柔整ホットニュース
これだけは知っておいて!!
第1回 【療養費について】
【療養費について】
療養費の支給基準・平成21年度版より引用。太字・赤文字は著者編集。
療養費の意義
現在の社会保険医療においては、厳正な現物給付方式を建前としている。すなわち、健康保険法による場合は、保険医療機関または保険薬局等同法第63条第3項各号に定める医療機関等において一連の医療サービスの給付で行うこととしている。
従って、現金給付である療養費はあくまで療養の給付で果たすことのできない役割を補完するものである。
【現物給付】
病院・医院で診察・処置・薬・手術などの「医療」という現物を給付・受給すること。「医療サービス」を与え受けること。原則的に被保険者(患者)は健康保険証を医療機関に提示するだけで受給手続きの必要はない。(法定給付:健康保険法で支給基準や要件などが定められている給付)
【現金給付】
医療という現物(医療サービス)だけでは足りない部分を補うために保険者から「現金」を受給すること。被保険者(患者)自身が受給の手続きが必要。(付加給付:法定給付にプラスして保険者が定めた給付)
療養費の支給要件
療養費の趣旨は、上述のとおり現物給付方式の補完的・特例的なものであるから、法はその支給要件について、(1)療養の給付、入院時食事療養費・入院時生活療養費の支給または保険外併用療養費の支給をなすことが困難であると認めたとき、(2)保険医療機関及び保険薬局以外の医療機関、薬局およびその他の者について診療や薬剤の支給および手当をうけたことを保険者がやむを得ないと認めたときの二つとなっている。
つまり、(ア)無医村等で保険医療機関がないかまたは利用できない場合、すなわち、無医村あるいは医師がいても相当の距離があって応急措置として売薬を服用した場合とか、その地区に保険医がいない場合あるいは保険医がいても、その者が傷病のために診療に従事することができない場合で、やむを得ず保険医以外の医師の診療をうけた場合、(イ)治療用装具、(ウ)柔道整復師による施術、(エ)あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師による施術、(オ)生血、(カ)移送費、(キ)その他がある。(中略)
いずれの場合についても療養費の支給の可否を決定するのは保険者であり、療養に要した費用を事後においても現金をもって被保険者に支払うのが原則となっている。
【償還払い】
施術を受けた被保険者(患者)が保険者に対して健康保険法施行規則第66条に規定する所要の記載事項について記載した療養費支給申請書に療養に要した費用に関する(領収書)を添付して保険者に申請して返金を受ける。
被保険者(患者)は一旦、施術料金の全額を柔道整復師に支払い、上記手続きにより後日給付負担分を保険者より返金される。
療養費の額
(前略)
なお、これ以外に、はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術料金は、一定の基準により取り扱われており、また、柔道整復師の施術料金については保険者側との協定による又は契約により定められたところによりそれぞれ算定することになっている。(なお、前述のとおり療養費支給の可否は保険者が決めるのであり、療養費の額の決定についても具体的には保険者の定めるところによる。)
療養費の額(柔道整復)
柔道整復師会との協定及び契約に基づく施術料金の種類は、初検料、初検時相談支援料、往療料、再検料のほか、施術行為に対するものとして、整復料(骨折および脱臼の場合)、固定料(不全骨折の場合)、施療料(打撲および捻挫の場合)、後療料(整復、固定、施療後の後療が行われる場合)の4種類のみである。
支給対象(柔道整復)
被保険者等が柔道整復師の施術をうけた場合の費用は療養費として支給されるが、この取扱いは、他の療養費の場合にくらべて若干相違がある。すなわち他の療養費の場合は、被保険者等がその施術に要した費用を施術者に直接現金で支払った後に、その支払額を証明できる書類を添付した申請書を保険者に提出して療養費の支給をうけるのであるが、柔道整復師の施術に要した費用については、各保険者から受領委任にかかる委任をうけた地方厚生(支)局長及び都道府県知事(以下「地方厚生(支)局長等」という。)と(社)都道府県柔道整復師会との間で行われている協定に基づき、被保険者は施術者に対し直接現金を支払う代りに、被保険者がうけるべき療養費の受領を施術者に委任する取扱いが従来から一般的に行われている。従って、この協定を結んでいる保険者に属する被保険者等はその協定の相手方である柔道整復師会に所属する柔道整復師については、一般の保険医療機関に受診する場合と同様の形で、その施術をうけることができる。また、(社)日本柔道整復師会の会員以外の柔道整復師については、地方厚生(支)局長等との間で契約を結ぶことにより(社)日本柔道整復師会の会員と同様の取扱いができることとなっている。すなわち、被保険者等が一部負担金に相当する額を柔道整復師に支払い、被保険者等から受領の委任を受けた施術者が、保険者に療養費を請求する仕組みである。
しかし、この場合でおいても、療養費を被保険者に支給していることには変わりない。
前述した協定及び契約では、施術方針等のほか、施術料金の算定方法も定められており、この協定及び契約に基づく柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準によって施術の費用を算定することとなっている。
★柔道整復療養費の仕組みの認識
本来、健康保険においては、医療を現物で給付する療養の給付が原則ですが、やむを得ない事情で保険者がその必要を認めた場合は、療養の給付に代えて療養費の支給(償還払い)をすることになっています。この方法ですと被保険者が一旦全額を支払い、後日、被保険者自ら、保険者に請求し、一部負担金を控除した金額を療養費として還付してもらう制度です。この方式ですと被保険者の経済的、事務的負担が大変であるため柔道整復師の保険取扱いは当時の厚生省(現厚生労働省)通達により被保険者保護の立場から特例として各都道府県ごとに社団法人柔道整復師会との【協定】または個人との【契約】を結び、一部負担金のみを支払う受領委任払い方式となりました。
これはあくまでも、柔道整復師のためでなく、被保険者保護のために特例として出来た制度であるという認識を全柔道整復師が持つことが必要です。