書点検照会を調査会社に委託する背景には、医療費の増大や産業構造の変化、高齢者納付金等の負担といった、やむを得ない事情で財政状況が加速的に悪化していること。もう1つは柔整不正請求問題で、平成5年に会計検査院からの是正勧告を受けて以来、東京新聞、朝日新聞等の夥しいマスコミ報道が続いていること。しかも保険者機能を推進する会の調査活動が効果を上げたこと等もある。

現在、保険者が外部委託している調査会社には、保険管理センター(ガリバー)、健康保険事務センター(大正オーディット)、KSM、レセプト事務処理センター、興和ジャパン療養費点検センター、ディアシステム療養費点検センター、コアジャパン等があるが、調査会社はいったいどのような基準や仕組みで点検照会業務を行っているのかについて取材をしてみる価値が十分あると思われる。そこで今回はその予備調査として、現場の声を取材し実態を明らかにしていくことにした。

 

ここ数年の返戻状況について、会の支給申請書を長年取り扱ってきたJB日本接骨師会業務課業務係長の澤田成弘氏は、「ガリバーさんは数年前から点検照会を行っていますので、数年前から返戻はかなり増えており、最近特にということではありません。ガリバーが扱っている健康保険組合が以前は100位だったものが最近は200位、倍近く増えて絶対数が増えているのです」と話している。(健康保険組合数は平成22年4月1日現在で1,462)

同会の返戻率は、5年前には全体の0.06%であったものが、昨年は0.1%で、因みに再審査の対象になる返戻レセプトの内、受託会社の取り扱いは5年前の平成16年では47%、17年・18年・19年は66%、20年は75%、昨年の21年は85%と上昇しており、ガリバーが受託している保険組合の数が倍増していることを物語っている。しかし事務的作業の効率と患者への過剰な照会という問題に限っていえば、利点もあるようだ。例えば、S健康保険組合という保険者はこれまで相当厳しい調査を行っていた組合だったが、ガリバーに委託してからというもの、事務的な返戻になった。というのは、同会では、提出先の保険者が最も多く受託している調査会社はなんといってもガリバーで全体の7割を占め、あとの2.5割は大正オーディット、他社はほんの微々たる数という。結局、ガリバーでは膨大なレセプト件数を取り扱うため、どうしても事務的・機械的な処理作業を行うしかなく、多数返戻があっても、問診表や患者さんが直筆のもの等の裏づけがあれば、再請求すると約95%は支払われており「患者さんが自筆で書いているというのは、証拠能力が高く、それさえあればという場合が多い。だから当会では、予診表を書いてくれということはしっかり言っています」と澤田係長は付け加えた。

ただし、再請求をするというのは、あくまでも返戻された内の7割位で、残りの3割位は施術者のほうで断念している部分があり、つまり3割が泣いているという。また、ガリバーに委託していない保険組合でも、中々支払ってくれないと〝自分たちの払っている保険料で保険の利く整骨院・接骨院で治療・通院をしているのになんで支払わないんだ〟ということで患者自身が現実に動くこともあり、返ってその場合は支払ってくれるとも聞く。

 

 

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