『第22回柔道整復療養費検討専門委員会』が開催!!
令和4年5月6日、厚生労働省専用第15会議室において『第22回 柔道整復療養費検討専門委員会』がWeb開催された。
この日の議題は「柔道整復療養費の令和4年度料金改定(案)、明細書の義務化について」である。
【 配布資料 】
座長の遠藤久夫氏から〝本日は柔道整復師の令和4年度料金改定(案)、明細書発行の義務化についてです〟と冒頭の挨拶があり、次に厚労省から〝前回の専門委員会の指摘も踏まえて幾つか参考資料として追加しているものもあります〟として、参考資料の説明が行われた。
各委員からの意見と要望並びに厚労省の回答
施術者側:明細書を義務化をするのはやむを得ないだろうと思っているが、これは料金改定にからめないで、義務化を出来る別のかたちで予算をもってきてもらえるよう、また診療報酬の改定率が今回のような低い数字になってしまった場合、0.3を下回る可能性が出てきてしまう。義務化に至る訳で、料金改定と別の形で厚生労働省が国に要望し、体制加算にあてはまる形にして頂きたい。
厚労省:令和6年度改訂の予算のご意見ですので、その時の予算編成過程で検討することになると考えています。
保険者側:明細書の義務化において、対象の施術所は、厚生局に届け出るということですが、全国の届出状況を確認できる仕組みを是非構築して頂きたい。併せて国民に対して明細書交付の導入について誤解のないように広く周知すると共に明細書を出してくれる施術所を国民が探せるような情報を提供してもらいたい。今回、常勤職員3人以上という要件がついたので、対象は非常に限定的になると思います。前回の委員会で、常勤職員3人以上でなくても明細書を出せる施術所もあるという意見もありました。常勤職員3人以上でなくても現行で明細書を無償で交付する施術所について、施術管理者に積極的な周知を行う等対応をはかっていきたい。
質問ですが、今回の常勤職員3人以上いる施術所というのは、柔道整復師に限定するものなのか、それ以外の職員も含めるものなのか、事務局にお聞きしたい。
要望ですが、患者の明細書を1か月単位でまとめて発行することも差し支えないという点ですが、これはあくまでも患者が求めた場合であり、原則は施術毎に発行することを明確に通知して頂きたい。患者の求めに応じて1か月単位でまとめて交付する場合には月の最終施術日または翌月の初回の施術日に交付、またこの場合の体制加算は交付出来ることを明確に通知で出して頂きたい。もう1つは、様々な調査をされるということですが、令和4年度の施術所のレセコン導入状況、施術所ごとの年間の療養費の請求件数とレセコン導入状況の関係等も見たいので、その辺の調査も項目として入れて頂きたい。
非常に強い要望であるが、長期・頻回施術について、これまで深い議論もされずに継続検討になった経緯がある。長期にわたり、かつ頻度の高い施術を受けている患者の取扱いについて、長期施術・頻回施術等のデータ分析を行うと明記されているが、どのような内容で調査が行われていくのか、早期にこの調査内容を示して頂きたい。6年度改定において検討するので、あまり時間がない。直ぐにでも調査事項をまとめて6年度改定でキチンと議論が出来るようにして頂きたい。
厚労省:常勤職員3人以上が柔整師に限られるのかという質問ですが、柔整師に限定せずに事務職等の職員も含むものとして数字化したい。
座長:その他はご要望として承りました。
施術者側:明細書の無償の取扱いについて確認と質問をしたい。義務化において手間、費用がかかるのは施術者と患者さんで、義務化のメリットは保険者ではないかと思うが、保険者の利益を患者さん負担にするのはいかがなものか。患者負担ではなく、別の負担でお願いしたいと、前々回からご提案させて頂いているが、義務化についての反論よりも、この13円は一部負担金が発生し、患者は無償ではないと思う。この説明をどのように施術者にすれば良いのか教えてもらいたい。
厚労省:明細書発行体制加算の13円は、一部負担金が発生するのではないかという指摘で、その通りで13円一部負担金が発生します。これは、明細書の発行体制を評価をした料金であり、「明細書発行体制加算」という名称にしています。明細書の発行そのものよりも、体制を評価しているということであり、これは医科の診療報酬でも同様な体制加算があって、それと同じです。
施術者側:前回も申し上げましたように20年間にわたって医科の2分の1という流れ、我々平成24年以降、令和2年も含めて1千億近い減収という中で、明細書発行体制加算と料金改定は別な形にして頂きたい。平成22年に領収書の発行が義務化されたばかりで、現在このように1か月まとめたものでないと認められない、領収書を利用すればというのは被保険者に周知されています。我々に領収証の義務化と明細書の義務化を押し付けて、一方で不当な患者照会等が起こっている。それらを踏まえた上で適正にやって頂くよう要望します。
施術者側:明細書の発行施術所、常勤3名は柔道整復師に限らずというのは理解しました。その他の要件に、常勤と就業規則に定められた勤務時間とあるが、個人開設の施術所には就業規則がない所もあると思います。その場合、どういう風に考えれば良いのか?
