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第70回
【前回2010料金改定時の厚生労働省保険局医療課の考え】

2013/04/16

前回2010料金改定時の厚生労働省保険局医療課の考え

長尾  淳彦

 

前回の料金改定(2010)時に厚生労働省保険局医療課  渡辺由美子室長が週刊社会保障(No.2588.2010年7月18日)に談として「改定作業に当たり、行政が保険者と施術者のつなぎ役に」として話されている。

3年前の厚生労働省の考えに対して業界関係が是正・検討を試みてきたかを反省する意味において著者の意見も交えて紹介する。

 

改定作業に当たり、行政が保険者と施術者のつなぎ役に

厚生労働省保険局医療課 渡辺由美子室長(談)
2010年7月18日

患者への広報も重要

今回の柔道整復療養費適正化の背景には、まず行政刷新会議での指摘がある。柔道整復療養費は国民医療費の1%程度ではあるが、一般の医療費に比べると伸び率が高い。

著者:
当時公表されている療養費の算出方法の違いもあったが2009年からは柔道整復療養費は一般の医療費に比べてその伸び率は低いものとなっている。いまだ「国民医療費に比べ突出している柔道整復療養費の伸び率」という見出しで被保険者に受診抑制のチラシを配布する保険者もある。柔道整復師業界が正しい認識を持って対処しなければならないと考える。

また、多部位請求では件数にかなりの地域差があり、地域特性だけでは説明しきれないアンバランスが指摘された。

著者:
「説明しきれない」ことが何かを明らかにしないと問題解決とはならない。

柔道整復療養費は過去の改定でも長期施術や多部位請求の適正化などを行ってきた。近年、適正化がより一層求められるようになった背景には、不正請求の増加等があるが、さらにその背景としては、供給体制の問題もある。養成所の増加で、必ずしも保険医療に対する知識が十分でない柔道整復師の方が増えていることも否めない。柔道整復師の方にもきちんと保険の仕組みを認識してもらう必要があるだろう。

著者:
供給体制の問題すなわち養成校・柔道整復師の急増はいわゆる「福岡裁判」で当時の厚生省が控訴せず、養成校の設置基準の要件を満たせば開校の許可してきたことが原因である。
「保険医療に対する知識が十分でない柔道整復師の方が増えていることも否めない」のであれば、養成校の指導要綱・要領に保険医療に関する科目・時間数を増やすなり、卒後臨床研修や受領委任払取扱時に倫理教育や保険医療に関する試験を行うなどの施策を講じればよいことである。

一方、施術者を受ける患者サイドも、柔道整復で保険適用がされるのは骨折・脱臼・打撲・捻挫に限られ、単なる肩こり等は対象外であることが十分認知されていない。これは行政の周知の問題もあるが、保険者にももう少し積極的にルールを広報してほしい。

著者:
柔道整復の業務範囲についても療養費の支給基準においても文言を明確にすべきと考える。「急性」「亜急性」の意味、「肩こり」や「筋肉疲労」と柔道整復師が判断した場合は保険適用対象外であるが、患者や保険者事務職員、外部調査会社など医療知識に乏しい人が判断したものを対象外とし返戻や不支給にするのは問題がある。

 

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