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24年度療養費改定が公の場での議論へ

2012/05/16

平成24年5月11日(金)13時から、厚生労働省内の講堂にて第53回社会保障審議会医療保険部会(委員名簿はこちら)が開催され、「審査支払機構の在り方について」「平成24年度柔道整復療養費等の改定について」という2つのテーマを中心に活発な意見交換が行われた。

柔道整復療養費改定については、厚生労働省から療養費の推移や支給対象、柔整療養費の都道府県別の請求部位数分布や頻回・長期施術の割合、平成22年度の療養費改定の資料等を基に、療養費の見直し並びに平成24年度療養費改定について基本的な考え方の案が以下のような内容で説明された。(配布資料はこちら

 

1.
「議論の整理」(平成23年12月6日社会保障審議会医療保険部会)(抄)
6. 給付の重点化・制度運営の効率化
(療養費の見直し)
柔道整復等の療養費について、審査体制の強化などその適正な支給を求める意見が多かったこと、会計検査委院等からも指摘を受けていること、療養費は国民医療費の伸びを近年上回って増加している現状などを踏まえ、平成24年度療養費改定において適正化するとともに、関係者による検討会を設け、中・長期的な視点立って、柔道整復療養費等の在り方の見直しを行う。

 

2.
基本的な考え方(案)
(1) 柔道整復療養費
平成22年柔道整復療養費改定の効果をみると、都道府県別の請求部位数について、なお2倍の格差が残存しているため、さらなる見直しを行う。
【多部位施術(現行)】
・3部位目の施術は70/100に減額して支給。4部位目以降は支給せず。

また、平成22年の会計検査院の指摘において、「長期又は頻度が高い施術が必要な場合には、例えば、申請書にその理由を記載させるなどの方策をとること。」とされており、長期及び頻度の高い施術に対する見直しを行う。
【長期施術(現行)】
・5月超の施術について、80/100に減額して支給。
【頻回施術(現行)】
・減額なし。

急性又は亜急性の外傷性の負傷に対する施術が支給対象とされていることを踏まえ、受傷初期段階での施術の充実を図る観点からの見直しを行う。

その他、頻度が高い施術について支給申請書に理由書を添付する等の運用見直しを行う。

 

説明後には各委員から療養費や業界に対し様々な意見が上がったが、一部の意見を除いては柔整業界にとって厳しいものであった。同部会では最終的に平成24年度の療養費改定に対し、検討会を設けて透明性を持った形で適正な改定を行うべきであるという結論に達し、司会の遠藤久夫部会長から療養費の改定は必ずしも6月にとらわれることなくある程度の柔軟性があるという理解でよいかとの問いに〝通例であると6月であるが、意見を踏まえてその検討をさせていただければと思う〟と厚生労働省は返答を行った。このことから平成24年度の療養費改定は、社会保障審議会医療保険部会が中心となって作る検討会の討議を待って行われることになったが、検討会の組織体や今後の予定等は具体的に決定しなかったため、通常6月の療養費改定は延期されることとなった。

今まで公の場で議論されることがなかった療養費の改定だが、今後行われる検討会では多部位施術、長期施術、頻回施術を中心に平成24年度療養費改定が議論されると共に、中・長期的な視点に立った柔道整復療養費等の在り方の見直しが行われると予想される。
この検討会がフラットな視点から本当の意味での療養費の適正化を話し合う場になることを願うばかりである。

 

以下は、第53回社会保障審議会医療保険部会にて各委員から出された意見をまとめたものである。


全国健康保険協会理事長 小林剛 委員

現在協会健保の療養費の支給額は年間で約700億円に上っており、この額は毎年増加し続けている。事務局から柔道整復療養費における都道府県別の請求部位数の分布、施術回数の割合等の説明があったが、これを見ても都道府県によって捻挫とか打撲の仕方に違いがあるわけはなく、同じ柔道整復療養費の請求で都道府県ごとにこれだけ違いが出てくるというのは理解しがたい。平成12年以降柔道整復師の養成施設については一定の条件さえ満たせばその設置が認められているが、その結果平成12年に約3万人であった柔道整復師の人数は、平成22年には約5万人と10年間で1.6倍となっている。この間医師の人数の増加割合は1.15倍しかなく、柔道整復師の人数は著しく伸びていることから、増え続けている療養費を抑えるためには養成施設を抑える等、国としてもなんだかの対策を講じるべきではないかという事を問題提起したい。少子高齢化、医療の高度化によりまして医療費の増大や一方で下がり続ける給与の影響によりまして厳しい保険者の財政を考えると、限られた医療費財源を有効に活用するという視点が必要だと思う。限られた医療費資源の有効活用、さらには厳しい保険者財政を考慮すると平成24年度における療養費の改定率は引き下げるべきと考えている。

 

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