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公益社団法人への移行認定申請までの経緯と認可を受ける意義

2010/04/16

国とのパイプ役である社団法人日本柔道整復師会をはじめ各県の柔道整復師会が公益社団法人に移行できるかどうかは、まだ先行き不透明です。全国各県の社団がそれについての準備を入念に行い取り組みがなされているところであります。神奈川県柔道整復師会会長・吉田充孝氏に、公益社団法人移行認定申請までの経緯と公益社団法人として認可を受けることの意義、メリットなどについて話していただきました。

 

よしだかいちょう 今から約2年半前の2007年にこの公益社団法人の申請手続きに着手いたしまして、検討委員会を立ち上げました。その年の2月に従来の社団法人神奈川県柔道整復師会の経緯と事業等に関して県の指導監査を受けました。その時点では〝事務職員規定にちょっと不備がありますね〟と言われただけで、他に指摘される事項はありませんでした。というのは我々の組織は元々社団法人でしたから、非営利であり公益事業です。であれば今のままでも申請すれば通るのではないかという思いもありました。また、神奈川県においては歴代の会長をはじめ役員の方々がこれまでの社団業務をキチンとやってくださっていました。そのお陰でスムーズな公益社団法人移行認定申請を行おうという決意が生まれました。しかしながら〝あれがダメです、これがダメです〟と言われたのであれば、ちょっと考えなければいけなかったでしょう。つまり、歴代の役員の方々のお陰で「スムーズに移行できる」という自信がありました。検討委員会のメンバーは、私と両副会長と統括総務部長・総務部長経理部長、協同組合の理事長、委員計9名で通算10回ほど会議を開きました。審査対象基準の内容をしっかり把握しなければなりませんし、県開催の公益法人法の説明会にも毎回出席しました。結局、神奈川県の理事者も分厚い本10冊ぐらい膨大な勉強をしました。やはり経験のないことについては、一生懸命勉強しなければなりませんが、勉強すれば分かります。 その後、定款を作成した時点で県の監査指導課に2回相談に行っています。その時に指摘はありませんでした。本審査で提出して、その上で不備があれば又戻ってくるでしょうし、何回繰り返しても良い訳ですから〝ここを直してください〟と言われれば、それを訂正して又出すということです。一応、申請してから、結果が出るまで4ヶ月ぐらいかかるといわれておりますので、現段階では、文面上の誤字等について指摘をうけましたが、再提出して結果を待っているところであります。

申請にあたっては、苦労したというほどではありませんが、本県は支部制をとっており12支部あります。夫々の支部でスポーツの救護であるとか、様々なボランティア活動をしていました。しかし、今回の公益社団法人移行認定申請をするにあたって、今までは支部単位で行っていた公益活動を一つの県の事業として吸収しました。それについて先ずやっていただいたのは、支部会費の廃止で、その代わり、支部の公益活動は県の活動として行っていくことになります。その活動費として、各々の活動状況に応じて、支部へ経費を分配していく事にしました。その他には、神奈川県では収益事業はありませんから区分する作業は殆どありませんでした。ただこれについてもいろいろ考えるところがありました。やはり、支部会費がなくなったというのは会員のメリットとしては大きいように思います。申請が通れば、今度は支部の活動が公益活動事業として認められたことになりますし、皆さんが想像する以上に公益社団法人として認められた組織の一員であることは、社会的評価もかなり変わってくるのだろうと思っています。まだ認可されたわけではありませんので、申し上げ難いことではありますが、許認可されれば、今後1年毎にキチッと報告書を提出して、指摘事項があれば、それに準じることとなっています。

非常に重要なことは前年度に例えば50%を公益事業に使えなかった場合、その時どうするのか?皆さんのお話を聞いていると〝それでおしまいだ、没収される〟と言われます。しかし、其処は違うのです。本当はキチッと決まっていて、今年度50%に達しないのなら翌年は収入を減らし、事業を増やしなさいといった方式がとれるのです。つまり、公益事業費が設定額に達しなかったら、翌年より会費を下げるか、事業を増やすかして、一定の基準を満たせば良い事になっております。当然、活動が少なければお金が余ります。本来はその余ったお金を供出させるのが政府の目的でもある訳ですが、しかしそれだけではありません。資産取得資金・特定費用準備資金として、例えば何十年後に会館を建てるなど、目的を明確に持って積み立てていくというのでOKなんです。つまり、「受領委任払い」という文言を明記することが一番重要なことです。これまでの定款の中に「受領委任払い」という文言が入っていなかったのです。今回、我々神奈川県柔道整復師会の事業の中に初めて入れる訳です。法律ですから認められれば、それは簡単には崩れることはあり得無いのです。〝活動できないから〟〝会員が少ないから〟〝お金が少ないから〟といったことであれば、先ほどの資産取得資金・特定費用準備資金で10年後、20年後、30年後に○○をやりますという計画と目的をもって計上すれば良い訳ですし、事業と会費のバランスをうまく組み立てて予算を作成すれば良いと思います。

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