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「柔整療養費の算定基準の見直し」について

2010/06/01

一部の柔整師によって医科での局所処置算定金額(足関節捻挫と仮定)と柔整の1部位施術金額の差を問う話題を耳にすることがあるが、例え一局所の損傷であっても全身的管理を基本として包括的に診療を行う医師とあくまでも局所処置として診療を行う柔整師との違いはあって当然である。いずれにせよ、部位別算定の削減は単に金額的損失のみならず施術方針までを縮小する事となり、我々にはまったく馴染まないマルメなどと呼ばれる算定方式に近づいたことは肝に銘じるべきである。また、不正が発覚した際には施術管理者(管理柔整師)に対するこれまでの責任追及に加えて開設者(オーナー)へもその責任追及が及ぶ事となり、違反行為を繰り返しながら整・接骨院をチェーン展開している不心得者に対して重要な縛りとなった。

諸兄が安堵を覚えられた見直し内容とは、捻挫・打撲の後療料の30円アップであろうことは容易に察しがつく。1~2部位請求では、それぞれ30円~60円、3部位請求では23円のアップとなり、適正な算定を旨とする多くの柔整師には収入のアップとなる見直しである。つまり多部位請求を当然のごとく繰り返されて来た柔整師には減額的な見直しとなり、常に適正算定を励行される柔整師には収入の増加が見込めることであり、安堵された諸兄は適正な算定を旨とする柔整師である筈で、その反対に収入減となる柔整師は今一度自身の算定方法を見直されては如何であろうか。

それでは最後に筆者の危機感迫る思いを披瀝してみたい。まず第1に骨折・脱臼の医師同意に関して施術録と同じく申請書への記載が義務づけられ、3部位以上の請求に関して部位毎の負傷原因を申請書に記載することも義務付けられたことである。第2として、受診者の通院日記載が義務づけられたことである。この2点の裏付けとして、受領委任が認められた経過を再確認する必要がある。昭和11年より“特例”として柔整師にだけ認められた受領委任の根拠とは、過去において先人柔整師による社会貢献や医師の代替機能を有する(現在では柔道整復師法第17条)ことや協定の遵守のみならず、何よりも柔道整復師に対する『信頼』である。有り体に言えば柔整師への信頼が担保となって受領委任が認められていると言っても過言ではない。我々に必要とされる医師の同意とは、特に整形外科医師でなくともよく、患者を診察した上で得たものであれば書面・口頭の区別なく認められ、尚且つその旨を施術録に記載さえされていればよいと通知されており、負傷原因についても、申請書記載簡素化の観点から第三者行為・労働災害との区別さえ可能な形式であれば許されるものであると本来の通知で発令されていた。(内翰もあり)

ところがである、算定の根拠も医師同意に関しても或いは受診者の通院状況すら信用性に欠ける事から、申請書への記載が改めて義務付けされたと解釈するのはオーバーであろうか。 幸い受領委任についての政府の見解は、国民保護の観点から堅持するとの姿勢を示して頂いているものの、柔整師に対する信用は失墜していると捉えるべきであり、この損失の回復の道程はいばらの道である。我々は今回の柔整療養費見直し内容に決して胡坐をかかず、柔道整復師への信頼回復に精一杯努めるべきであり、社団・非社団・個人の柔整師を問わず最大の共通認識とする必要があり、特に関西圏では“西高東低”と揶揄される請求単価を改めるべく、真摯な施術と算定を基本とした診療に立ち返るための見直し年度と自らを含めて戒め、稿を終えたい。

 

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