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キーマンにインタビュー『いま、柔整に求められていること』

2010/05/16

民主党の統合医療を推進する議連の中の柔整小委員会である訳ですが、統合医療学会に対して柔整はどうすればいいと思ってらっしゃいますか?

民主党の「統合医療を推進する議員連盟」について、簡単に言えば予防医療を推進するプロジェクトと言うことになるかと思います。西洋医学は「原因の究明」・「メカニズムの解明」と言われ、これまで、「人を看ずして病気を診る」などと揶揄され、人間全体を診ることが足りなかったと言われていました。その足りない部分を補う、これが「統合医療」と言うことではないでしょうか。病になる前に予防できる事は防ぎましょう、と言うことも含まれます。

「日本統合医療学会」が模索している方向も同じ事だと思いますが如何でしょう。

これまでの医療制度・保険制度は、全て医師会中心でやってきました。統合医療に関しましても医師が予算をもらって医師が中心になり、鍼灸マッサージ師・カイロプラクター・漢方・その他、統合的に医療研究するようになっています。これはこれで結構ですが、一方、鍼灸マッサージ師が医師、またはカイロプラクター・理学療法士を使って研究すれば、また違う結果が出るかもしれません。 統合医療を考えるとき、明治以前の伝統的な日本人の技術として伝統医療を考える必要があるかと思います。何でも医者、医者では一方的な見方しかでません。ここで「人間本来の生きる力」が見落とされてしまうのではないでしょうか。医療の根本的な見直しが重要だと思います。

各組織に予算を与えて自分たちで研究する方策をとるなら、違う成果があると思いますが如何でしょうか。

統合医療の研究は今後の日本に必要な事だとは思いますが、やはりそこには常に予算の流れが絡んでいると思います。

 

誰のための制度改革なのかを明確にすることが重要ですね?

例えば療養費についても、やはり議員が理解しなければ変わりません。柔整に関する現状を真摯に国民の問題として受け止めたのは民主党でした。「この問題はちゃんと政治で解決してあげないとだめです。今のままでは、接骨院にかかる患者が不便な思いもするし、正々堂々と接骨院に通うことが出来ない」。そこからがスタートでした。

国会議員の中には、柔整に関しての情報を的確に把握していないため、柔道整復師は「水増し請求をする悪い業界だ」とメディア情報を鵜呑みにしている方もいます。一方、子供の頃骨折し「接骨院で治してもらった」と、経験を語る議員も多くいます。確かにこの業界には不心得の人もいるので襟を正さなければいけません。それには、柔道整復師側も自主規制が必要です。

この業務を行うには「資格制度」と「保険制度」の勉強をしっかりしなければ出来ません。しかし、残念なことに「資格制度」つまり国家試験をクリアーする為には皆さん必至で勉強しますが、いざ開業し保険を取り扱う段階で「保険制度の」勉強をしていないため、間違った請求をする事になることが多く見受けられます。

柔道整復師の中には卒業と同時に開業する人もいるようです。従って卒業後研修が必修であると言っているようですが、研修している接骨院ですら保険制度を理解していない先生もいます。ですから、学校にいる内に保険制度の勉強もしなければならないのです。今後、学校制度の見直しも必至となるでしょう。学校経営者は今から真剣に取り組むべきです。何れ、学校経営者も小委員会のヒアリングを受ける事になると思いますよ。柔整業界の大幅な見直し、つまり、制度の改革が必要です。

 

柔整小委員会の最終目標は?

私は、議員ではないので最終目標は解りませんが、柔整の立場から言えることは、少なくとも「柔道整復師法改正」に至るまでは終われませんね。

柔道整復師の業務というのは骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷です。骨折を治すためにレントゲンは絶対必要不可欠なものです。当然ですが、柔道整復師のレントゲン使用を可能にするためには、法律改正が必要です。私たちが要望しているレントゲンとは四肢の単純撮影が出来る範囲で充分なのです。僅かな被爆で済みます。現在では医療器も精密化し、柔整専用のレントゲン機器は、歯科医が使用しているレントゲンのように特定部位を撮影するレントゲンとしての開発も可能だと思います。レントゲンから得られる情報は患部を的確に把握し、治療をする我々にとっても患者さんにとっても重要な情報なのです。

これまでの自民党政権時代、私たちがレントゲン使用の要請をすると、異口同音に返ってくる言葉は、「医師会はなんと言ってるの」「医師会はいいと言っているんですか」でした。国会議員がこのレベルでした。医療制度は患者である国民の為の制度です。医師会の生活権を守る為の制度ではありません。

民主党政権になり、政官業の癒着は無くなることを期待しています。業界の意見ではなく、国民の意見を大切にして頂きたいです。なんと言っても本当に困っているのは患者さんであり、その患者さんが接骨院を選んで来るのは、それなりの理由がある訳です。病院に行けば直ぐに薬ももらえますし、レントゲンも撮れます。そして手術もしてもらえます、なんでも治してもらえる訳です。それでも患者さんによっては病院に行きたくない理由があるのです。薬物が使えないとか、自分は手術が嫌で自然に治してもらいたいなど、そういう人が日本には大勢居るのです。

患者さんに接骨院に来てくださいというのではなく、接骨院を選んで来た人たちが安心して通えるような制度づくりをして欲しいということです。不正請求がまかり通るような制度ではなく、本来の柔道整復師が行っていた「運動器に加わる急性、亜急性の原因によって発生する各種損傷に対する施術」言い換えれば「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などに対する施術」を行えるような制度確立を目指したいのです。

それには「柔道整復師」を「保険制度」の位置づけとして「医師」「歯科医師」「薬剤師」と同等にまで持っていきたいと思います。さらに「接骨医」というところまでランクアップして、それなりの勉強もしっかりさせて、あくまでも柔整治療の基本である徒手整復、非観血的療法という、外科手術をしない、薬品の投与もしないで治す「接骨医制度」というものを確立させたほうがいいでしょうということです。これだけでも、相当な医療費の削減につながります。

しかしながら、これは直ぐに変わるとは思っていません。それなりの勉強も必要ですし学校制度の改革が最重要課題になるかと思います。だからこそ、これまで活動してきたものを停滞させるわけにはいきませんし、どんどん前に進めていく必要があるということなんです。