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この人に聞く!【大東医学技術専門学校専任講師・稲川郁子氏】
大学でも専門学校でも、養成機関で学ぶ傍ら、また資格習得後でも、とにかく充実した研修期間を経ること。その上で、軸足はあくまで骨折・脱臼の治療、つまり「ほねつぎ」に置いて、残りの片方の足をスポーツ障害、慢性疼痛治療、さらには介護分野などに置く。柔道整復師の役割は、その数の増加とともに多様化していますが、軸足はほねつぎから外してはならないと思います。
大学が設置され、柔整独自の研究環境は整いつつあります。しかし、大学病院とは異なり、接骨院は小さな地域に密着してこその存在です。今後も、大学だけではなく「在野の研究」が重要であることは言を俟ちません。しかし、柔道整復師のもとを訪れる骨折・脱臼の患者が減少している中で、柔道整復師の「ほねつぎ」としての社会的使命は不明確になっていると言わざるを得ません。それが時代だと諦観するのではなく、そんな今こそ、いま一度「研修」の重要性に立ち返るのが重要なのではないでしょうか。行く末も来し方も、柔道整復師は師匠のもとで修行して一人前になっていくのです。
年度末になると、いつも思い出すことがあります。私がまだ教員になって2年目、年度最後の授業で、ある学生さんが私にこう言いました。
先生、僕は、先生の言う「骨の接げるほねつぎ」になりたいです。接骨院と看板に書いてあって、骨折や脱臼は診ませんというのでは、ラーメンを食べたくてラーメン屋に入って「ラーメンください」と言ったら、「いやウチはラーメンやってないから」と言われるのと一緒ですよね。僕はそんなラーメン屋はイヤだし、そんな接骨院もイヤです。僕は、ラーメンを出せるラーメン屋でありたいです。しっかり修行して、骨の接げるほねつぎになって見せます────。
彼が今、「骨の接げるほねつぎ」として活躍しているかはわかりません。でも、ほねつぎ魂は忘れないでいてくれると思います。
プロフィール
稲川 郁子
【学歴】
1997年 日本福祉大学社会福祉学部学社会福祉学科卒業。
2000年 大東医学技術専門学校柔道整復科卒業。
2008年 明星大学大学院人文学研究科・教育学専攻博士前期課程修了。
現在、明星大学大学院人文学研究科・教育学専攻博士後期課程在学中。
【職歴】
1998年~2008年、医療法人宏友会栗原整形外科理学療法科職員。
2006年~現在 大東医学技術専門学校柔道整復科専任講師。
【免許・資格】
柔道整復師、社会福祉士、介護支援専門員