柔整ホットニュース
これだけは知っておいて!!
第70回
【前回2010料金改定時の厚生労働省保険局医療課の考え】
療養費は、本来、保険者から被保険者へ支払われるものであり、健康保険法上は「保険者が療養費の支給を行うことができる」という定義になっている。つまり、保険者の裁量の範囲なのだが、実際は過去の長い歴史の中で、運用上、現物給付と同じような仕組みで取り扱われている。そのあたりの制度上の位置付けが曖昧であり、診療報酬のように、きちんと議論する場がないのが現状である。
著者:
「制度上の位置付けが曖昧であり、診療報酬のように、きちんと議論する場がないのが現状」であると行政側がわかっているなら「制度上の位置付けを定か」し、きちんと議論する場を設定すべきと考える。各々の項目を混合して考えず、料金改定、制度の運用など慎重に検討されるべきと考える。
柔道整復の受領委任払いについては、整形外科が普及してきた昨今、「本来の償還払いに戻すべきだ」という声がある一方、実態として療養の給付と同じかたちをとり、実際に通っている患者も多いことから「もっと制度上きちんと位置付けるべきだ」という、両方の意見があると認識している。しかし、制度の変更は医療全体の問題ともかかわっており、そう容易いことではない。なかなか大きな制度的変更はできず、一気に解決に向かわせるのは難しいが、不正請求や地域差の問題は少しでも正していきたいと、2年に1度の療養費改定に合わせて今回の適正化方針を出した。
領収書の発行を義務化することで、患者自身にも保険と保険外の違いなどを知ってもらえればという期待もある。保険者にもぜひその点を被保険者に周知していただきたい。
われわれ行政も、これまであまり療養費の改定について周知してこなかったが、今回の改定はホームページにも掲載し、出来るだけ情報公開に努めていきたいと考えている。
審査のQ&A作成へ
今回の改定について、施術所の多くは「大変厳しい」と受け止めていると思うが、われわれも、真面目に取り組んでいる柔道整復師の技術料はきちんと評価したいと考え、多部位請求の見直しを行う一方、技術料(後療料)の引き上げを行った。
次のステップとして、行政事業レビューで示した監査や審査をきちんとしていきたいと考えている。審査基準については、現行の基準は診療報酬でいえば告示レベルの概括的なものであり、もう少し詳しいQ&Aのようなものを、第一弾として今年度示す予定としている。これによって、地域差もできる限りなくしていく方向にしたい。指導監査については、マニュアルの作成などを通じて厚生局間でのノウハウの共有と均てん化を進めていきたいと考えている。
今回の改定では、保険者側の要望もあらかじめヒアリングしながら改定作業を進めた。中医協のような会議体をつくることはすぐには難しいが、行政が間に入ることで保険者側と柔道整復師側、お互いの不信感を取り除きながら調整していくということに次回改定でも踏襲していくべきだと考えている。
著者:
本来、医療費や療養費などの運用方法については患者である国民のために考えられるべきものである。財源確保の意味から保険者の意見に行政は耳を傾ける傾向のようである。支給申請書に患者の郵便番号、電話番号を患者自身に記載させるなどという個人情報保護に逆行する暴挙はどこからの発想なのだろうか?保険者の平成24年3月12日付の4課長通達などもこの考えを踏襲されたのだろうか?
制度改革も含めて業界一体となって早急に取り組まないと同じ事が何回も何回も繰り返されるだけだと考える。他人事でなく全柔道整復師が真摯に受け止め対処しないといけない時である。