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アジア統合医療会議開催される
僅かな時間ではあったが文部科学副大臣・鈴木寛氏が出席され〝昨年9月、日本ではある意味で歴史上初めて、選挙による政権交代が実現し、これまで戦後50年近く、政権を担当していた自由民主党から、鳩山由紀夫総理の民主党政権に変わりました。新政権が大事にしているキーワードは「アジア」と「医療」です。更に医療の分野で鳩山総理は野党民主党の代表であった時から渥美先生をはじめ日本統合医療学会の先生方のご指導をえて、代替医療の議員連盟を立ち上げ、長く活動を続けており、その事務局長を私がずっと務めてきました。鳩山総理ご自身も統合医療に対して深い関心を持っておられ施政方針演説の中にも盛り込まれたことからも明らかなように新しい政権は、西洋医学一辺倒主義からまさに東西の知恵を統合し患者の皆さんのQOLを向上させ、更には予防医療にも取り組んでいこうとしているところです。私が今居る文部科学省では実は2001年から大学の医学部教育コアカリキュラムの中で、統合医療の講座を設けるようにとして10年経った今現在、日本の全ての医学部で何らかの統合医療についての講座が開設されています。まだ西洋医学と東洋医学のバランスについて、もっともっと東洋医学、アジアの医療の勉強を増やしていかなければならないが、少なくとも枠組みとしては、日本統合医療学会の皆様のご尽力でそこまできました。従って、医学教育においては市民権を得るにいたった10年であり、その中でこのアジア統合医療会議が開かれることは、まさにこれからの日本の医学教育・日本の医療が政権交代とタイミングを同じくして、大きく舵が切られていく中、統合医療というコンセプトをアジア諸国に同時に発信できるということは意義深いものと思われる。ここの会議で皆さんが協議していただいた知恵や志を持ち帰っていただいて、アジアの皆さんとの協力・コラボレーションといったものを益々わが政府としても応援していきたいと思います〟等、激励した。
引き続きディスカッションに入り仁田議長から〝ネオメディスンという新しい言葉を出していただきました。上手にCAMと西洋医学を取り入れているところは、羨ましい。教育、研究、政策について論じ、新しいメディスンを生み出していくためにはどうしたらいいのか。最初に我々の日本の医療制度との違いから入っていきたい〟として、各国代表者に質問した。近代医学・伝統医学の2つのライセンスをもっている国の中で、ベトナムは7:1、タイは10:1、台湾は7:1、中国は5:1であった。▽共通のプラットフォームを持つ▽従来の医師の協力が必要である▽CAMを知らない▽教育を適正化する▽我々がエゴを捨てるべき▽インタラクション(双方向の交信)が起きるか?▽2つの医学を統合するにはリサーチする必要がある▽コミュニケーションをどのように取り上げたら良いか▽最小限の基礎グラウンドがなければ▽インテグレートにはサイエンスしかない▽僕は形成外科で手術を沢山やればやるほど金も入るが、患者さんに出来るだけ素朴なやり方で金もかからないし、僕らが手術するよりずっと好い結果が出た。もう手術しないほうがいいですよとリンパ癌の患者さんに教えた。こういう簡単な方法で治り金もかからないから。我々医者として真面目に患者さんに教えなければいけない。他の方法論、伝統医学でやっていることも取り入れて、勉強して理解して実際に本当に好い結果が出れば、専門外のほうも逆に手を出さなければいけない。今まで伝統医学ではいろんなイカサマなこともあるが、これからは日本を中心に真面目に研究して本当に何が良いかを患者さんに教えたほうが一番いいことと思う、などの意見が出された。
◇午後の部は、日本統合医療学会副理事長で東京女子医科大学名誉教授・阿岸鉄三議長、健康科学大学教授・蒲原聖可副議長のもと「アジア諸国における統合医療の現状-教育、研究、政策(1)」が行われ、サウジアラビアから代表者2名Dr.Mansour S.Al-Said教授(生薬学)薬用・芳香・有毒植物研究センター所長、前・大学副学長・Dr.Khaled Saheed Aseri,MD(地域医療・統合医療コンサルタント、医師)、マレーシアから代表者2名Dr.Syed Mohammed Naveed Ul Huda(サイバージャヤ医科大学)・Dr.Saravanan S..R.Sundaramurthy(マレーシア保健省伝統・補完医療局、副局長 マレーシア科学的鍼研究協会会長)、インド代表はDr.G.Geetha Krishnan. MD (上席顧問医師、統合医療・アーユルヴェーダ Medanta グルガオン、インド)、オーストラリア代表は、Dr.Felix Wu Shun Wong(ニュー・サウス・ウェールズ大学)ら6名の代表者が各国の政策と伝統医療の展開について紹介。特にイスラム圏の統合医療を聞く機会は少ないため貴重な講演となった。
ディスカッションでは阿岸議長から〝EBMサイエンスフィカルメディスン、例えばスピチュアリティは科学になじまないのではないか〟と質問が投げかけられたが、それに対し〝人の魂を見たことがありますか?それに対する答えはないですよね。それを記述することは出来ない。でも人はみんな魂があると思っている。みんなスピリットがあると考えているわけです。モノによっては目に見えるものもあれば、そうではないものがあるわけで、我々はどういった形かで何か科学的な証明をしようとしているのです〟などサウジアラビア代表のDr.が意見を述べた。更に議長から〝サイエンスを越えた医療の領域を認める立場で、念を押すために聞いています。アキュパンクチャー、経絡・経穴は解剖学的には実証できない。これをサイエンティフィックでどういう風に出したらいいのか。私は気功をやります。手をかざすと人間が反応する。40何年間やってきました。私達はインンテグレーテッドメディスンの中に気功まで視野に入れています。こうなると従来科学的と言われていたところから踏み出そうとしているのではないか。つまり私は、統合医療というのは従来型の科学至上主義や科学を中心とする別の世界に踏み出そうとしている、とても大変なことをしようとしているような感じがするのです。私達は新しい文化というか、科学知だけではないところに行こうとしている〟など問題提起された。