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第25回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

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2023年9月22日(金)、全国都市会館大ホールB(東京都千代田区)において、第25回柔道整復療養費検討専門委員会が開催された。今回は「柔道整復師の施術所におけるオンライン資格確認について」を議題とし、厚生労働省より制度導入に関する説明が行われた後、それに対し各委員が意見・要望を述べる形で進められた。

第25回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

厚生労働省による説明

オンライン資格確認(資格確認限定型:簡素な資格確認の仕組み)の導入

療養費は、法令上、患者が保険者に直接請求し支給を受ける「償還払い」の仕組みが取られているが、患者の施術料の支払等に係る負担軽減や療養費の適正な請求を図る観点から、被保険者等から療養費の受領の委任を受け、患者に代わって保険者に請求する受領委任払いが認められている。 保険局長通知では、受領委任払いにおいて、施術者等は、患者の提出する被保険者証によって、療養費を受領する資格があることを確認することとされている。そのため、令和6年秋の保険証の廃止に当たっては、受領委任払いを行っている施術所において、引き続き、患者の資格情報を確認することができるオンライン資格確認の仕組みを導入する必要がある。保険局長通知を改正して、令和6年4月以降、資格確認の方法に「オンライン資格確認」を位置付けることとともに、令和6年秋以降、導入を義務化してはどうか。何らかの止むを得ない事情で現場の施術所でオンライン資格確認ができない場合も想定し、課題も含めて検討していきたい。

オンライン資格確認(資格確認限定型:簡素な資格確認の仕組み)の概要

診療を行わない柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所等を対象に、資格情報のみを取得できる簡素な仕組みを構築する。オンライン資格確認の利用に先立ち、実施機関において専用ポータルサイトを立ち上げる。ポータルサイトを通じてオンライン資格確認に必要な利用申請、利用端末の登録、補助申請などを一括して行うことを想定している。

上図)柔道整復師、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認の概要
上図)柔道整復師、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認の概要

事前準備として、施術所において利用端末の認証・登録や「マイナ資格確認アプリ」をインストールする。施術所担当者による目視確認又は患者による4桁の暗証番号の入力のいずれかを選択して本人確認を行った後、PC端末に接続した市販の汎用カードリーダー又はモバイル端末を用いてマイナンバーカードを読み取ることで、端末上に資格情報が表示される。

レセコンを導入している施術所については、APIを使った自動連携が可能となる方式により、オンライン資格確認等システムの資格情報をWebサービスを経由して療養費支給申請書に転記できる機能を実装する(連携機能の実装は令和6年10月予定)。レセコン未導入の施術所については、資格確認を行った患者の資格情報を、PC又はモバイル端末から事後的にアプリケーション上で閲覧できるページを設ける。

施術所に対する財政支援(社会保障・税番号制度システム整備費等補助金)

オンライン資格確認(資格確認限定型:簡素な資格確認の仕組み)に必要な機器(PC等に接続す る汎用カードリーダー、タブレット・スマホ等のモバイル端末の機器)の導入を支援する。ポータルサイトにアカウントを登録し申請を行うことで、基準とする事業額 4.1万円を上限に実費補助される。

今後のスケジュール

2023年10月にポータルサイトを開設、11月にもアプリケーションをリリースする見込み。リリース後、接続・運用テストを行いたい。来年4月から運用を開始し、アプリケーションのデータ連携実装については10月頃を想定している。あわせて通知の改正、協定・契約の改定を進めていきたい。

各委員からの意見(概要)

施術者:世の中のデジタル化は承知しているが、長年、紙ベースでやってきている。業界は高齢化しており、ついていけない施術者も多いと考えられる。デジタル化に反対はしないが、手厚く説明していただきたい。

厚労省:丁寧な周知、説明を行なっていきたい。現場への周知には関係団体の協力もお願いしたい。オンライン資格確認の仕組みについてはなるべく簡素なものを構築している。ポータルサイトへの申請や設定なども分かりやすくしたい。

