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我々柔道整復師が行政・保険者とともに取り組むべき事項

2012/04/16

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

1. 施術所名など開設届受理時の確認(チェック)事項の徹底(保健所業務)

特に近年目立つ「○○鍼灸接(整)骨院」や「○○接(整)骨鍼灸院」などの名称は柔道整復師法(第24条広告の制限)において許可されているとは言い難い。
一番の問題は、柔道整復師は「柔道整復師法」により業を営み、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」により業を営んでいる。
法律の異なるものを同一施術所名として業を行っていることである。
昭和45年に柔道整復師法が単独(行)法となったのは業務が異なり同じ法律の中での運用が行えなくなったからである。
施術者が双方の資格を有していても法律が異なる国家資格であるので、「○○接(整)骨院」「○○鍼灸院」と両方の名称を表示する指導をすべきと考える。
この件に関しては、協定柔道整復師の場合、47都道府県の社団法人柔道整復師会にて内容説明が出来るが契約柔道整復師の場合、都道府県もしくは厚生局が内容説明すべきである。そして、最終的に開設届を受理する「保健所」にその旨、周知徹底する必要がある。また、既存の柔道整復施術所への対応は厚生労働省が執行猶予期間を設けて通知すべきである.と考える。

 

柔道整復師法(昭和45年法律第19号)

(広告の制限)

第24条
柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。

柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
施術日又は施術時間
その他厚生労働大臣が指定する事項


前項第1号及び第2号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない。

 

柔道整復師法第24条第1項第4号の規定に基づく広告し得る事項の指定(平成11.3.29厚告70)

柔道整復師法(昭和45年法律第19号)第24条第1項第4号の規定に基づき、柔道整復師の業務又は施術所に関して広告し得る事項を次のように定め、平成11年4月1日から適用し、昭和45年7月厚生省告示第245号(第24条第1項第4号の規定に基づき広告し得る事項を指定する件)は、平成11年3月31日限り廃止する。

1.
ほねつぎ(又は接骨)
2.
医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)。
3.
予約に基づく施術の実施
4.
休日又は夜間における施術の実施
5.
出張による施術の実施
6.
駐車設備に関する事項

また、①及び②に掲げる事項について広告する場合においても、その内容は柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない。(柔道整復師法第24条第2項)
したがって、「腰痛によく効く」「○○大学病院で研修」「○○式除痛法」などは広告することは出来ない。
④のその他の事項として「各種保険取扱」「健康保険取扱」などは広告することは出来ない。
これら広告の制限に違反した者は30万円以下の罰金に処せられる。(柔道整復師法第30条第5号) 現在は、「厚生労働大臣免許」については表記しても差し支えない。

広告を制限する理由

患者の立場からすれば、正確な情報量が多いほど施術所の選択が容易になるが、広告とは、本来自己宣伝のためにするもので、主観的・不正確な内容になりがちである。ともすれば、自己に有利な事項のみ強調したり、誇大な広告や虚偽の広告とならないとも限らない。一般的に、患者は専門知識に乏しく、また疾患による苦痛を回避したい欲求は一般商品を欲するより強いものがあるから広告による影響が大きいものと考えられる。万一、不当な広告により失敗した場合でも一般商品と異なり人命や機能障害などは代償が困難なものであることが多い。したがって、広告を当事者間の問題として、自由にさせることは適当でなく、客観性と正確性を維持出来るよう広告出来る事項を限定し、広告を制限する。
近年の接骨院・整骨院の看板やカッティングシートなどによる広告は目を覆いたくなる事項が多い。いったい何をする職業なの??という内容のものが多い。

「広告」とは随時又は継続してある事項を不特定多数に誘引の目的を持って知らせることをいい、その方法としては、看板、印刷物等いかなる方法によるとを問わない。
広告の制限の適用を受けるのは施術者(柔道整復師)に限らず、「何人も」である。
両罰規定
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者がこの法第24条に規定する広告の制限に違反する行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても刑を科する(柔道整復師法第32条)。

 

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