柔整ホットニュース

特集

『国保中央会に期待』

2010/07/01

現在、柔整業界には大きな波が訪れている。その一つは、民主党・柔整小委員会主導で業界団体が歴史上初めて同じテーブルについて柔整問題を協議、行政に提言し改革を進めていることである。もう一つは、国保中央会が纏めた5項目の提言である。この5項目の提言は委員長である国保中央会常務理事・田中一哉氏が厚労省に直接進言されたこともあって、ここに来て漸く改革の明るい兆しが見えてきた。柔整ホットニュースでは今のダイナミックな動きに注目、これを推進していこうとして業界内外の主要な方々に「5項目の提言」について、お聞きしていくことにした!!

『国保中央会に期待』
岡山県   塚崎康之

昨年、からだサイエンス誌に柔道整復療養費について書かせて頂き、その中で国民に納得し得る保険取扱制度の再構築には、国民健康保険中央会から始まり、受領委任を堅持する大きな役割として期待している事を記載した。そして今年の2月に「柔道整復師の施術に係わる療養費の審査・支払業務のあり方に関する検討会」としてまとめられ、4月に厚生労働省に5項目の提言が行われた。

今回の「柔道整復療養費の算定基準の見直し」に伴う「柔道整復師への指導・監査」では、
1)
審査の地域格差の解消を図るため、算定基準を明確化する(平成22年度末目途)
2)
審査の迅速化を図るため、支給申請書の様式を統一化するとともに、施術日を記載させるなど、より的確な審査が出来るようにする(平成22年度末目途)
3)
審査委員の欠格事由を明確化するなど、選定基準を見直しする(平成22年度末目途)
さらに、
1)
指導・監査実施マニュアルの作成(平成22年度末目途)
2)
上記マニュアルを基に地方厚生局柔整担当者の情報交換、ネットワーク化を推進する
3)
保険者等の協力も得つつ、指導・監査において保険者の審査情報を活用する方策を検討する

と厚生労働省のHPにも公表され、幾つかの項目が実行される目途が立った。これは国保中央会からの提言があってこそ実現されたと思っている。

そして、この提言について如何に期待をしているか、つたない私の意見を記載した。

 

支給申請書の様式と請求方法を統一

近年、支給申請書の管理はシステム化が進んでいるため、統一されていないと業務の効率性が悪く給付側も大変である。彼らも柔整療養費だけを扱っているわけではなく、まして1%程度の金額の為に労力を使わせるのは酷であると思う。大変であるが故にこんな事例を紹介する。

再審査を行った場合(再審査とは通常の審査後、直ちに給付を行うが、その後保険者によって個々の申請書を縦覧点検や給付のダブり等の見直しをすること)、協定分の施術所は各県の国保連合会に口座登録されており過誤調整金の取り扱いが出来る。よって給付後、再審査により金額に変更があっても翌月に調整し給付される。しかし契約分の施術所では煩雑すぎて個々の口座管理が出来ず登録していない国保連合会は多く存在する。つまり契約分の申請書で再審査により過誤が見つかった場合、その申請書は市町村(保険者)へ戻され、そこで施術所ごと、一件ごとに返金を求める(振り込みを依頼)手続きをしなければならなくなる。市町村にとっては大変面倒な業務となり、そうなると人の心理として、契約分の再審査は避け、協定分のみが再審査の対象となり減額させられる。たとえ保険者に抗議しても「契約分も見ているが出てこないだけ」と言われれば、情報公開を求めて動くしか方法はなく、これも大変な労力を要し軽々しくできない。協定分の申請と契約分の申請で、こんな不合理な対応の差が許されて良いのか。

やはり請求方法やシステムを整備して一元化されないとこの問題は解消されない。彼らだってサラリーマンであり給料以上の事は避けたいと思っているだろう。

また、これが整備されないと全国決済の制度も可能とならない。全国どこでも同じシステムでなければ対応出来ないことは容易に理解出来る。

しかし、整備するにはかなりの設備投資が必要である。ここは柔道整復師小委員会が作られたことであり、この様な場面で一丸となって国と折衝して頂きたい。

ところで統一用紙になったら様式の版権はどうなるのだろうか。今までは請求代行業者が自前の用紙を売る、また、それに合わせた請求システムで利益を上げてきた。様式が統一されれば請求システムも多様性を失い価格競争が主流となる。そうなれば数多の請求代行業者には影響が大きいのではないか。この秋に、用紙統一に向けて厚労省・国保中央会・日整による協議により支給申請書の新様式案が出される。煩雑を極めるこの業界が少しでもスッキリするのではと期待をしている。

 

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