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多部位請求に依然地域差
厚労省は9日の社会保障審議会医療保険部会で、柔道整復施術療養費の多部位請求の割合を明らかにした。
多部位請求の問題は一昨年、政府・行政刷新会議が問題視。22年の療養費改定時に3部位目の給付率を80%から70%に、4部位目は33%から0%に引き下げた。また、骨折・脱臼の医師の同意を、施術録のみならずレセプトにも記載するようにしたほか、レセプトに施術日の記載も義務付けるなど、適正化対策も講じている。こうした影響もあり、多部位請求の割合は全国平均で20年度に51.4%(3、4部位)あったものが、22年度には46.8%(3部位以上)へと4.6ポイント減少している。
しかし、多部位請求の割合が特に多いことが問題視された大阪府、兵庫県、徳島県、奈良県は、22年度も大阪府で74.5%(20年度79.5%)、徳島県で72.4%(77.6%)と7割を超え、奈良県65.4%(76.9%)、兵庫県62.0%(78.1%)も6割以上と、他県と比べて圧倒的に高い実態も改めて浮き彫りになった。
その一方で、岩手県は15.6%(19.0%)、山形県18.3%(23.6%)、青森県20.2%(26.3%)、愛媛県21.6%(20.8%)、富山県22.0%(24.0%)などは低い。22年度は最も高い大阪府と最小の岩手県で5倍近い開きがでており、厚労省も「都道府県ごとに患者に大きな違いがあるとは思えない」と話している。
柔道整復師が年々増加しているという背景もあり、柔道整復療養費は、近年は国民療養費を上回る高い伸びで増加している。厚労省は21年度の療養費の推計を示したが、柔道整復療養費は4023億円(2.3%増)となる見通し。20年度の伸び率は国民療養費の2.0%に対し柔整は4.9%増となっている。
小林剛委員(協会けんぽ)は「保険者としては今すぐにでも適正化を進めなければいけない問題」と述べ、横尾俊彦委員(後期高齢者医療広域連合)も「(疑いのある施術所に対する)保険者、都道府県、地方厚生局に確認権限を与えるなどして正しくやってもらうことが重要」と指摘した。「柔道整復施術療養費は全て紙で様式はバラバラ」(白川修二委員、健保連)というIT化による適正化に対する意見もあり、部会は適正化に向けた取り組みで認識は一致した。
厚労省は24年度中に柔道整復施術療養費のあり方を議論する場を設けるとともに、24年の療養費改定でさらに適正化を実施する方針だ。
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<ニュースソース>
国保新聞 (2011/11/20)