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福島逃避行・矢口接骨院ご夫妻に聞く
4月1日
これに先立ち矢口夫妻は綾瀬の東京武道館で行われた被災者用の都営住宅抽選申し込みに応募していたのだが見事当選!そしてこの日が入居日となった。場所も平井駅近くの川沿いでお婆ちゃんの病院からも弟さんのマンションからも10分の好位置。14階建て都営住宅は被災者用に60世帯用意され、全てキッチン完備でTVまで供え付け、すぐ住める状態だった。入居日にはNHKの取材が入りテレビに映った矢口夫妻を見てたくさん電話を貰った。知人約50人から電話が来た。行方不明のいとこや連絡の取れなかった知人から電話が来て消息が分かった。
4月4日
休む間もなくテン十字グループ新入社員37名の入社式に矢口さん夫妻も新入社員として出席。フレッシュマンスーツを購入して自分の子どもよりも若い新入社員に交じった57歳と59歳は2日間の新人研修に参加した。そしてその研修の中身が2人を驚かせた。トイレ掃除はともかく、お客さんのスリッパを自分たちが整えるのには驚いた。これまでスリッパは客が自分で並べるものだと思っていた。東京では接骨院はサービス業だったのだ。マッサージ一つとっても東京では強過ぎるだの弱過ぎるだの文句ばかり。地方では絶対文句を言わない。矢口さんの家では野菜を買ったことが無い。野菜も魚も患者さんが持ってくるから。親の代から続く矢口さんの接骨院は地元の名士。医者と同格。国会議員でさえ矢口さんの家の前は素通りしなかった。それにあぐらをかいて、これまでいかに殿様商売をやっていたかを思い知らされた2日間だった。今まで随分患者さんに失礼なことしてきたなあと、ちえ子さんは思うのでした。
矢口接骨院と骨折治療の技術
矢口接骨院は患者数が毎日60人。そのなかで骨折患者が常に5~6人いたと言いますからその腕前は折り紙つきです。病院から開業した先生と親しくして、骨折患者を回してもらうのですが、レントゲンの見方などはむしろこちらが若い先生に教えていたと言います。例えばカカトの骨折のレントゲンの撮り方がわからない。撮っても骨折やひびを見つけられない。そこで矢口さんがレントゲンはこの角度で撮れ。最初から予想して見ないから見れないんだ、と叱るわけです。そして病院から送られてくる患者さんのギブスを外して整復と固定をやり直すことをやっていました。完治までの期間も病院の3分の一。費用も病院で外科手術をすれば総額100万円かかるところを7万円くらいで済ませます。小杉代表は、矢口さんのこの技術を何とかテン十字の若い人たちに教えられないかと、研修会を企画するつもりです。
子どもたちと矢口さんの今後
矢口さんご夫妻には実はお子さんが2人います。31歳の長男は26歳で鍼灸の学校へ行き、そこを終えて今は接骨の学校の3年生。東京暮らしの長女は親曰く「売れない女優」さん。今では時々都営住宅に顔を出し一緒にご飯を食べたりします。矢口さんの人生設計では近い将来接骨院を息子に譲って引退し、ゴルフに魚釣りと余生を楽しむ積もりでしたが、今回の震災で全てパー。苦労して買った土地も建物もすべて福島に置いてきた。ただ、ちえ子さんの機転で普段からまとめてあった通帳ハンコセットを持ち出したのが不幸中の幸い。身分証明書さえ作れば取り急ぎ生活に困ることも無さそうです。今後の事はまだ分かりませんが今はただ初心に帰り新鮮な気持ちで東京での仕事に取り組んでいる毎日です。そんな矢口さんご夫妻の仕事ぶりを見て小杉代表も、いい人に来てもらえたと感謝する毎日です。ただ今は気が張っているから良いが、東京の夏は厳しい。慣れない土地で体調を崩しはしないか?また、知人を20人以上亡くされた心労は想像するに余りある。今後とも矢口さんご夫妻を見守っていきたいと願うのでした。