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「受診者照会文書」が患者さんに届いたら…

2011/10/16

さて、それほどの時間経過を経て患者さんの記憶とはどうであろうか、私なら正確な回答はまず不可能である。
申請書の写しでも手本にしないと、100%正確な回答とはならないであろうことから、申請書内容と受診者調査結果とが整合しないとの理由で返戻となる。
この時点で、当該の患者さんの施術月から既に半年近く経過することになり、適正な柔整師にとっては迷惑千万なことであるが、これが保険者による適正化のスタンダードになりつつある。

患者さんに届けられる照会内容は、すべて設問方式になっているが、これが明らかな誤解や回答誤りのようないわゆる誤認を生む根源であると思えなくもない。

この手法には様々な問題を含んでいるが、その点については専門の方々にお任せするとして、とにかく現実的に我々としては正当な対応を行わなくてはならない。

まず我々柔道整復師は、調査が行われるか否かなどと保険者によって区別した捉え方はよしておくことが最も大切であり、一律に保険者は調査を行なうとものと考えよう。

筆者は患者教育が大切だと考えるが、間違って患者誘導になってはならず、あくまで急性または亜急性損傷の範疇にあり、柔整療養費として請求が認められるべき施術や治療であり、患者の保護精神を第一とした請求予定の内容である旨を患者に伝える事が肝要である。
特に亜急性による損傷に対する算定は、損傷の機序などを詳細に説明し、傷病名についても少々時代錯誤の感があるが、守るべき義務として充分に伝えるべきである。(保険者から捻挫・打撲・挫傷のねつ造だと誤解されないよう)
このように整理して考えてみると、数年振りにプラス改定として料金表に新設された初検時相談支援料の意味は非常に重要ではなかろうか。
面倒くさがらずに初検患者に対して、受領委任の署名や施術や治療の根拠となる傷病名、そして算定方式等詳細に患者説明することによって、柔整そのものを患者さんに理解してもらえる絶好のチャンスにもなるはずである。
また、完全義務化となった領収書発行については傷病名などを追記するのも良いであろうし、低料金による明細書の発行も扱い方によっては受診者調査対策のひとつとなるのではなかろうか。

民間調査会社の利益となる根拠とは、おそらく受診者照会によって最終的に我々の申請書が返戻となり、返戻された申請書を再提出しない事例が増えれば増えるほど業者利益の源となると同時に、我々の請求自体も非常に曖昧なものであると示すような結果をおのずと生じるはずである。
返戻された申請書の再提出だけは怠ってはならないことは最も大切な対応ではなかろうか。
今後はどのような保険者であろうと、受診者照会の名を借りた執拗な通院調査が行われると予測をして適正な患者教育(患者理解の獲得)を心がける必要性を強く感じる。
また、充分な信頼関係が築けている場合には、当然の如く患者さんから調査に対する相談があるであろう。
常に患者目線による柔道整復へのニーズを維持すると同時に、適正な施術と算定を基とした患者さんとの信頼関係の維持が構築されていれば、案じる必要はあるまい。

補足的にガリバーインターナショナルなる調査会社の手法を参考に示しておくが、民間業者主導的とも忌まわしいとも言えなくもない調査手法が本当に患者さんにとって保険者にとって我々にとっても良策と言えるのであろうか、確かに大きな疑問である。

【参考:ガリバーインターナショナル 照会文書

 

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