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柔整療養費支給申請厚労省開示資料から各種格差を考える

2010/03/15

2007年の団体別の部位別請求実績を示すと下記の通りである。(2008年の団体別の部位別請求実績資料がないため)

2007年

団体 1部位 2部位 3部位 4部位 多部位
1.社団 18.5% 41.9% 34.8% 4.8% 39.6%
2.全国柔道整復師会 9.0% 41.7% 49.1% 0.2% 49.3%
3.日本接骨師会 16.6% 40.7% 41.4% 1.2% 42.7%
4.JB日本接骨師会 11.0% 51.1% 36.7% 1.1% 37.9%
5.全国柔整鍼灸協同組合 6.4% 32.8% 55.3% 5.5% 60.7%
6.柔道整復師請求サービス連盟 3.3% 23.1% 69.2% 4.4% 73.6%
7.中央接骨師会 7.5% 44.3% 47.5% 0.7% 48.2%
8.NSK保険協会 9.3% 46.1% 44.6% 0.0% 44.6%
9.その他 5.1% 28.2% 56.9% 9.8% 66.7%
合計 12.3% 37.2% 44.7% 5.8% 50.5%

団体間格差をみると5.6.9の3グループが60%超であり40%前後の他グループとの団体間格差を生んでいる。

次に地域間格差をみてみよう。

都道府県 2008年 2007年 都道府県 2008年 2007年
順位 多部位率 順位 多部位率 順位 多部位率 順位 多部位率
大阪 79.5% 81.0% 栃木 25 41.6% 27 38.6%
兵庫 78.1% 69.2% 鳥取 26 41.2% 34 31.5%
徳島 77.6% 80.0% 静岡 27 40.1% 33 32.6%
奈良 76.9% 80.1% 鹿児島 28 37.7% 21 41.6%
京都 62.1% 58.8% 千葉 29 37.4% 24 41.3%
福岡 60.4% 62.4% 福井 30 37.4% 30 35.0%
秋田 58.9% 15 45.9% 山梨 31 35.2% 37 30.2%
宮城 54.8% 52.8% 新潟 32 35.2% 25 39.0%
佐賀 52.7% 11 48.0% 福島 33 33.9% 36 30.6%
香川 10 52.4% 10 51.9% 滋賀 34 32.7% 32 33.1%
和歌山 11 52.3% 59.9% 宮崎 35 32.6% 35 30.8%
山口 12 50.9% 19 45.1% 島根 36 32.5% 29 36.8%
埼玉 13 50.5% 22 41.3% 長野 37 30.0% 41 27.9%
神奈川 14 50.4% 13 46.7% 高知 38 29.9% 39 28.2%
長崎 15 50.0% 16 45.9% 北海道 39 29.1% 40 28.0%
石川 16 48.5% 28 37.2% 群馬 40 28.7% 31 33.7%
沖縄 17 48.5% 52.7% 青森 41 26.3% 44 23.0%
愛知 18 48.3% 26 39.0% 広島 42 25.8% 38 29.3%
三重 19 47.9% 17 45.5% 茨城 43 24.1% 43 23.2%
東京 20 47.1% 14 46.1% 富山 44 24.0% 45 21.3%
熊本 21 46.2% 18 45.4% 山形 45 23.6% 46 19.7%
大分 22 44.9% 12 47.0% 愛媛 46 20.8% 42 27.1%
岐阜 23 44.4% 20 42.2% 岩手 47 19.0% 47 14.1%
岡山 24 42.3% 23 41.3% 全体   51.4%   50.5%

大阪府の多部位請求率は80%と突出して高く、これは岩手県の多部位請求率20%未満の4倍以上になっている。このような突出現象は、大阪府の他に、兵庫県、徳島県、奈良県の関西圏4府県において顕著であり、これら4府県の多部位請求率は概ね80%前後で、2007年及び2008年ともに、全国上位4県を独占している。

大阪を中心とする関西圏の多部位請求率の突出現象に対しては、それが大阪地区の文化性に起因するとする主張が柔道整復師業界の一部においてなされている。そこで、医療費の都道府県別格差統計みたところ、大阪府あるいは関西圏の突出現象はまったく検証されなかった。従って、大阪文化起因説はその根拠が認められない。大阪地区の多部位請求率突出現象は、柔道整復師業界固有の原因に基づくものであると考えるべきものであろう。

団体別請求で多部位請求60%超の全国柔整鍼灸協同組合・柔道整復師請求サービス連盟の団体会員の多くが上記関西圏に多いのも多部位請求率を押し上げている要因かもしれない。

 

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