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田渕整形外科クリニック院長・田渕健一氏に特別インタビュー!
田渕健一先生を知らない柔整師はいるはずが無いというほどに、田渕先生は柔整業界になくてはならない存在である。その懐の深さは計り知れないものがあり、小さいことには見向きもされず、国民の健康だけを偏に重視されている。また、その姿勢は盤石で全く揺るぎがない。器が何倍も大きいのである。
柔整の先生たちを大事にしてくださるそのお気持ちとお考えはどういうところに由来しているのであろうか?田渕先生がこれまで築いてこられた人間関係と経緯等について、忌憚なくお話しいただいた。
『柔整の社会的貢献は、今も変わっていません。今後も国民医療として地域に役立って頂きたい!』
―田渕先生は、先日大分で開かれた九州学会で、「たかが捻挫、されど捻挫」として「足関節捻挫の新しい考え方」と題し特別講演をされ、最初に「講演のたびに話の内容が違ってくる、今度講演するときはまた違う話になるかもしれない」と言われましたが、田渕先生のお考えをお聞かせください。
私が柔整関係で捻挫の話をして40年近くになります。その40年間に10年ごとに皆さん聴いてくださる形なので、話すたびに内容が違ってくるということです。まず診断法が違ってきます。診断の武器が違ってくると治療法が違ってきます。
昔筑波大学に居たとき、足関節の緩みの測定の仕方とか、靭帯損傷の考え方という話をし、緩みの測定の仕方が間違っていたということから入りました。測定は出来ないけれど診察法は変わったと。この捻挫の診察法は田渕式なんですが、足関節の3本の靭帯の内の1本1本の緩みを証明することは、今、定量的にはまだ出来ないんですが、それを定量的に出来る可能性がこの次の講演の時にはあるかもしれない。もう1つは、厚労省で柔整師はエコーを使っても良いということになりましたから、エコーを導入してやってみようと思っています。そうしますと靭帯損傷の診察法がまた変わってくる。次には、エコーの診断技術を紹介していかないとならないなということで、エコーのデータがまとまれば今回と違ったことが出てきます。新たな診断法が出てくると治療法が変わってきうるということです。九州学会でも、何年も聴いている人は治療法が違っている、診断法が違っているというのがわかったと思います。一方で、捻挫については、世界中が全然進歩していない。足関節の診察法、捻挫の診察法というのは世界中の教科書にまだ書いていないんです。ですから医者ですら、「たかが捻挫」として世界中みんな相手にしていない。スポーツ選手も相手にしていない。その結果正しい診察法ができない、ということになるわけです。
またスポーツ選手は捻挫が多い。捻挫は整形外科に行っても相手にされないから柔整の先生達が丁寧に診て丁寧に相手をしてくださるということで、柔整の先生たちに捻挫のお話を聴いていただくのは一番良いだろうと。それがスポーツ選手に還元されるだろうと思っています。
実は、私は筑波大学ができた時に呼ばれ5~6年居りました。その頃からスポーツ医学が成り立って、筑波大学は体育専門学部があったものですから、学生達との付き合いもあり、その後もずっと付き合いが続いているのです。サッカー、ラグビー、バレーボール、有名なスポーツ高校の監督は当時の筑波大学の教え子ですから、怪我をしたらとりあえず、田渕整形に行ってこいと言われて生徒がよく来ます。また近くに国士舘があり、中・高校の柔道部が強くて、15年ほど面倒をみています。鈴木桂治も国士舘に居ましたが、その恩師が茨城の小林先生という柔整の先生で、その先生が鈴木桂治を育てて国士舘に入れ、そういう繋がりもあるのです。当院で働いている連中、いま国士舘にボランティアでトレーナーとして3人行っています。柔道やサッカーだけではなく野球も当院に来てくれます。国士舘の選手達も強いですから、その人たちが怪我すると又田渕整形にとりあえず行くようにという話で来ていただいて生活しているようなものなんですよ。
「されど捻挫」という意味は、要するに医者の口癖で確たる診断が出来ないのに〝捻挫だよ〟といえば患者さんも納得してしまう。しかし凄く治りが悪いものがあり、放っておいてもいい捻挫とキチッと治療しなければいけない捻挫とを見極めなければいけないと思います。アスリートに捻挫が多いというのは、スポーツを一生懸命やって疲れ果てるまでやるからで、限界を超えてやるのがアスリートです。