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これだけは知っておいて!!

第63回   【柔整問題への私見  そのⅢ】

2013/01/01

日本臨床整形外科学会(JCOA)元理事長であったO県のR整形外科病院の院長T氏が平成18年、JCOAの一会員として「柔整問題への私見」を機関誌に投稿されている。

今後の柔道整復を考えるときに参考になる私見である。一医師として「柔道整復師」の問題を提示されている。指摘されている部分をよく分析して「国民に安心される柔道整復」を構築していかねばならない。

 

「柔整問題への私見」  そのⅢ

( T ・ Y )

(続き)

6.  これからやるべきこと

6-1)会員への広報(日医会員へも)

柔整師法、柔整師の業務内容などを広報し、理解してもらい、行動を同一にする。

例えばある地方で行っている整接連携の意義について結論を出すべきである。まずは整形外科(JCOAのみならず日整会として)の、次いで内科医を主体とする日医にもその気になっていただかねばならない。そのためには手近なところで同意書の問題と、少なくとも医師国保は柔整の受領委任払い制度に契約しないことであろう。

6-2)選挙への協力(集票努力)

柔整は豊富な資金力で政治家を動かすという風評がある。その真意は別として、議員は今の時代おカネだけでは決して動かない。彼らが本当にほしいのは“票”である。元国会議員をなさっていた方も酒席ではあったが「国会議員も落選すればタダの人」と言っておられた。

選挙時、国レベルの選挙はいうに及ばず、地方選挙においても医師会はどの程度貢献しているのだろうか。国会議員に陳情に行った時、ある議員は「医師会の先生方は奥様の票も確保できない」といわれたことがある。4年前の武見議員の票22万票、西島議員25万票、日医会員16万人。単純に計算して、夫婦で32万票になるはずである。「医師会の票はあてにならぬ」「後援会の会合を開いても医師会の先生方の出席はないが、柔整の方は最前列にずらりと並んでいる」といわれたことがある。このように国会議員は票が欲しいのである。我々は彼らの要望にこたえているだろうか。

6-3)後援会への協力

地元の国会議員(地方議員も含めて)の後援会活動に協力すること。選挙時には積極的に協力(例えば選挙事務所の電話作戦などに参加、講演会に参加)。とくに秘書の方と話ができる態勢を作る。

6-4)療養費払いとしての受領委任払い

健康保険での柔整の施術料の療養費払いは、大正11年からのようである(健康保険法(大正11年法律第70号)第87条第1項)。

これのもっとも強大な壁は昭和11年に出来た受領委任払い制度です。これはもともと退官した巡査のために作った制度といえます。それが今でも尾をひいています。そして諸悪の根源になっているのは、平成5年会計検査院第480号の通りです。せめてこれをなんとか元来の療養費払いにもどすのが第一歩だと思います。これにも「既存の権利」という壁があります。

しかし、平成17年4月の千葉地裁判決は少し国民の味方の判断を下しているように思います。この判決をうまく利用する方法はないでしょうか。

6-5)5検第480号

会計検査院は平成5年、実に現実を突いた事実を大内厚生大臣に要望しています。

その後の追跡調査で、日整会とともに平成15年5月8日に会計検査院に行きました。しかし、担当官(そのお一人は平成5年に実際に検査した方でした)は及び腰でどうにもなりません。しかし、あの内容を国民はどの程度知っているのでしょうか。ましてや肝心の整形外科医のうち何人が知って、正しく理解しているのでしょうか。日整会の医療システム検討委員会でこの意見をのべたとき、ある教授は「あれは悪い柔整師だけ集めての統計で、一般的ではない」と堂々と反論されました。少なくとも国が出した公文書ですから、そのグループに対する一般論と理解できます。あの要望書には悪い柔整だけの統計とは一言も書かれていません。このような傾向のあることを少なくとも全整形外科医が知っておくべきです。整接連携などはとんでもないことです。なんとか他の学会にもご理解いただきたいものです。(日医=内科は整形外科は労災もあれば自賠もあると、まるで利害闘争をしているような反応しかありません。)

 

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