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「患者と柔整師の会」主催、第3回保険者会議が開催!
平成22年9月2日(木)、「患者と柔整師の会」主催、第3回保険者会議が柔整会館で午後3時30分より開催された。柔道整復師の療養費・受領委任払い制度について共通の認識を持って、改善、改革していこうとする関係者約60名(今回は9つの保険組合が出席)が会した。これまで、患者と柔整師の会が提案している「柔道整復診療の療養費受領委任払い制度改革基本試案」の適格基準のうち、第2次基準(痛みや運動制限などの緩和)、第3次基準(同一負傷の併療)を中心に、意見交換が行われた。司会進行は弁護士の本多清二氏が務めた。
先ず第2次基準(痛みや運動制限などの緩和)について柔道整復師側から意見が出された後、保険者から〝外傷とはいえない慢性疾患等を外傷という形で病名を作り上げて、実際は怪我をしていないのに、怪我をしたという形で、しかも余分な負傷部位が加わって請求が来ることを一番問題視している〟と意見が出された。又〝五十肩について保険適用するか、しないかという発想自体、基本的にはない〟という意見も出された。これについて司会者のほうから〝外傷の疾患については、整形外科でも接骨院でも問題はない。原因が明確でないもので、接骨院にかかったことがあるか〟とした質問に対し、患者さんから〝ぎっくり腰でかかったが整形外科では治らなかったものが、接骨院で治療法がピッタリ合ったのか、治った〟との意見。また柔整師からは〝負傷原因がハッキリしない五十肩やぎっくり腰についても、捻って傷めた筋肉と関節の位置が狂っている、それを戻すために施術しており、肩関節捻挫で請求、腰の場合も同様に骨盤を調整するという考えに基づいて腰部捻挫として請求している〟との意見。保険組合I氏は、〝柔道整復師の療養費が非常に増えているので少しでも適正にしたいということでレセプトを全部見ている。当組合は、初診については、全部照会をしている。その中で一番気になるところは、2ヶ月間毎日通院しているレセプト。何ヶ月も同じ人が続けて行っているレセプトが、実は知人の息子で聞いたところ、野球部のピッチャーで肩をマッサージしているという話だった。他にも自動車保険が適用されているので自己負担は払っていないといった不可解なレセプト、全てがそうではないが、疑惑がそこらじゅう出ている。そういうことが起こらないような対策を何か考えなければならない〟と発言した。保険者A氏からは〝逆に月に1回しか行かない患者さんも問題で、治す気があるのか。またインターネットや看板等の広告については非常に問題がある。保険の効く業務と効かない業務があり、保険者は急性・亜急性以外はダメだと思っているが、柔整師も委任払いという形を止めて、医科・歯科・調剤に準じたような取扱いに格上げしなければ・・・〟という意見が出された。柔整師であり、学校の教員であり、審査会の委員も務めるというM氏は〝亜急性をどう考えるか。柔整師、保険者さん共に悩むところで、学校教育では「繰り返して加わった外力によって傷めたもの」と定義している。疑問を感じるのは、外傷に対する力の働き方、メカニズムを殆ど教えていない。もう一つは、長期に施術した場合、「長期施術継続理由書」を書くことになっているが、医学的根拠に基づいて書かれているのかというものが多い〟との指摘もあった。更に患者さんから〝整形外科に40回、スポーツ整形に60回も通って投薬・注射も受けたが治らなかった。保険料も支払っている。柔整のほうがいいから私たちは行くのです。整形と柔整にどうして差があるのか。現在の法律がおかしいのではないか。ちゃんと治してくれるところに保険適用をしていただきたい〟との要望。ここで司会者から〝原因が分からないものについて、原因はみなあるが、今の医学の力では解明できないものがある。しかし、問題は、どうやって不正を防止する規律をつくっていくかということで、もう1つは、原因を特定しにくい「五十肩」や「ぎっくり腰」の疾患を扱った場合の規律についてである〟と話があり、柔道整復師側から〝基本試案の「痛みや運動制限の発症原因を特定し、それに整合性のある治療であること」についてだが、負傷原因を特定することはかまわないが、整形でも分からないことを柔整に要求するのか〟とした意見。保険者からは、〝医者でも分からないことが、どうして分かるんだ。そこが正に保険者と柔整師の溝であり、もともとは原因が明らかであるから外傷を扱って良いということが第一であり、打撲等、誰が診ても打撲と分かるものだから扱ってよいというのが法の趣旨であったはずで、痛みの原因を特定したり推論しなければいけないようなものは本来対象ではない。我々が見る限り、本来の請求よりも、そうではない請求が圧倒的に多い。全部十把一絡げにしたくはないが解釈の余地は無いはずである。今の基準を横において、新しい基準を作ろうとするより、今の基準をキチンと運用すればこういう問題は起きていないはずである。根本的なところが変わらない限りは何も変わらない〟とした意見に対し、司会者は〝明確な基準で行えれば、こんな楽なことはありません。しかし、そこで置き去りになっている弱い立場の患者さんや、この基準を上手く利用して金儲けをしている柔整師をどうするのか。問題を正面から取り上げて、普通の認識で制度改革に持っていく〟と述べ、保険者A氏から〝制度疲労が起こっている現在、「保険柔道整復師制度」を創設するべきで、昔、院内で処方、調剤していたものを外へ出したように、理学処方箋を作って整形外科で診てもらった上で、後療を接骨院で行うといった新しい制度の構築が必要〟とあった。また医療ジャーナリストのW氏は〝整形外科と柔整師の守備範囲を明確にしないとこの問題は解決しない。不正について言葉はきついが、会員を外すとか何か懲罰の原則をつくらないと、何時までもこの議論を繰り返すことになる〟。再度M氏から〝原因不明の痛みがある、患者さんを保険適用にするかどうかの議論と今の療養費制度における受領委任払いの基準についての議論を混同している限りは結論が出ない〟〝皆さんのところに来られた方が全て保険の対象ではない。ちゃんと自由診療の部分と保険請求の部分を分けていただければよい〟等、原理原則を重んじるべきとした意見がだされた。患者さんから〝保険制度はいったい誰のためにあるのか!〟と言った究極的な問いも投げかけられ、強い口調で保険者とやり取りが交わされる場面もあった。またA氏からは〝料金がどうして違うのかという質問に対してであるが、同じ病院でも大きな病院と小さな病院では違うし、健保組合も医者も分からないほど複雑多岐になっている。柔整療養費については、厳しくやる健保とやらない健保の差が出たというのは、整形外科にいくより、柔整にかかったほうが安い。患者さんにとっても安いほうがいい。料金の問題は国が決めているということで理解していただくしかない。政権交代したことで、良い制度にしてもらうしかない〟と述べた。