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これだけは知っておいて!!
第22回 【論文を書くために(日本語論文編)】(学術編)
2011/04/16
3.論文の種類
学術雑誌には必ず「投稿規定」がある.これに従って論文を作成し,投稿することになる.投稿規定に論文の種類が定義されている.「柔道整復・接骨医学」では,論文(総説,原著,症例研究,短報,資料),教育講座等がある.
総説とは,レビューと呼ばれることもあり特定の研究対象や分野などに関するこれまでの研究の総括や解説であり,当然,広い知識と深い理解が必要で,執筆者はその研究領域の第一人者となる.
原著とは,原著論文と呼ばれ,また,単に論文といえば原著論文を意味する.新しい研究成果を発表するものであり,これまでに誰もが論文として発表していないものを指す.学会発表の段階でとどめたものを他の研究者が同一の内容を論文として発表しても文句を言うことはできない.原著論文を発表することはその研究成果が自分のものであることを確実にアピールする上で大変重要であり,また,特に柔道整復学領域では,それが柔道整復師による原著論文であることに大変意義がある.
症例研究(症例報告)とは,疾患に関する疫学調査,治療法や予後調査などを発表するものである.すでに論文として発表されている治療法の追試,検証や,治療方法の試み(経験)などがその内容となり,内容によっては原著論文として認められることもある.
Point! 【 単に論文といえば原著論文を意味し,新しい研究成果を発表するものである. 】
4.論文の構成
論文(日本語)の一般的な構成は,まず,表題(タイトル),キーワード,要旨(アブストラクト;英語と日本語ともに必要となる),目的(はじめに),方法(対象),結果,考察,結語(まとめ,おわりに),参考文献である.
- 1)
- 表題(タイトル)
できるだけ簡潔で,発表内容を表すものが良い.
論文は always new である必要がある。「新しい」「新」は禁句である。
例:●●の新整復法。●●新固定法 - 2)
- キーワード
発表内容に最も関連する3~5語程度の単語を抽出する. - 3)
- 要旨(アブストラクト)
論文全体を簡潔にまとめたものである.すなわち,目的,方法,結果,考察のすべてが含まれる.字数制限があり投稿規定に従って作成する.英語,日本語ともに必要な場合がほとんどである.
文の時制は原則として「現在時制」とする。社会的背景や他の研究を言及する必要は(殆ど)ない。 - 4)
- 目的(はじめに)
「なぜ,この研究が必要なのか」,問題点を明確にして現段階でわかっていないこと(正確にはその一部)を明らかにする意義を示して述べる.具体的には,問題点の抽出,問題点に対する着眼点,解決するための手段,解決することの意義(有用性)を述べる. - 5)
- 方法(対象)
研究方法が再現できるように記すということが大切である.そのためには実験手順は簡潔に適切にわかりやすく表現し,使用した装置も製造メーカー名を記すなどの配慮が必要がある.また,方法や対象が適切であることを示すためにも的確に記述しなければならない.また,統計処理を行った場合は用いた検定方法などを述べる.必要に応じて図,表を用いる. - 6)
- 結果
得られた結果(データ)を端的に示す.必要に応じて図,表を用いる.結果を述べるのであり,結果に対する見解,解釈は述べない.データを示す順番は,考察で述べる順番と一致していることが大切である.また,方法で用いた用語を統一して用いることも大切である.さらに,統計処理の結果についても述べる. - 7)
- 考察
得られた結果(データ)をもとに,主張を展開する.結果が意味することを必要に応じてこれまでの論文(参考文献)をふまえながら理論的,客観的に述べ,目的で述べたことが達成されたかどうかについて述べる.達成できていない点についても,なぜ達成できなかったかを述べることも大切である.独善的な考察,例えば「私の経験上・・・」というのはもってのほかである.また,結果から得られたこと以外に対して述べることは推測にすぎず,論点が定まらないため述べないかあるいは簡潔に述べるにとどめるべきである. - 8)
- 結語(まとめ,おわりに)
目的,方法,結果,結論を箇条書きで簡潔に示す場合や,文章でこれらを簡潔に示す場合がある.また,今後の展望について述べることもある.いずれにせよ,論文の概要を最後にまとめて簡潔に示すものである. - 9)
- 参考文献
論文に引用したもののみを記載する.記載は論文での登場順や著者名のアルファベット順などであるが,投稿規定に定められているのでこれに従う.登場順の場合は「長尾ら1)」というように上付き文字を用い,アルファベット順の場合は「~とされる(長尾ら 2006).」などと著者名と発表年が括弧内に表記される.