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東北地区保険者会議、第8回保険者会議開催される
平成24年5月28日(月)、ウェスティンホテル仙台において“患者と柔整師の会”主催「東北地区保険者会議」が、6月7日(木)に柔道整復師センターにて「第8回保険者会議」が開催され、同会の提案する『柔道整復療養費受領委任払制度改革第二次試案』について意見聴取が行われた。
東北地区での初めての開催となった「東北地区保険者会議」では “患者と柔整師の会”事務局より資料説明が行なわれた後、地域連絡員の五十嵐氏から保険者訪問の報告が行なわれた。
五十嵐氏は〝保険者の多くが柔整業界全体に不信感を抱いている。その根本は不正請求が極めて多い、特に個人請求の柔整師の請求内容が極端にひどいということで、総合的に考えるとどうしても業界に対して信用ができない部分があるとの意見が大半の保険者さんから挙がった〟と述べる一方、〝今までこのような形での柔整師業界と保険者の情報交換はなかったので、以後も是非継続して行なって頂きたいという意見も頂いた〟として活動に共感する保険者も数多くいることを示した。
次に司会進行役の本多氏より、改革の試案について〝柔道整復師は今、団体に所属しなくても個別に療養費の受領委任請求ができるシステムになっている。規律が厳しいので団体には入らない。結局、個人請求者はどんどん増える。そこで団体に入らなくても良いから、業界団体に登録をした人だけが公的資金である療養費を扱うことができる認定登録制度を考案した。また、今は柔道整復師でない人、或いは柔道整復師であっても施術を全くしない人が経営者になっている場合があり、雇っている管理柔整師の名前で請求をする。請求させているのは経営者なのに不正をすれば表に出ている柔整師だけが刑事責任を追及され、経営者は新しい柔整師を採用すればいい。ここにメスを入れ、裏に隠れている経営者を表に出すことによって不正・不当請求による刑事責任を追及していくことができる。審査についても、業界が費用を出して審査委員会を作り、そこで事前審査を行って保険者さんに規律のある申請書を提出できるようにする。事前審査の済んだそれを審査するかしないかは各保険者で検討して頂く。振込は支払機構で全部纏めて、仕訳をして各柔整師に支払うという仕組みを考えている。こうすることで効果的かつ効率的な審査・支払いをすることができる〟として、請求者側、支払者側の双方が情報を交換し合い、折衝をしていく必要性を述べた。
試案の説明を受けた保険者からは、
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- 審査会の委員の委嘱は誰が行うのか。
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- 実際にこの登録制度のような仕組みは何時できるのか。
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- 規制を強化すべき。施術の金額を下げるだけでは根本的な解決にはならない。
といった意見・質問が上がり、本多氏は〝審査委員は業界団体が委嘱する。医師の場合には医師会にご推薦願い、弁護士の場合は弁護士会に、その他はそのような学識経験者団体に推薦して頂く。保険者からもOBや現職の方をご推薦頂き、2年位の任期で切り替えていきたい。特に徒手整復を中心に行なっている整形外科と柔整は利害がぶつかる可能性がある。そのため弁護士等の学識経験者に入ってもらう方が公正な審査ができるのではないかと考えている。保険者がやりましょうと言ってくれるなら、我々は明日からでもできる準備はある。きちんと登録名簿を出して、基準も作って透明度の高い審査をして、実務面も財政面も保険者さんには負担をかけません。その代り、登録していない柔整師から請求が来たら償還払い以外は認めないで頂きたい〟と主張した。
支給・不支給決定は厚生労働省の指導の下に行なうという意見が挙がると、〝厚生労働省にも話を伺ったが、それは保険者が決めることだと仰る。保険給付は保険者が医療サービスを提供するために医療機関に委託するというもの。療養費はそれとは法的に違う話であり、保険者が必要性を認めたから支給するということになっている。しかし制度の根本をきちんと議論しないで、保険者に権限を与えるというのは砂上の楼閣。業界も保険者もどんどん意見を発信し、行政が取り纏めていくべきではないか。柔整師や鍼灸師・マッサージ師等の療養費は年々上がっており、何とかしなければいけないのも事実だが、数字だけ追って療養費が上がってきたから制度改革をするというのは間違いで、まずは良い治療、良いサービスを国民に提供するためにはどのような仕組みを作ったら良いかを議論するべきだと思う〟とした。
また〝社会生活や経済生活の中で、腰痛症のように原因が特定できない疾病はこれからますます増えてくると思われる。整形外科の先生は原因が特定できなくても治療して患者に喜ばれているが、柔整治療とどのような違いがあるのか。明らかな外傷と捉えにくいものをどう審査の中で取り上げていくか〟との本多氏の問いかけに対しては、出席していた整形外科医から〝腰痛症で治療をしているが、それ以外の部位を治療しても点数は1部位しか取れない。保険診療は変わり、厚生労働省は基準を厳しくしてきている〟と話があり、本多氏は部位別請求にすると部位転がし等の不正につながる虞もあるため、柔整師も原因を特定できない疾病の施術は包括請求にすべきと自身の考えを述べた。
試案に概ね賛同するという保険者も多く見受けられたが、
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- 個別の柔整師に対して何ら対策が打たれていない中で、果たしてこれを行なっても良いのだろうかという疑問はある。やはり柔整業界が纏まるべき。
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- 今の制度を急には変えられない。時間をかけていかなければならないと思う。
と実行を躊躇う意見もあった。
これに対して本多氏は〝厚生労働省や日整にも働きかけをしているがなかなか難しい。何とかこの現状を打開したい。保険者さん達と忌憚なく本音の意見を言いながら、少しずつ案を作って行こうと思っている〟とした。