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田渕整形外科クリニック院長・田渕健一氏に特別インタビュー!

2012/10/01

―田渕先生のような整形外科のドクターがいらっしゃると接骨院の先生の役目はなくなるような気もしてしまうのですが、田渕先生から見て接骨院の先生の役目とは何でしょうか?

今、手術しないで治すのは接骨院の先生だと思います。ドクターは例えば解剖を勉強するにしても、6年間の内の1年間だけです。しかも関節とか筋肉ではなく内臓臓器、心臓から肺からみんな解剖を勉強する訳です。しかし柔道整復師の先生たちは3年間、筋肉と骨を重点に勉強をする訳です。だから医者より解剖で詳しい訳です。また整形外科に進んだ医者は、手術や薬を出さないと点数にならない。患者にとって必要もない薬や注射、手術をされるということの防波堤に柔道整復師の先生はなると思うんです。例えば、膝が痛いと痛み止めを出す、痛み止めを出して痛みがらくになる。そうすると膝をかばわない。そこで、どうやって膝を使えば痛みがとれるのかということを教えないで、痛み止めだけを出して、それでまだ痛いと言ったら注射をする。そんなものは治る訳はなく関節を壊す。壊れてしまったら人工関節になる。患者さんが注射や薬を頼らない人たちを、頼りにする可能性はありますよ。ただ柔道整復師の先生たちは人数が無茶苦茶多いから、やはり勉強しない人達は自然淘汰される。勉強しない人は皆潰れていきます。だから接骨院の先生でも潰れる人は潰れるで良いと思います。やっぱり国民の医療のためですから。大きな病院でも、公立の病院でも、この頃は独立採算で稼がないと保険組合が病院を潰しちゃうんです。結局、大きな病院も稼げ、稼げで、本当に今稼がないで済むのは国立病院、国際医療センターと東京医療センター、昔でいう第一病院、第二病院ぐらいしか無いんじゃないですか。

 

―田渕先生は、優秀な整形外科医であるにも関わらず、接骨院の先生の指導に情熱を注いでおられます。そうした情熱はどこからくるのでしょうか、なにかお考えがありましたらお聞かせください。

今まで出会った接骨院の先生たちが良い人ばっかりでした。柔道整復師の歴史を勉強をしますと、聖徳太子の頃から居るんですね。一方、現在の日本の医療制度が出来たのは、明治になってからです。茨城にいる柔道整復師の先生達は、花田学園でも根本先生、福田先生、水戸の山田先生とか先祖代々、江戸時代から続いているんですよ。

最初は筑波大学に行っている時に茨城県の柔道整復師会の田口先生がわざわざ訪ねて来られ、勉強会を開きたい、柔道整復師の講演会をやってくれと言ってこられ、それで水戸でやったんです。そこに櫻井先生が来ていて、それで是非やってくれということで、櫻井先生は凄く柔道整復師の教育に力を入れていますので、その関係で、大分もそうですし、長崎の柔道整復師の人たちにはもう5・6回講演に行っています。大事にしてくれているものですから主として長崎と茨城だけでやっていたんですが今度は大分で、今年はもう忙しくて目がまわりそう。私の医院では、柔道整復師も鍼灸師さんも働いています。何年か働いて経験を積んで、小田急線沿線の駅前でみんな開業しています。彼らが患者さんを送ってくるんです。写真撮って、写真をつけて返してあげるという形にしています。

 

―以前より東京都の前会長である山口綱孝先生が医接連携を唱えられ、その後、元近畿大学の整形外科教授・浜西千秋氏が整接連携を訴えられました。クリニカルパスとは少々異なると思いますが、田渕先生の医接連携及び整接連携に対する考え方をお聞かせください。

浜西先生は整形外科だから整接連携と言われたのだと思いますが、医接連携でも良いと思うんです。というのは、大きな病院の内科の医者や小児科の医者が、そこの整形よりも柔道整復師の先生達のほうに紹介するケースが茨城にありました。やはり整形の医者も勉強しない人はいっぱいいますから。

例えば柔整の先生は夜8時まででも働く。またプロ野球の選手達が怪我して柔道整復師の先生に相談に行くことも多い。そうした柔整師を応援するということで、千葉大の教授であった守屋先生が柔道整復師の学会の会長をやっていたんですけれども、いろいろなことがあって降りてしまいました。自分たちが努力しないでサービスもしないで開業医でふんぞりかえって、しかも柔整の味方をしているのはおかしいと言って怒鳴り込むほうが余程おかしい。人間性ですけれど。開業医で柔整を面白くなく思っている先生もいらっしゃるんです。この整接連携をあまり掲げると整形外科の学会でも勤務医の学会と開業医の学会とがありますが、開業医の学会からは突き上げをくらうでしょう。医師法でおかしいのは、昨日まで産婦人科あるいは外科をやっていたが、腕が悪くて儲からないからということで、翌日から整形外科の看板をかけることが可能です。なんでもありなんです。それよりは教育を受けた柔道整復師のほうが余程良いと私は思うんです。医療制度のおかしいところです。お医者様だからといって、ふんぞりかえっているのはよくないという風に思います。

連携に関していうと神奈川の飯島先生の勉強会では、横浜の病院の先生達が山崎先生とか浜田先生とか、整形外科の非常に優秀な先生達でスポーツ医学でも優秀ですけれども、柔整の勉強会にも出席されて熱心に指導されていて凄いと思います。