柔整ホットニュース

特集

キーマンにインタビュー『いま、柔整に求められていること』

2010/05/16

この小委員会というのはどのくらいの期間続けていかれる予定ですか?

これも同じです。議員ではありませんから議員に聞いて頂かないと分かりませんが、目的を達成するまでは続けると思いますよ。「接骨医の確立」です。他にもレントゲン問題同様、柔道整復師法17条(医師の同意を患者の同意へ)の改正などは他政党に何十年来要請し続けていた懸案事項ですね。第2回目の小委員会は料金改正に向けての会合という意味合いも含まれていましたが、この後もずっと定期的に続けていくことになると思います。

 

これまで柔整のレントゲン問題にしても介護への参入にしてもことごとく医師会が壁になって、駄目になってきたとよくお聞きしますが。

制度というのは、医師会のためのものではありません。したがって、国会議員が国民のために考えれば良いのです。医師会のためにやっていたのは前政権の自民党です。その時代は終わったのです。つまり自民党は国民ではなく業界に向いた政治を行っていたのです。だから「医師会だ!医師会だ!」と言っていました。しかし、民主党は国民のための政治だと明言しています。「業界は駄目ですよ、国民ですよ」と強く言っている訳です。従って国民が柔道整復師のレントゲンが必要だという事になれば、そういう方向で政治が動くわけです。医師会が法律を作るのではありません。医師会も業界ですし、こちらも業界です。

 

国保中央会の報告書の5項目の提言について、柔整界はどうしていくべきかということの考えや取り組みについてお聞かせください。

率直に言って、ご提言自体はよいのですが、今の時点では難しいでしょうね。その理由は、各団体のトップの考え方が、すぐには切り替えられないところにあるのかもしれません。まだ業界がまとまっていません。やはり業界がまとまってから一つ一つ取り組んだほうが良いと思います。誰もが良かれと提言していることでしょうから、この中で良いものは小委員会のほうでも取り入れるように提案します。確かに厚労省の役人の意見は強いものがありますが、一応官僚主導から議員・政治主導になりましたからね。

最終的には、政治判断で決めるようになってきています。しかもこれから徐々に政治主導が強くなって行くと思いますので、やはりこの件に関しても、小委員会に持っていく必要があると思います。

 

長期的に時間をかけて、問題解決の実現に向かうという理解でよろしいんですか?

そうです。政治というのはそう簡単にはいきません。いろいろと思惑もあるしやらなければならないプロセスもあります。とにかく、これまでの政治家の先生方に多いいのは、「要望を聞きました。」「はい。分かりました。」「はい、イコールやりません。」「オールやれません」というのが政治家でした。そこで私たちがこれまでに民主党議員に何をやって来たかと申しますと、「我々の要望を明文化すること」「議員の公約に挙げること」党の公約でなくてもいいから、個人の公約にしてください、と。つまり、そこまで深く理解してもらわなければダメなんです。 その最後の詰めが重要であり、そこが一番の根本です。現状の医療制度に無理があるから、こういった医療崩壊寸前にまでなってしまうのです。政官業の癒着、医師会と自民党と行政の癒着が、国民医療をないがしろにしてきたのです。介護制度もしかり、肝炎問題、エイズ問題、老人医療の問題にしても国民不在の制度になってしまったのです。その狭間に柔道整復師の問題もあるのです。本来ならもっと良い制度であったわけです。急いでやると良い結果は得られませんし、まず議員に柔整をもっともっと理解してもらわなければならないでしょう。

 

今回のインタビューのテーマ〝いま、柔整に何が求められているのか?〟について

私たちが目指しているのは、業界の進むべき方向をしっかりと定めることです。その上で同じ目標を持つ。そして、業界意見の「一本化」です。つまり要望事項の優先順位を明確にしたうえで、訴えていくのです。それは各団体をまとめて一つの団体に合併するものではありません。目的をある程度絞ったうえで、業界が一致団結して動いていることを政治あるいは厚生労働省にアピールする事が肝心なのだと思います。業界の足の乱れは「政治」「厚生労働省」に「回答不能」の隙を与えてしまいます。

進む方向をそれぞれ少しずつ歩み寄り軌道修正して、同じ方向で進みましょうということです。その為の意見交換は大いに行いたいと思います。

過去にもこの様な状況はありました。

しかし、結果としてまとまらなかったのです。「業界を改善しよう」と言う意見は一致していたと思いますが、目指す目的が違っていたのでしょう。

政治情勢も、柔整業界の情勢も変わりました。つまり自民党から民主党に政権交代し、柔整業界も「社団」より「個人契約」の方が多くなりました。今後は益々顕著に現れてくるでしょう。

今、日本の医療制度を見直す中で、合わせて柔道整復師制度を見直す時期に遭遇しています。その変化の中で、厚生労働省も改革しようという気持ちはあるでしょう。議員も同じです。

ここで、柔整業界なんとか一つにまとまりましょう!と言うことになる訳です。

小委員会でも、先ずは「一本化」を目標としています。

これまで小委員会は柔整師のヒアリングを行ってきましたが、今回の料金改正においても、それぞれの団体の代表に参加を呼びかけ、「業界の一本化」という姿勢をみせた訳です。この様な流れの中、厚労省の方も小委員会を頼りにすることになるでしょう。厚労省でまとめられないことも、小委員会でまとめたのです。 今後、小委員会と厚労省の信頼関係は強く発展して行くでしょう。

この事例でもわかるように、「業界の足並みがそろわないとダメですよ、ある程度の一本化は必要ですよ」ということなのです。

同じ事を何度も言いますが、柔整業界の各団体はさまざまなスタンスで活動しています。団体によって考えが違うわけですが、それを理由に行政に軽んじられてしまうのです。要は、自民党政治が終わり、民主党政治になったのです。民主党に政権交代した途端に、先ほども述べたように官僚主導から政治主導という方向に流れが全く変ったのです。官僚主導の時には、天下り先確保のために政官業の癒着があり、厚労省の役人が様々な部署に天下っています。天下りは政官業の癒着があったからこそ出来る話でした。近頃では小児科医・産婦人科医が減り整形外科が目立って増えましたが、小児科医・産婦人科医は医療事故の問題、保証問題などがついて廻るので敬遠され、それとは反対に、高齢者が多くなった背景に伴い、整形外科が増えてきたのだと思います。その中で柔道整復師という存在が整形外科医や臨床整形外科医会にとって競合する存在になってしまったのです。

この様に社会情勢は刻々変化しています。それに伴い制度というのはその時々によって見直さなければなりません。今の制度とは昭和11年に、時の柔道整復師の団体と都道府県知事との間で交わされた約束事から始まっています。その時代にできた制度が、この平成の時代になっても何ら変わっていない、あえて変えていない事に矛盾が生じていると思います。だからこそ今です。業界が一致団結しなくてはならないのです。「勢力争い」、「手柄の取り合い」はもう辞めましょうよ。古いですよ。今や時代遅れです。業界の健全化は我々世代で解決しなければなりません。もっと賢くならないとね。何回も言いますが、患者さんが接骨院治療を自由に正しい形で通えるような制度にしなくては成りません。それには、この機会がチャンスです。何とかまとめたいですね。

先ほども話しましたが、それぞれの理由があって接骨院を選んだ人たちが、自由に治療を受けられる制度づくりをして欲しいというのが私の根本です。   

(文責・編集部)

プロフィール

田中 威勢夫 

(協)日本接骨師会 理事

[HP] 日本接骨師会


前のページ 次のページ