柔整ホットニュース

特集

「柔道整復の歴史的背景からみる傷病名(負傷名)見直しの必要性」を拝見して

2012/01/16

柔整ホットニュース愛読者

柔道整復業界に対する数々のバッシングも常態化し、ある意味慣らされてしまったと言える昨今、柔整ホットニュース読者諸兄はどのように感想を持たれているであろうか。
特に本年は柔道整復療養費に係る料金改定年度であり、その行方を懸念するのは筆者ばかりではないであろう。
前回、平成22年度の料金改定では、法的拘束力のない事業仕訳の結果はもとより、あたかも不正の温床と決め込んだマスコミ報道等をも起源とした料金改定がなされたことは記憶に新しく非常に悔しい。
加えて、保険者の連合体から柔道整復療養費改定に関する数々の厳しい改善要望がなされたことも忘れてはならない重要な問題である。

最近のマスコミ報道は全体的に、中立公平な姿勢を逸脱した感が否めないが柔整業界を報道する姿勢も例外ではない。
そのひとつとして「ケガのねつ造柔整師」の見出しに心痛めた方々も多いはずである。
この報道では、柔道整復施術と算定に係る傷病名はでっち上げばかりであると指摘されているのであり、誠に心外な報道で決して看過してはならない大問題である。

マスコミとは違う視点で柔整バッシングをなさるJCOAでは、医科の概念である急性期・亜急性期・慢性期の捉え方を準用し、柔道整復が扱う傷病は受傷後一週間程度の一般的新鮮外傷のみがその対象であり、現状の請求内容の殆どが不適正な傷病名によるものばかりだと決め込んでおられる。
長年の伝統的施術と身分を認められ、且つ国民的ニーズのある柔道整復を消滅できれば整形外科リハビリ点数のプラス改定になろうなどと特異な議論展開される一部の整形外科医師によっても我々が辟易させられるもののひとつであると言えよう。

それらの経緯を踏まえると本年に予定される料金改定では、会計検査院による調査結果ならびに、大よそ柔道整復の現場に疎いと思われるメンバーで構成された社会保障審議会による公聴会の結果によって非常に厳しい改定が行われることは当然で、容易に察しがつく。
つまり、「適正化」の名を借りた「柔道整復療養費総額抑制」が強化されることは必至であり、ほぼ間違いないであろう。
いわゆるマルメ(定額包括算定方式)や、頻回受診抑制(実日数逓減)などが実施をされれば・・・と想像すると不安が大きく襲う。

柔道整復の法的な業とは「柔道整復」とされており、柔道整復療養費受領委任取り扱いに係る支給基準においては、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的疾患は含まず、急性又は亜急性の介達外力によるいわゆる筋腱組織の損傷も施術の対象とされている。
確かに活字文面的な傷病対象は一般的に、いわゆる「ケガ」と言うことになる。
さてしかし、ここで大切なキーとなるのは「亜急性」という概念である。
この亜急性と言う文言は、それまでの支給基準等に係る通知通達を整理された平成9年から登場した概念であるが、この文言に対する厚生労働省による正式な定義づけはなされておらず、放置されたまま今日に至っている。

そもそも平成9年までに使用されていた傷病名は、捻挫という分類で思い出してみると、○○部捻挫とされていた筈である。
例にあげると「肘部捻挫」、これは肘関節の損傷でもあり、且つその周囲組織の損傷にも、日常のいわゆる反復的動作による損傷にも使用されていたと筆者は理解している。
勿論、昭和60年に発令された通知による筋・腱の断裂いわゆる肉離れや挫傷を伴う場合もあるとした内容も含めての理解であることも添えておきたい。
しかし、この○○部捻挫と言う傷病名の使用方法では、医療の一部を担う柔道整復師の取り扱う傷病名として支障があるであろうことから、○○関節捻挫と改正され現在に至っている。

 

前のページ 次のページ