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第49回   【最近の厚生労働省の通知や第53回社会保障審議会医療保険部会での議題のベースとなるもの】

2012/06/01

最近の厚生労働省の通知や第53回社会保障審議会医療保険部会での議題のベースとなるものが日本整形外科学会や健康保険総合連合会、全国健康保険協会から厚生労働省への柔道整復師に関する要望・要請書である。ここにある要望・要請事項を柔道整復師が理解して是正すべきところは是正し、誤解なら誤解を解くことを行わなければならない。

日本整形外科学会から厚生労働大臣に対し柔道整復師に関する要望書

平成14年、17年、22年に出されている。


平成14年6月17日

厚生労働大臣 坂口 力 殿

社団法人 日本整形外科学会
理事長  山本 博司

柔道整復師に関する要望書

 私ども社団法人日本整形外科学会(以下日整会)は、会員数2万余の骨・関節・脊椎など運動器の疾患を専門とする医師からなる学術団体であり、国家試験合格後さらに6年間の研修を受け専門医試験に合格した者を、整形外科専門医として認定し、また認定したのちにも資格継続のための研修を行っております。
  近年、柔道整復師の施術によって症状の悪化した症例の報告が日整会会員より数多く寄せられています。たとえば肺癌の骨盤転移による痛みに対して2か月間電気治療が続けられ、4か月後に死亡された例、骨肉腫による膝痛に対して1か月間もマッサージが続けられた例、腰部脊柱管狭窄と椎間板ヘルニアの合併例に対して腰部に施術が施され下肢の麻痺を来した例など、枚挙にいとまがありません。柔道整復師には急性の外傷に対する応急的施術が認められていますが、上記のように、急性外傷とは考えられない関節や脊椎の慢性症状、診断・治療に一刻を争う悪性腫瘍や炎症性疾患による症状にまで、打撲、捻挫、あるいは挫傷という病名で長期にわたって施術を行っている例が数多くみられます。また、施術所を受診されている方の多くは、さまざまな病気や障害を併発しやすい高齢者であります。
  整形外科専門医は、たとえ外傷の契機が明らかであっても、本当に単純な打撲や捻挫なのか、骨折や重篤な靭帯損傷が合併していないか、また上記例のようにおそろしい悪性腫瘍が隠れていないかなど、診断には細心の注意を払っております。このためにX線検査をはじめ、CT、MRI、シンチグラム、あるいは血液検査等の補助的手段を必要とすることも少なくありません。
  柔道整復師は3年間の専門学校における教育後、国家試験に合格すれば直ちに独立して施術所を開設することはできますが、正しい診断に必要な上記の諸検査を行ったり、またそれらを利用して診断したりすることはできません。そして、正しい診断なしに続けられる施術が生命の危険や病気の憎悪を招く可能性があることは、上記のように明らかであります。さらに無制限の学校許可に伴い柔道整復師数は激増しつつあり、本年4月には約4000名が入学、3年後以降は毎年3000名以上が厚生労働大臣名で国家資格を与えられる見込みです。
  国民の医療と健康を守る立場から、私ども日本整形外科学会はこの現状を看過できない緊急の事態であると判断するに至りました。そのため以下の要望をいたします。

1.
柔道整復師が取り扱える疾患は、「打撲・捻挫と、応急の手当としての骨折・脱臼であり、すべて急性期のものに限る」との法を遵守するよう、関係各方面に改めて徹底願いたい。
2.
上記1.の諸点を広く国民にも知らしめるよう各方面をご指導願いたい。
3.
上記1.に関連し、法に定められている骨折・脱臼はもとより、打撲・捻挫においても、応急手当ののち、可及的速やかに、必ず、整形外科専門医の診察と診断を必要とするような制度を設置していただきたい。
4.
柔道整復師だけに認められている特殊な扱いがさまざまな弊害をうみやすいという現状に鑑み、療養費の受領委任払い制度を廃止していただきたい。
5.
柔道整復師の施術所開設にあたり、なんら制限のない現行制度のはらむ危険性をご勘案いただき、この制度を見直していただきたい。
6.
柔道整復師の施術を含めた代替医療の評価を行う公的機関の設置が将来的に必要と考えるが、当面は医道審議会の「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会」の活動を強化、活性化していただきたい。

 


 

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