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これだけは知っておいて!!

第3回   【柔道整復師の資格・免許について】

2010/05/16

第18回(21年度)柔道整復師国家試験の合格者は5570名であった。柔道整復師免許の保持者となった訳である。

近年、養成施設を卒業し国家試験に合格するとすぐに受領委任の取扱いの手続きをして開業する人が多くなってきている。第18回国家試験合格者5570名のうち何名の人が合格即開業するのだろうか?後に述べるが柔道整復師としての「患者さんを治す」という技術、「業務範囲外」だと判断し、しかるべき専門医を紹介する診立て、「医療従事者」としての倫理感などが養成施設就学3年間で本当に身についているのかはなはだ疑問である。

我々、医療従事者の「免許」とはどういうものであろうか?「医事法セミナー(上):医療科学社」の著者である前田和彦先生によると

「医療とはもともと禁止行為なのである。もともと禁止されていることができるようになるというのは、技術と倫理が備わり、国民に迷惑をかけるおそれがなく信頼ができるという意味合いで免許が国から与えられたということである。したがって、免許とは禁止行為の解除であり、医療従事者の免許はそのような危険な行為、つまりもともと禁止されている行為(医療行為)を任されるという責任をはっきりと知るべきである。」

「ここで、法律上の免許の効力ということについては、学校を卒業して国家試験に受かった段階ではなく、厚労省の名簿に登録されることをもって免許とする、つまり効力を持つと解釈されている。厚労省、国側の管理として名簿登録されることによって効力を持つという点で医療従事者の免許は明らかに国側の制度の一環であるということが明らかになる。それが法律上の免許の効力、そして医療従事者の免許の効力としても確認すべきである。」と言われている。

柔道整復師法第4章 第15条には「医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なってはならない。」とあり、医師法第4章 第17条「医師でなければ医業をなしてはならない」。歯科医師法第4章 第17条「歯科医師でなければ歯科医業をなしてはならない」と禁止行為の解除が各資格の業務として決められおり上記の医療従事者の免許とは「禁止行為の解除」だということがわかる。

すなわち「その資格免許を持ったものでしかその業をしてはならない」ということである。

それでは「業としての柔道整復」とは何であろうか?

このことが明確化されなければ何が禁止され何が解除されるのかがわからない。そうしなければ「柔道整復師」の全てが療養費受領委任制度のみを取扱っているということはなく下記で述べる「療養費の算定基準」内でない施術は「柔道整復」では無いということになる。

保険制度でなかった昭和11年以前のほねつぎ、接骨として脈々と受け継がれた「接骨術」「ほねつぎの技」も、れっきとした「柔道整復」である。そうした療養費受領委任制度の算定基準内で無い「柔道整復」との区分けをきっちりしておかなければ療養費受領委任制度の算定基準内での「柔道整復」だけが「柔道整復」となってしまう。

ここではあくまでも「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」(厚労省医療課長通知)に記載されているものを列記すると下記のようになる。

 

 

第1   通則

1.
省略
2.
脱臼又は骨折(不全骨折を含む)に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならないこと。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要であること。

著者注:脱臼や骨折(不全骨折を含む)の患者さんの初回の整復・固定などは応急手当として算定出来るが継続して加療する場合は必ず同意する医師が必要であるということ。 ここで出てくる「応急の手当て」とは、昭和23年6月17日付医123によると、「骨折又は脱臼の場合に、医師の診療を受けるまで放置するときは生命又は身体に重大な危害を来す虞のある場合に柔道整復師がその業務の範囲内において患部を一応整復する行為をいうのであり、応急の手当ての後、医師の同意を受けず引き続き治療することはできない。」である。

3.
省略
4.
省略
5.
療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第5の3の(5)により算定して差し支えないこと。
6.
単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。
7.
柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。

 

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