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(公社)日本柔道整復師会 第47回東海学術大会・第94回中部接骨学会開催

2012/12/01
一般公開講座・特別講演
『食生活とがんについて』

岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学教授永田知里氏は、〝癌は、遺伝的なもので決まると思っている人は多いが、癌は遺伝より環境で変わる。癌は増加したけれど治療は良くなったという例は今ですら無い。乳癌は大変予後が良い癌だが、確実に増えている。例えば乳癌が多いとされているアメリカやヨーロッパでは、白人は肉をいっぱい食べているからではないか、野菜を食べていないからではないか等の説があるが、疫学はそういった仮説を本当にそうしていたら乳がんになりやすいのかどうかを確かめようとする学問である〟等、疫学研究について解説し、1990年代になってから日本でも多くのコホート研究が始まった。厚生省コホートは、11保健所管内の住民110,536人を対象(1990年)、東北大コホートは宮城県の住民99,634人を対象(1990年)、高山コホートは高山市の住民33,399人を対象(1992年)に行われ、中でも高山コホートスタディを紹介。実験研究でない以上、どうしても人を対象とすると1つのコホートから出てくる答えは、エビデンスとして固いものではなくメタアナリシスという統計的な手法がこのところ盛んに行われている。リスク低下において確実なものはないが、可能性大なものとして野菜(いも類、漬物除く)アリウム属野菜、可能性ありとしては、豆類、セレニウム、リスク上昇する確実なものはないが、可能性大なものとして塩分・塩蔵食品で、可能性ありはチリ、加工肉、くんせい肉、グリルド動物性食品があり、データ不十分なものとして、穀物・食物繊維・じゃがいも・種実類・肉類・乳製品・脂肪・コーヒー・アルコール・糖質・カルシウム・ビタミンとされている等、報告。講演最後に永田氏は結果報告が発表される度に一喜一憂せずに信頼できる本からの情報を基に、自分の食習慣を眺めてもらいたい。もっとキチンと国がサポートして大がかりな、最後の転機まで追いかけるような疫学研究が行われるよう、疫学研究に対し国民のご理解を得られれば良い〟等、疫学研究への協力を仰いだ。

 

会員研究発表は、『私の行っている母指弾発現象の運動療法について』愛知県・山本尚氏、『スタビライゼーショントレーニング効果の調査報告』岐阜県・平田壮志氏、『当院における有痛性運動制限を伴った頚部捻挫に対する施術方法の紹介』三重県・宮原大輔氏、『アキレス腱断裂に対する保存的療法~早期荷重を考慮した1症例~』静岡県・時田光晴氏、『扁平足が増悪因子として考えられた内側型一次性変形性足関節症』本部会員・志水義人氏、『当院における保存療法による肩鎖関節脱臼Rockwood分類TypeⅢ損傷の予後に関する調査~転位残存の程度、固定期間に着目して~』本部会員・永田達也氏、『大相撲名古屋場所における当院の柔道整復師を中心とした救護活動の報告』本部会員・岡崎高章氏ら7題の発表が行われた。

(文責・編集部)

 

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