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柔道整復師養成施設の現状と将来的展望を考える
1998年柔道整復師養成施設は全国で14校(定員1050名)であった。福岡地裁で柔道整復師養成施設の新設を認めない当時の厚生省処分を取り消す判決が出たこともあり、2000年4月1日より「柔道整復師養成施設指導要領」の大幅な改正が行われ、2008年には96校(定員8607名)となっている。
就業柔道整復師の数も1998年は29087名であったが2008年には43946名と14859名増、柔道整復の施術所(接骨院、整骨院)も1998年23114所が2008年には34839所で11725所と急増している。また、療養費の受領委任の取り扱いにおける区分では1988年7月より「協定」柔道整復師(社団法人日本柔道整復師会会員)と「契約」柔道整復師(社団法人日本柔道整復師会会員外)に分かれた。
2009年10月現在「協定」柔道整復師(社団法人日本柔道整復師会会員)は16561名である。社団法人日本柔道整復師会では過去に何回か会員動向を調査し、「柔道整復白書」を発行している(2003年が最後)が急激な就業柔道整復師増の近年はその調査がなされておらず、ましてや社団法人日本柔道整復師会に属していない「契約」柔道整復師(社団法人日本柔道整復師会会員外)の実態は把握されていない。
柔道整復師養成施設においては就学学生実数やシラバスの内容、専任教員(週15時間)並びに専科教員(社団法人全国柔道整復学校協会が講習を実施)の実態が把握されておらず、無資格教員による授業や養成施設間格差が問題となっている。
無資格教員による授業は単位認定とならず有資格教員による補講措置を取らなければならない。勿論、無資格教員による授業は単位認定とならないので国家試験の受験資格も取得できず学生は多大なる不利益を被ることとなる。
この数年間、専科教員調査で無資格教員による授業の実態が明らかになってきているが学生は教えられている教員が資格持ちか否かは知る由もない。養成施設が急増してきた2000年から無資格教員に教えられ柔道整復師の資格を取得した人も数多くいると推測される。
結局のところ、そうした被害は無資格教員に教えられた学生のみならず、患者として治療を受けた国民にはねかえってくるのである。
そのような観点から養成施設の健全な運営実施には下記のような調査が必要であろう。
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- 定員数と学生実数の把握→柔道整復師の需給からみた定員数の目安
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- 定員数と学生実数の把握→定員数に応じた適正教員数の指標
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- シラバスの把握→養成施設間の教育内容格差の是正・平準化
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- シラバスの把握→柔道整復療養費受領委任制度の沿革など関係法規のカリキュラムの指標・平準化
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- 教員の臨床経験年数の把握→教員研修のカリキュラムの指標・平準化
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- 専任教員数と勤務時間の把握→専任教員の解釈の統一化と適正配置
養成施設の実態把握は募集定員数と就学学生実数を調査することにより柔道整復師の需給の関係を知ることが出来、適正な募集定員数の設定が行えるとともにそれに伴った適正な教員数の配置が可能になる。養成施設教育実態で明らかになった資料を基に適正なシラバス作成とその実施を行えれば、教育現場における教員並びに学生の質の担保とその平準化が期待できる。現行の柔道整復師の療養費受領委任の取扱いは臨床研修や卒後研修の有無を問うことなく柔道整復師国家試験に合格すると出来るが一定の臨床研修を受けることを義務化することにより適正な療養費の取扱いと質の担保が図られる。
良質な柔道整復師の育成は地域医療の一端を担うとともに高齢者の運動器の機能回復における機能訓練指導員として介護事業及び福祉事業において有効的活用が期待できる。