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新団体設立にあたって、その志をお聞きしました!
―柔道整復師の三原則を教えて下さい。
三原則とは「正しい診断・正しい施術・正しい請求」をいいます。
柔道整復師は、今まで診断の判断基準は、経験に基いて問診・視診・触診などで決めてきました。さらに今回、超音波が使えることになり科学的根拠、科学的なデータが出せるようになり、診断の精度が以前よりも高くなってきました。
例えば、「たんなる肩こり」は不正請求だと言われておりますが、「肩こり」にもいろいろな発生機序があって症状が起きてきます。そうした時に、柔道整復師はただ患者の主訴を聞いて、「肩がこった、お願いします」「はい、わかりました」とやるようでは、診断もなければ何もないのです。それでは困ります。
患者は「肩こり」と表現しますが、その奥に潜んでいるものは何かを経験や、問診・視診・触診、あるいは超音波などによって診断することで、今まで患者が「肩こり」と言っていたものの大半が何らかの原因が根本にあって起こってきていることが分かる訳です。
また、一般的に言われている「不正請求」には、二通りあります。一つは「実態のある不正請求」、もう一つは「実態のない不正請求」です。「実態のある不正請求」というのは、確かに接骨院に来院し治療もしているが、患者がアッチもコッチもと言うと、診断もなく施術してしまう「迎合診療」。それを健康保険で取り扱うこと自体間違っています。また、「押し売り診療」と言う行為があります。例えば手首が痛いと言った時に、全身を治療しないと治りませんよ、というのが押し売り診療です。実際に治療はしているが、治療に必要のない施術までやることを言います。これが「実態のある不正請求」です。
「実態のない不正請求」というのは、架空請求とか水増し請求とかいうことです。
これらを正すためにも、全ての基本は三原則の「正しい診断・正しい施術・正しい請求」から始まるという、これが私のいう三原則です。
―現在、団体が多数乱立する中で、一本化という話もあり、もう団体は必要じゃないのではないのかと思いますが、新たに団体を結成された理由をお聞かせ下さい。
これまでいろいろな団体の会長と話をしてきましたが、「業界をどうしたらよいのか」という話がなかなか出てきません。それぞれの団体は、確かに会費を徴収し、何らかの活動はやっているでしょう。しかし、柔道整復師業界が抱える諸問題の解決には、これまで何ら手応えのある改善は見られませんでした。
個々の団体が、個々に問題の壁に突き当たり、個々に改善策を国会議員や厚生労働省、各保険者に要請を提出しても、柔道整復師団体がバラバラだと、門前払いになることを経験した会長は少なからず居ることでしょう。かえって、バラバラであることを逆手に利用され、「他の会はそんなこと言ってませんよ、そんなこと言っているのはあなたのところだけですよ」ということになり、門前払いの理由づくりをさせてしまっています。
それぞれの会にはそれぞれの設立主旨があるかと思いますが、今こそ業界の一本化が重要課題です。それぞれの団体の会長が一堂に会し、共通の問題解決について一致協力する基盤を作ることです。特に社団にはそういう認識に立って業界をまとめる核心になることを期待しています。
巷では接骨院が乱立し、不正請求がマスコミで取りざたされる様になり、保険取り扱いの存続を懸念するする様相も見受けられます。
この時期だからこそ、業界がまとまる必要があるのです。ご存じのように、本来の審査会の上に、さらに二次審査会を設置したり、保険者の調査が、本来保険者自身がおこなうべき業務を、なんら調査の資格要件のない「外部委託業者」が行ったりしています。
また、昭和11年に協定が出来たのですが、社会が劇的に変化しても、戦前と同様に同じ扱いをしています。制度というのは、その時代・社会に合わせて改善されなければならないのです。しかし、この業界は目先のことだけで、根本を見直す作業を怠ってきたことも、反省しなければなりません。
何度も申し上げますが、柔道整復師の制度改正には、先ず、業界の方向性の確認が必要なのです。
若い青年達が柔整師を目差して専門学校に入学してきますが、保険制度も知らぬまま卒業、即開業と幻想を抱き、つまずく状況も多々見受けられます。同業の後輩が安定してこの「業」に専念できるよう、制度を設けるのも、一本化の大きな役割だと思っています。