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「受診者照会文書」が患者さんに届いたら…
筆者はいわゆる受診者調査(民間業者による通院内容調査)について多くを知らないが、昨今は例にもれず覚悟しなければならないようであるので、一筆したためることにした。
関西地方では当然のように実施されていると聞く受診者調査であるが、なぜ当たり前のように実施されているのか大きな疑問である。
一般に医科を中心とする医療費は西高東低と言われ、高知・広島など中四国や九州が高く、東北・関東信越・東海地方は低いとした統計を目にした記憶がある。
また柔道整復に関しては、平成20年頃に朝日新聞によって大阪府や奈良県が多部位請求の多い地域であると掲載されたことがあったが、これについては、会員数の多い公益社団法人大阪府柔道整復師会や、同じく会員数の多い全国柔整鍼灸協同組合が存在するからなのであろうか知るところではないが、根拠はどうなのであろう。
さて、広く関東地方にも波及が懸念される受診者調査とは、どのようなものなのか。
本来、保険者には柔道整復師から提出された療養費支給申請書による請求に対して、適宜その内容を調査し確認した上で支払を実行する義務がある。
確かにIT化に遠く及ばない柔整の請求方式では、保険者としても内容点検に相当な労苦を伴うであろうことは容易に察しがつく。
また、申請書様式が団体の違いを問わずようやく統一化されたとは言え、いまだに紙ベースであり、算定内容や負傷原因や長期理由記載など複雑極まりない内容である。
そのような理由から、民間業者による調査の委託業務が導入されることは仕方のない事なのかもしれない。
しかし受診内容の調査とは本来、疑義のある請求事案に対してあくまでも適正化の観点から保険者の責務として実施されるべきものであるが、どうも実際はそのような観点から行われている受診者調査とは言えないのが現実らしい。
以前、本サイトにて民間調査会社をあえて返戻屋と称された御仁がおられたが言い得て妙である。
はてさて、それでは実際に保険者より委託を受けた民間調査会社による調査が実行された場合にはどのような注意が必要となるのであろうか、愚考してみる。
調査までの主な流れを整理すると、施術(治療)の根拠を明らかにした施術録(カルテ)をもとにして月末に療養費支給申請書(レセプト)を作成する。
作成された支給申請書を所属する団体(個人請求もある)を経由して保険者に提出する。
団体経由で提出される場合には、自主審査と言う内容チェックを行う場合もある。
保険者へ提出された申請書に基づいて、いよいよ調査会社の出番である。
以前は、高額・濃厚・長期・多部位(これらの意味は全く不明であるが)の申請書に対して、調査対象となることを聞いたが、昨今は殆ど一律に行われるようである。
調査の内容とは、ケガをした負傷で間違いがないのか・通院日数に誤りがないのか・支払金額の確認・施術の内容などが主である。
ところが、聡明な諸兄はおわかりだと察するが、これらの照会と称した調査書類が患者さんの手元に届くのは施術が行われた当該の月から2~3カ月を経過してからのこととなる。