保険者:マイナンバーカードと保険証の一体化は避けて通れないものであり、オンライン資格確認は当然の流れと考える。施術所の皆さんがどう対応するかについては丁寧に進めていかなければならない。施術所の費用負担が嵩むことがないようにお願いしたい。また、オンライン資格確認導入を「義務化」として提案されているが、義務化に応じないと受領委任が取り扱えないのか。

厚労省:受領委任契約の締結にあたってはオンライン資格確認の実施が原則と考えている。ただし、何らかの止むを得ずオンライン資格確認ができないという事情がある場合も考えられるため、どんな理由が考えられるかも予め整理していきたい。

有識者:医科は先行してオンライン資格確認を導入したが苦労もあった。やはり各施術所に負担をかけることが予想される。円滑に進むよう、実装までにそれぞれの施術所がどの程度対応可能になっているかを把握し、進捗が遅い場合はご報告いただきたい。

保険者:オンライン資格確認の導入は施術所、保険者の双方にメリットがあると考える。来年4月の導入当初から経過措置等を設けず、もれなくオンライン資格確認を導入することは必須ではないか。開始時期にも義務化についても賛成するが、円滑かつ着実に運用していくために、厚生労働省ではどのように周知していくのか。また、施術団体にも、スケジュールについてどうお考えなのか、所属の施術者にどのように指導されるのかお伺いしたい。
また、導入後の運用についても、どのような課題がありどう潰していくのか、資格確認の安全確保のためにどういった措置が取られるのか等、細かい点についても整理していく必要がある。国民への周知も厚生労働省や施術団体で行っていく必要があるのではないか。

厚労省:スケジュールについては早期にポータルサイトを開設し、オンライン資格確認の意義等についてわかりやすく情報を発信していきたいと考えている。医科や薬局においてオンライン資格確認を導入した際の経験を活かし、方向性を打ち出した後に現場の実体の確認を行いつつ、求めに応じて関係団体等への説明会に参加するなど積極的に周知していく。運用にあたっては、個人情報の保護やセキュリティの確保といった面がある。オンライン資格確認を利用する際に利用規約を締結する必要があるが、そのなかで個人情報保護に対する取り組みやセキュリティへの配慮事項について示していく。

施術者:オンライン資格確認は必要であると考えている。スケジュールはタイトではあるが沿っていけるよう努力する。オンライン資格確認導入にあたってはネット環境が必要なため、各会員に環境を整えるよう通知している。また周知のために各都道府県単位でセミナーを行うことも検討している。

施術者:請求の際に保険証の確認がないと申請できないのは重々承知している。保険証が廃止されるのでオンライン資格確認には賛成しているが、廃止に基づいて導入に賛成しているというだけで廃止自体に賛成しているわけではない。オンライン資格確認の利用開始時には混乱も予想される。厚生労働省内に専門の問合せ窓口を設置していただきたい。

厚労省:専用コールセンターについては、ポータルサイト開設に合わせて調整を進め、導入支援を行うための相談を受け付ける準備をしている。

保険者:オンライン資格確認については適切に対応していきたい。オンライン請求に向けての大変重要な部分と考える。オンライン資格確認の開始にあたっては、施術者がその仕組みをしっかり理解できるよう周知と説明を徹底していただきたい。

施術者:ポータルサイトで端末の認証・登録を行うこととされているが、機器劣化や入れ替え等で登録し直すことも考えられる。スムーズに移行できる仕組みを検討してもらいたい。

施術者:いずれは公費受給者証の情報も反映されるようになるとありがたい。ぜひ検討課題としていただきたい。 

最後に、座長の〝(厚生労働省)事務局が提案する、柔道整復施術所において受領委任制度に来年4月からオンライン資格確認を導入し、令和6年秋に予定されている保険証の廃止にあわせ義務化することについては承諾いただけるか〟との問いかけに対し、各委員からは賛意が示された。

次回の専門委員会の開催日程は未定となっている。

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