厚労省:原則として各施術所の就業規則に定められた勤務時間の全てを勤務する者であるが、労働者の少ない事業所には就業規則を定めていない所もあろうかと思われる。この場合、就業規則はないが、その施術所で定めている勤務時間の全てを勤務する者ということになろうかと思われる。
施術者側:保険者の皆さんに分かって頂きたいのは、我々施術所において施術をする際に、パソコンをその都度開いて患者の管理をしている訳ではない。例えばパソコンから明細書を打ち出すというのは大変な作業になるということを是非分かって頂きたい。それでも義務化に向けて我々は反対をしない。2年後の改定に向けて、明細書を義務化する上での体制加算、しっかり対価を国として考えて頂きたい。その旨を保険者の皆さんにも是非分かって頂きたい。
保険者側:常勤職員とみなすかどうかというのは、非常に微妙なところがあろうかと思います。是非厚労省のほうから指導して頂きたい。
施術者側:令和6年改定の調査のところで、※患者照会において、明細書の提出を求め、明細書の提出がないことのみをもって不支給決定をすることは適切ではないこと等を周知する(現行の領収証と同様の取扱い)の文章があるが、これと同様に今回周知の対応が認められている中で明細書の発行体制加算を登録しない、従前通り患者からの求めたものにおいて明細書の有償発行している施術所が厚生労働省のホームページで周知されていないことを理由に不正な取扱いをしているかのように誤解をされないように対処して頂きたい。不正のように扱うのであれば厳重注意をして頂きたい。また「柔整療養費の被保険者等への照会について」(平成30年5月24日事務連絡)を改正し、患者照会において、明細書の提出を求め、明細書の提出がないことのみをもって不支給決定をすることは適切ではないこと等を周知する(現行の領収証と同様の取扱い)」と記されているが、柔整に行くことの抑制に繋がるようなロジック、数字にならないようにデータ収集の際にご配慮頂きたい。
保険者側:今回の明細書の発行義務についてはまだ第一歩と理解しています。令和4年度、施術所のレセコン導入状況、導入しない理由、職員数、明細書交付頻度、交付業務負担等を調査するとあり、施術所の皆さんからも要望がありましたが、其々の要望を議論する意味、5万強の施術所の皆さんはどういう状況でどういう形でスパンがかっているのか。今年の10月から施行されるとあるが、どれ位の施術所が対応するのか。その基になる要件、職員数なりを含めて、次の6年度にしっかり議論出来るような調査をお願いしたい。
保険者側:今回の案件に関する総括的な意見を申し上げたい。先ず完全義務化とスタートしたにも関わらず、対象が限定的になったのは非常に残念だと思っています。先ほど委員が言及された
- 令和4年度に、施術所のレセコン導入状況、導入しない理由、職員数、明細書交付頻度、交付業務負担等を調査する。
- 令和6年度改定において、調査結果や改定財源を踏まえ、明細書発行体制加算の算定回数、額及び明細書の義務化の対象拡大、交付回数について検討し結論を得る。
- 併せて、その検討状況等を踏まえ、令和6年度改定において、保険者による受領委任払い終了手続きを含めた取扱い(保険者単位の償還払いへの変更)についても検討し結論を得る。これが非常に重要で令和6年に向けて示されたと思います。明細書発行体制加算の算定回数、額及び明細書の義務化の対象拡大、交付回数について検討し、結論を得ると。これについては本議会で一定協議されたが、患者のために明細書を無償発行することは非常に重要であり、本来義務化が当然である。
最後の〇が、今後の拡大への検討状況を踏まえ、資料にある令和6年度改定において、保険者による受領委任払い終了手続きを含めた取扱い(保険者単位の償還払いへの変更)についても検討し結論を得る。というところまで言及して頂いたので、厚労省はこの道筋を着実に実施して頂きたい。この3つの〇を前提に、本件については了承したい。
施術者側:施術者側として柔道整復療養費並びに柔道整復施術の適正化、また健全化のための教育は、惜しむつもりはありません。財源をキチンと確保した中で義務化に向けて行って頂きたい。次の改定時では改定率の財源ではなく、体制加算が出来る財源を確保して頂きたいと要望します。
施術者側:令和6年度に向けて保険者単位の償還払いが出ています。患者ごとの償還払いの話はやっと始まる。様々な協力をさせて頂く中で、患者さん毎ではなく、保険者単位の償還払いの話が出てしまうのは、残念に思います。令和4年度に、施術所のレセコン導入状況、導入しない理由、職員数、明細書交付頻度、交付業務負担等を調査するということで我々としてはご協力をさせて頂きたいと思っています。日本個人契約柔道整復師連盟と全国柔道整復師連合会から2名の委員を出させて頂いており、現在2つの会が力を合わせて全国柔道整復師統合協議会を形成しています。厚労省の調査には積極的に参加できる形が出来ておりますので、是非ともご活用頂きたい。
施術者側:例えば「実務経験3年」、「審査会の権限の強化」等、我々施術者側から意見を出させて頂いて、適正化に向けて実現してきました。その中で、必ず全てに反対され、キチンとやっている施術者をどうやって守ろうか、或いはしっかり要件をつけようという意見は全く無く、柔道整復師はもう要らないくらいの議論をいつもされます。そうではなくキチンとやっている施術者は居ますので、其処をしっかり守るために例えば柔道整復理論の抜本的見直し或いは受領委任に対して見直しをかけていくということも是非保険者と我々施術者と意見を一致させていきたいというのが我々の意見です。所謂総括的に全部首を絞めていくのではなく、真面目にやっている者がしっかり生活できるように、その思いを実現させて頂きたい。是非よろしくお願いします。
座長から〝療養費の改定について、これまでの議論を踏まえてご了承頂きました〟とあり、終了となった。
次回の専門委員会は未定である。
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