柔整ホットニュース

特集

キーマンにインタビュー『いま、柔整に求められていること』

2010/05/16

民主党に政権交代してから、いま柔整業界は活発な動きをみせている。 業界団体のトップクラスが同じテーブルについたことはまさに驚異であり、歴史上初めてと思われる。
民主党統合医療を推進する議連の中にある「柔道整復師部会小委員会」の主導で、今回の意見交換会が実現したわけであるが、開催に漕ぎ着くまでの陰の立役者であり、今後の業界の鍵を握る人物である(協)日本接骨師会 理事 田中威勢夫氏にインタビューを試みた。

 

歴史上初めてといわれる柔整小委員会が開催されるまでに至った経緯について教えてください。

一言で言えば「大島九州男議員」の誕生です。

大島議員は3年前の参議院選挙で「接骨医の確立」を公約に揚げ、全国比例区で戦い当選しました。業界全体を知るために、柔道整復師の資格制度・保険制度(療養費)また、業界の現状を知るために全国の各団体や社団法人・日本柔道整復師会などの各会長と懇談し、その上で厚生労働省や保険者とも懇談を続けています。今後も柔整学校経営者など、各関係団体と懇談を続け柔道整復師制度を「有るべき方向に」導いてくれる事と思います。

大島議員は常に「それは患者が可哀相やろ」「それは患者の為にならんよ」と患者の立場で考えています。

そして柔整業界全体を把握したところで、民主党内に「柔道整復師議員連盟」を立ち上げようと活動を始めました。ここからが大島議員の苦労の始まりでした。 

大島議員が「柔道整復師議員連盟」を立ち上げようと活動していたところ、今の総理大臣、当時は鳩山幹事長でしたが、「大島君、民主党内に代替医療を普及推進する議連が休眠中であるので、柔道整復師もその中で活動できないか」と示唆され、一年生議員である大島議員は「はい」と返事するしかありませんでした。

ところが私たちは反対でした。理由は、「統合医療を推進する議員連盟」の中には有資格者も・無資格者も「十把一絡げ」の様相を呈していたからです。その中での柔道整復師の存在が消えていくのではと危惧していました。

しかし、大島議員は前田武志参議院議員を顧問に、松本龍衆議院議員を委員長に推戴し、「柔道整復師部会小委員会」を立ち上げたのです。

現在、大島議員は事務局長として活動されています。民主党の中には自民党と同じく医師会の意向に添う傾向の議員もおりますが、大島議員は柔道整復師業界に真っ向から立ち向かい、高齢者社会に向け、よりよい健康な生活が出来るよう、予防医療を含め医療全体の見地から解決しようと孤軍奮闘しています。日本の医療制度全体から見た柔道整復師制度の見直しです。目指すは「接骨医の確立」であり、他にも学校制度の見直し(カリキュラム等の改正)、保険制度の見直し(療養費ではなく統合医療療養費の新設)、柔道整復師法の改正(レントゲンの確立、17条の改正、傷病名の適正化)、介護への参入(機能訓練指導員として活躍の場の確保等)であります。その理由としては、現行の整形外科による骨折の治療には疑問があり、手技療法で整復可能な損傷まで手術する傾向にあります。手術費、入院費など多額の医療費が必要となります。

我々が最終目標とする「接骨医」、手術や薬品の投与をしない手技療法(非観血的整復法)による治療というのは、患者のニーズに応えられる制度であり、いま求められている日本の医療費の削減に貢献することが可能であります。

 

その小委員会主導ではなく、先ず業界がまとまって意見を統一し、その上で小委員会に持っていくことが本筋であるという声もありますが・・・

いま私と話し合いをしている人たちは、概ね考え方が同じか、同じような方向を目指しています。しかし、どこの業界でも同じように、いろいろな考えを持った人たちもいるものです。その人たちがこの業界の現状をどこまで正確に理解して問題を捉え、取り組んでいるのか。つまり、問題点を何処に据えるかという根本が違っていると、目指す改革案が違った方向に行くものです。そこで社団法人・日本柔道整復師会(通称、日整又は社団)も一緒に業界全体のことを考えましょうよというのが私の意見です。

政権が民主党に変わりましたが、日整はこれまで自民党を支持政党としておりましたので、急旋回して民主党に鞍替えする事に、躊躇せざるを得ないとは思います。

しかし、これまで自民党をはじめ他の政党がこれだけ柔道整復師業界を理解し、国民のため柔道整復師を大いに活用しようと動いてくれた政党はあるでしょうか。

自民党を主なる支持政党としていた社団法人・日本柔道整復師会から脱退した柔道整復師が多いことは、明白です。それぞれにそれなりの理由があるわけですが、この様な状況では業界をまとめる建設的な意見が出てきません。本来は柔道整復師業界の諸問題は業界が一本にまとまり、政府に働きかけなければならないのですが、現段階では大島議員の力を頼みとし、党主導でまとめてもらうしかないと判断しています。

ある一定の時期まで小委員会主導で行っていただいて、ある程度「一本化」の見通しが出来たところで、その路線で我々柔道整復師業界が自助努力をすることが一番望ましいことであると思います。

現在、小委員会には社団をはじめ各団体が参加していますが、この小委員会では「小異を捨て大道に付く」を基本とし、国民の一人一人が「自由に正しい形で接骨院に通える」様な「大幅な制度見直し」を目指しています。

その為には制度改革の勉強会を多く持ち、協力態勢の強化が是非とも必要になります。「時は人を待たず」ですからね。

 

前のページ 次のページ