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第100回   【柔道整復師の現状を考える(そのⅣ)】

2014/07/16

【―柔道整復師法―】

明治国際医療大学   教授   長尾 淳彦

柔道整復師法(昭和45年4月14日法律第19号)

(秘密を守る義務)

第17条
 
2
柔道整復師は、正当な理由なく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。柔道整復師でなくなった後においても、同様とする。

※「守秘義務」とは?
柔道整復師は、正当な理由なく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。免許を取り消される等で柔道整復師でなくなった後においても、この業務上知り得た秘密を守る義務(守秘義務)は課せられる。これに違反すると50万円以下の罰金に処せられる。
医師にも守秘義務は課せられているが、これは身分法である医師法ではなく、刑法により規定され処罰される。

*刑法第134条第1項
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて、知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
柔道整復師や医師が、その業務上知り得た人の秘密を漏らした罪は親告罪であり、被害者が告訴することを必要とする。(柔道整復師法第29条第2項、刑法第135条)
秘密とは、いまだ他者に知られていない内容であり、医療と関わらない内容も含む。そして、その秘密が漏らされることで本人に不利益があることが本義務違反となる(告訴において:親告罪)。なお、守秘義務は、職を辞しても、免許証を喪失してもなくなるわけではない。

※「個人情報保護法」とは?
正式名称は「個人情報の保護に関する法律」で2005年4月1日に全面施行された。所轄官庁は内閣府である。違反すれば6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。我々柔道整復師は医療関係なので「厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等」「医療・介護分野の個人情報保護ガイドライン(厚労省)」を参照すると保護すべき項目が理解できる。

(都道府県知事の指示)

第18条
都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長、以下同じ)は、衛生上害を生ずるおそれがあると認めるときは、柔道整復師に対し、その業務に関して必要な指示をすることができる。
2
医師の団体は、前項の指示に関して、都道府県知事に意見を述べることができる。

 

第5章 施術所

(施術所の届出)

第19条
施術所を開設した者は、開設後10日以内に、開設の場所、業務に従事する柔道整復師の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも同様とする。
2
施術所の開設者は、その施術所を休止し、又は廃止したときは、その日から10日以内に、その旨を前項の都道府県知事に届け出なければならない。休止した施術所を再開したときも、同様とする。

届出事項(施行規則第17条)

開設者の氏名及び住所
(法人については、名称及び主たる事務所の所在地)
開設の年月日
名称
開設の場所
業務に従事する柔道整復師の氏名
構造設備の概要及び平面図
施術所の開設者は必ずしも柔道整復師の免許を有している者でなければならないという規定はなく、何人でも施術所を開設することが出来る。ただし、開設される施術所には業務に従事する柔道整復師がいなければならない。
開設者が婚姻などで氏名を変更したときは開設者は同一人であるから届出事項の変更を届出ることになるが譲渡や相続などの開設者が別の人に変わった場合にははじめに施術所を開設した者が「施術所の廃止」を届け、新たに施術所を開設する者が改めて「施術所の開設」届出をしなければならない。
施術所の開設者は自己の意思によりいつでもその業務を停止し、施術所を一定期間休止することが出来る。
施術所を廃止する場合には、開設者の意思による場合、開設者の死亡または失踪の宣告による場合、開設した法人の解散などによる場合などがある。

罰則(柔道整復師法第30条第6号)
施術所の開設、休止、廃止、再開の届出や届出事項の変更の届出を行わかったり虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金に処せられる。

両罰規定(柔道整復師法第32条)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従事者が、この開設等の届出や届出事項の変更の届出(柔道整復師法第19条第1項、第2項)をしなかったり、虚偽の届出をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同じ刑を科せられる。

 

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