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これだけは知っておいて!!

第48回   【柔整八策 ― そのⅤ】

2012/05/16

この受領委任の制度が「柔道整復師だけのための制度でなく患者さん(国民)のための制度」という大義を柔道整復師がわかっていないとこの制度は消滅してしまいます。患者である国民、保険者、行政との信用と信頼はこの大義から生まれてくるものだからです。

これだけ柔道整復師が急増してくると【療養費】や【受領委任の取扱い】【償還払い】【現金給付】【現物給付】などの用語が何を意味しているかをまったく理解していない柔道整復師がいることも事実です。

各用語や制度が何を意味しているかを判らずして適切な柔道整復施術並びに支給申請書の作成は出来ません。この数年間、幾多の不正事件が起こっていますが無知があるゆえに起った犯罪も少なくありません。柔道整復師法や受領委任の取扱い協定・規程、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準などを熟知して開業するのが通常であり、常識です。また、施術録(いわゆるカルテ)を基に柔道整復施術療養費支給申請書(いわゆるレセプト)を作成するのが当たり前のことですが施術録の記載もせずレセプト用コンピュータのみに頼っている柔道整復師が増えています。

勤務する柔道整復師の届け出を怠ったり、一部負担金の正しい徴収方法を知らなかったり、温罨法の待機期間や往療料算定の要件を知らなかったり、おおよそ受領委任の取扱いを行う施術所に値しないところもあります。

施術録に記載のないものから作成された支給申請書は支給対象になりません。施術録は施術が完結した日から5年間は保存しなければなりません。保険者や行政から施術録の提出を求められたとき、無くなったとか焼却したなどは正当な理由になりません。レセコンと称される支給申請書発行のコンピュータのみに頼った施術内容管理等では片手落ちです。

国民(患者)から信頼されてきた「柔道整復」だからこそ、この療養費の受領委任取扱いの制度が現在まで存在してきたのです。

柔道整復師の養成に関しても前述した「質の担保」が十分確保できるようなシステムの上に行われなくてはなりません。

需給の関係の中での適正な柔道整復師数や施術所数を把握しそれに伴い養成施設の全体の定員を決めなくてはならないはずが、設置許認可省庁である厚生労働省も業界も放置してきました。また、「質」の確定していない柔道整復師の「即独」も容認してきました。

今一度、国民の「柔道整復」のニーズを検証し、そのニーズに沿った制度・システムを再構築する時期であると考えます。

 

 

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