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公益社団法人日本柔道整復師会 第34回関東学術大会茨城大会が開催!

2012/04/01

エコーをどのように使うかというのは、患者さんのためであるから、医療人全体の問題である。年をとったからエコーは難しいという話を耳にするが、私がエコーを始めたのは48歳で、年齢は全く関係ない。治療法を選択してどのように利用するか、キチッと治癒を確認することに重きを置いている。
超音波検査装置のプローブ(探触子)には、①左:リネア②中:コンベックス③右:セクタ、の3つのタイプがある。大体浅いところにはリニア、深いところはコンベックス、更に肋骨の隙間から心臓を探し出すというような場合はセクタを使う。
エコーは、患者さんが来たその場で出来て非常にスピーディーである等利便性が高い。これにどのような価値を与えていくか。MRIの場合は全体が映るが、エコーの場合、部分的なので解像のイメージ力が必要である。四肢の超音波検査の4つの基本は 1.深度設定(cm)2.プローブ選択(リニアタイプ&コンベックスタイプ)3.周波数設定(MHz:メガヘルツ)4.プローブの方向を縦軸に置くか横軸に置く。全体の深度設定は3.5センチ、焦点は1.5センチのところに置く等、キチっと行えば、年齢に関係なく、簡単にできる。プリントアウトしたものを患者さんと一緒に見る、記録に残しておくこと。初診時からエコーで観ていればいろんなことが体系化できる。なおざりにされてきた保存的治療を、整形外科の医者の世界も柔整の世界ももう一度保存的治療を確立するということを提案したい。
スポーツ選手やアスリートの場合、理想的とは 1.超早期試合復帰 2.長期成績良好 3.初診時Ⅲ度損傷とその後の治癒をMRIで確認。例えば前距腓靭帯損傷の中でどういうタイプが理想的経過を辿る可能性があるのかを論理的に想定していく必要がある。靭帯の損傷タイプは実質損傷タイプと界面剥離(バンカーアウトリージョン)がある。肩の実質損傷の場合、保存的治療で治っていく可能性があり、足首も同じである。手術106例を分析したところ、72.4%が実質損傷であった。つまり72.4%は保存的で治る可能性がある。年齢層によって違うかもしれないが、若い人のほうが界面剥離が多い。
いま、医療の世界でどういう研究がなされているか。例えば受傷後数日以内のエコー、1週間後のエコー、2ヶ月後のエコー、半年後のエコー等の条件設定をしてそれを10人の柔道整復師が、5例ずつデータを出すと50例になる。ランダム化試験というが、柔道整復師の世界でそういう取組みをされたら良い。アキレス腱について一人で50例のデータを出せといわれたら、一生涯かかる可能性がある。しかし、5例を2年間でまとめて、50人が出せば、250例になる。そういうチャレンジャーを東京有明医療大学の中で将来的には作っていこうと思って今教育しているところであり、業界としても取り組んでもらいたい。エコーの使い方として治療をフォローアップする、治癒経過をお互いに確認することを是非やっていただきたい等強調し、エコーによる柔整学のEBM化を推奨された。

 

その後、一般発表が始まる前に埼玉県接骨師会・阿部一会長から座長団の紹介が行われた。一般発表は、「変形性膝関節症に対する関節マニュピレーション手技の影響について」山梨県・小山真史氏、「筋トレによる鎖骨骨折の早期回復の一症例」栃木県・大嶋孝幸氏、「外側上顆炎に対する手技療法」埼玉県・池田晃一氏、「肩関節損傷におけるスクリーニング法について」神奈川県・村山正氏、「プロテックⅡを用いた急性腰痛へのアプローチの考察」千葉県・岡崎隆司氏、「急性期からの温熱療法」群馬県・櫻井保男氏、「投球障害調査報告 柔道整復師によるエコーを使った試み」茨城県・箱守志農夫氏ら7題で、持ち時間12分という厳しい時間制限の中、レベルの高い発表を行った。

続いて表彰式が行われ、(公社)日本柔道整復師会・松岡保副会長から賞状と記念品が7名の発表者に手渡された。閉会式では、次回開催県である(社)群馬県接骨師会・大藤忠昭会長より〝2013年3月10日、群馬県高崎市の音楽センターにおいて開催予定〟と告知、閉会の辞が述べられ、無事終了した。

総合司会は(社)茨城県柔道接骨師会副会長・竹藤敏夫氏と藁谷和彦氏が務めた。

(文責・編集部)

 

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