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東北地区保険者会議、第8回保険者会議開催される

2012/06/16

平成24年6月7日(木)に柔道整復師センター(東京都中野区)にて行なわれた「第8回保険者会議」では、資料説明、地域連絡員からの保険者訪問報告の後、審査・支払制度について議論が交わされた。

保険者から、

保険が使えるという看板が掛かっている整骨院もあり、私も健康保険組合に着任するまではその言葉通り、何をしても保険が使えるものと思っていた。保険が使えるもの・使えないものの周知徹底は、保険者としては当然やらなければいけない。しかし今更、柔整師が被保険者に全額負担を求められる訳がなく、柔整の方は如何に保険を使うかということに知恵を回すしかない。そんな状態でどのように審査をするのか。
申請書を見る限りでは、患者と柔整師の間にどういう契約が成り立っているのかわからない。保険者が審査しても、何部位で何か月掛かっていてどういう状態だということ位しかわからない。こういうところを明快にすることが柔整師さんの身分を保障する最たるものではないか。
一言で言えば気持ちが悪い制度。保険者にとっても治療する柔整師にとってもはっきりしない部分がある。患者さんも保険料を払っていて痛いのに掛かって何が悪いんだと感じてしまう。これは国の制度で決めなきゃならない。どういうルールが理想なのかという点については、保険者側、柔整師側、患者さん側で様々な見解があると思う。

と、申請の不透明さ・基準の曖昧さを指摘されると、本多氏は〝如何にごまかして治療を受けるかということで患者と柔整師が共謀する。それを全く現場を見たことがない審査員が審査をする。この構造を改革すれば、支払が厳しくなって緊張した治療が出来るようになり、適正な支給が出来るようになるのではないかと思う。柔道整復師の治療がレセプトから見えないというのは仰る通りで、もっと審査情報を増やさなければならない。私どもが試案の中で提案している登録制度では、この柔道整復師の施術所はどんな構造で主にどういう治療をしているのかというところまで登録させようと考えている。1枚の申請書ではわかり難い部分も、登録事項を照会してある程度予想を立ててから患者や柔整師に照会すれば治療が立体的にわかる〟と、登録制度によって透明化を図ることができると説明。

これに対し、保険者からは〝5つ位の傷病名に全部押し込んでしまうから無理が出る。様式が整っていれば通ってしまうが、我々素人が見ても傷病名がパターン化しているものもある。傷病を具体的に書いてくれれば素人にも判断が出来ると思う〟〝打撲・捻挫だけでは柔道整復師も生活できないと思う。それだけではなくもっと範囲を拡げて明確なものにする方向で改革すべき〟と理解を示す声も上がった。

一方で、

これから高齢化の中で、柔整にかかる回数や頻度は多くなってくると思われる。だからこそ柔整治療の限界を患者さんに示すということが必要ではないか。
長期にわたる施術は内科的要因も考えて受診しなければならない。来て頂けるのは有難いから漫然と施術をしてしまっているケースもあると思う。

と、患者を抱え込むことで生じる医療事故を懸念する意見も挙げられ、本多氏は〝日本の医療体制は、どこで治療してもらうかという判断は患者がすることになっており、リスクは患者が負担する。当然、柔道整復師も4~5回施術しても症状が軽減しないという時は他の原因を考えなければいけない。これは医者でも柔整師でも同じです〟と述べた上で、療養費の支給に関しては〝柔整師の場合に一番強調したいのは、外傷を基本とするということ。五十肩や四十肩など原因がわからないものも痛みを緩和するという意味で、症状や腕が何度上がるのか等を測定してきちんとした情報を伝えれば保険者も判断がしやすいだろうと思う。支給するのは保険者なので、被保険者の需要を見ながらここまでは許容できる・できないという基準を作っていくのもひとつのやり方ではないか〟とした。

また、規律をつくるためには償還払いに戻すのが一番ではないかと意見する保険者がいる一方、償還払いにすると小額であっても直接患者個人の口座に払わなければならず、振込手数料も嵩んでしまい現実的ではないと異論を唱える声もあり、本多氏は〝それほど差がないのだとすれば今の制度からもっと規律正しいものをつくっていけばいい。大きく二つの道筋を考えています。ひとつは厚生労働省と改革第二次試案を実施したいという話をする。もうひとつは保険者さんとの間で、こういう基準はどうかという個人契約をしたい。償還払いもひとつの方法ではあります。行政が設置する社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会にもいろいろ提案していきたい〟と今後の方向性を語った。

 

地道な活動の結果、改革実現までもう少しのところに来ているが、やはりハードルが高いように思われる。最後の一歩を進めるために、柔整師・保険者双方が目先の自己の利益を追究するのではなく、長期的な業界の浄化・患者の為の医療を念頭に置き、議論をする必要があるのではないだろうか。

 

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