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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その4 外部委託業者問題とは?―

2010/09/01

素通りしているってことでしょうか?

牧野   ただし、保険者は分かっていない。

苅谷   〝おかしい?〟と言いつつも、返戻されて来るものについては現場に居る人間としては対応しなければなりません。

 

最後に苅谷保険部長は〝一番は、なんで社団が狙い打ちなのかということですね〟と。牧野副会長は、〝そもそも保険者が委託契約を結ぶようになったのは、「安上がり」ということです。これだけ団体・個人契約も多いということは、切手の料金もそうですし、膨大な手間とコストが嵩みます。丸投げしたほうが「安上がり」、ただそれだけなんです〟と話されたことが印象的であった。

 

◇さて、このシリーズも4回を重ねて、徐々に焦点が絞られ、明確になってきたことがある。

ガリバーなどの外部委託業者の存在を否定できない状況であり、それに対応するには曖昧や暗黙の了解は通用しないという現実があるということである。
これまで患者照会により、施術者と患者の意見が相違するとして返戻されるが、再請求するとその約95%は支払われるとされている(しかし、返戻された内の3割は再請求されないという団体もある)。このことは結局95%支払うとしても、コストにみあう療養費の削減に繋がっているということであろう。
民間調査会社或いは保険者は、患者照会の目的が、不正の発見にあるのか、療養費の削減にあるのか分からないような事例がある。患者調査は、不正という視点で見るとなくすことはできないが、患者の受診抑制になるような患者調査も見受けられるということである。患者調査の内容については、業界では精査して受診抑制に繋がる内容については、明確に指摘し、改善を要求するべきである。
社団と保険者間の協定においてローカルルールというものがあり、認められていた疾患が、民間調査会社の社員にそういった知識が全く無いために、相互の話し合いもままならない状況だという。結果を言えば今後も曖昧なものは認められない傾向に進むであろうし、協定書がすべてであると言われれば反論もし難い。結局は曖昧なものや暗黙の了解ごとは事情が変われば無いに等しい。結論を言えば協定をみなおし、明文化するしかないということになっていくしかない。
柔整の範囲、業務範囲が正しく理解されるためには、どのような手段をとれば良いのだろうかという疑問が残ったが、こうした内容は実は、10年以上前から分かっていたことであり、業界が曖昧にして対応策をしてこなかったことも原因としてある。業務も曖昧さが許されない時代に来たと認識するしかない。
返戻に対する対応策についてだが、正しい内容である限り再提出すれば現状ではほぼ95%支払われるので、正しく説明を添付して再提出で対応すれば良いと思う。ただし作文やヤラセでは、第三者からすると逆に信用を失うのではないかと思われる。状況をみると業界の言い分もわかるが、出来る限りは医療上の正しい説明で返戻に対応するのが基本的に信用を得ることに繋がると思う。
不思議なこともある、シリーズその1で取材したJB日本接骨師会の場合は、民間調査会社に委託する保険者が激増したために返戻の絶対数が増えたものの、執拗な保険者さんが民間委託したことで、事務的になり緩和されたと話していた。しかし、神奈川県社団の場合、「狙い撃ち」されている感があるというのだ。更に全柔協さんの会員によると〝ウチは返戻なんか一件も無い〟と言われたのも事実。この違いはなんであろうか。もし事実とするならば、社団が狙い打ちされている理由について取材調査を続けたい。
保険者からすれば組合員やその家族の健康を低価格でよりよいサービスが受けられれば文句のないところだと思うが、もしかして現在の保険者はそれにも増して医療費や療養費の削減が必要な台所事情なのかもしれない。ただし、そこを踏み外すととんでもないことになることも考えなければいけないと思う。

 

牧野副会長プロフィール

  牧野  吉一
 
  社団法人 神奈川県柔道整復師会・副会長

苅谷保険部長プロフィール

  苅谷  満郎 

  社団法人 神奈川県柔道整復師会・理事
  社団法人 日本柔道整復師会関東ブロック会・理事

 

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