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(公社)大阪府柔道整復師会、保険講習会を開催

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平成27年3月14日(土)、大阪柔整会館において公益社団法人大阪府柔道整復師会主催「平成27年大阪保険講習会」が開催された。

(公社)大阪府柔道整復師会
安田剛会長

(公社)大阪府柔道整復師会・徳山健司副会長の〝我々柔道整復師は今、しっかりとまとまらなければ業界の将来について語ることは出来ない。長時間の講演となるが最後まで宜しくお願いします〟との挨拶により開会し、主催者代表として登壇した(公社)大阪府柔道整復師会・安田剛会長は〝我々柔道整復師は、これから国民のためにどんなことをやっていけるのかということが大きな課題だ。日本の伝統医療、またそれが進化した中でどのように活躍することができるかをみんなで考えていかなければならない。そのためにまず私たちができることは、学ぼう、勉強しようという姿勢をしっかり持つということだ。柔道整復師の先生方が本当に厳しい状況にあるということは十分に分かっているつもりだが、自分たちのことばかり話していても前には進めない。今日は時間の許す限り皆さんと一緒に学び、それらを十分に反映させて国民に何が還元できるのかを考える機会にしたい〟と述べた。

「地域包括ケアと柔道整復師の役割」

岡山大学客員教授 宮島俊彦氏

岡山大学客員教授 宮島俊彦氏

宮島氏は〝地域包括ケアシステムは、生活上の安全・安心・健康を確保するために、病院だけでなく保健施設やリハビリ施設等を含め、地域全体で様々な生活支援サービスを提供する体制をいう。柔道整復師もその一翼を担っている。国際生活機能分類では麻痺をしたらそれを治そうという考え方から、麻痺が残っていても自分で活動・生活あるいは社会参加できるという状態をどう作っていくかという考え方に変わってきている。高齢化はどんどん進んでおり、2050年には団塊の世代が75歳以上に到達し超高齢化社会となる。2025年から2050年までの間に、高齢者数はそれほど変動しないが15~64歳の働く世代の人口は2000万人減少すると予測されている。高齢者とそれを支える世代との割合は1:3程度から1:1程度にまで傾く〟と高齢が急速に進む現状を解説し、問題を提起した。その上で〝これからは施設建設などのハード面ではなくソフト面をどう整えるかが重要となる。医師・看護師・ケアマネージャーなど専門職の人間関係の構築が高齢化に対抗する唯一の施策だ〟と強調した。

続けて、日本の医療供給状況について〝病院ベッド数は多いが医師や看護師の配置は少ない、民間病院や中小病院が多い、開業医は専門医である、老人医療費無料化の副作用としてはしご受診が多いなどの特徴がある。在院日数も他国に比較して長いが、地域包括ケアシステムにより訪問看護を行うなど在宅医療を充実させることで、早く退院させることができる。病院完結型から地域完結型への転換が唱えられている〟とし、地域包括ケアで抑えるべきポイントを実際に地域で取り入れられている事例を含めて解説した。

「柔道整復師の現状と将来の展望~過去・現在・未来~」

公益社団法人日本柔道整復師会会長 工藤鉄男氏

(公社)日本柔道整復師会
工藤鉄男会長

工藤氏は〝過去、柔道整復は度重なる危機に直面してきた。明治18年には明治医政改革により接骨禁止令が出された。しかし大正9年には按摩術営業取締規制改正により公認として復活した。そこから分裂を繰り返しながらも存続してきた〟と柔道整復の変遷を説明。数々の先人達により柔道整復が守られてきたことから〝柔道整復を自分たちのための制度だと考えてはいけない。日本柔道整復師会はすべての人が「利他の精神」で手当てをすることによって地域の生産性を高めていけるようにと活動している。そして今、高いハードルを越え各都道府県が公益社団法人へ移行し、「柔道整復師会」として名称を統一している。公益社団になったということは柔道整復が公益性を認められているということだ。業界統一のためにも、個人請求者も加入する全国柔道整復師連合会と共同歩調をとっていきたい〟と述べた。

また工藤氏は〝これからの少子高齢化時代に向けて、柔道整復師がいかに地域に貢献できる職業であるのかを示すためにも、様々なデータを収集しそれに基づいて業界を再構築していく必要がある〟と述べ、現在、元厚生労働省職員や元近畿厚生局指導管理官を日本柔道整復師会に招きデータの収集・分析に努めていることを明らかにした。

さらに日本柔道整復師会として政府や厚生労働省に対し、受領委任協定の見直しや卒後臨床研修の制度化などを要望しているとして〝様々な課題が山積しているが、それらに取り組んでいくのが日本柔道整復師会だ〟と力強く述べた。今なすべきこととして①業界秩序の再構築、②信頼関係の再構築、③伝統と改革のバランス構築の3点を挙げ、〝確かな知識・技術・誇り、さらに公益というモラルを備え持った柔道整復師が地域で施術にあたり、社会に貢献できる仕組みの構築を必ず実現する。そのために皆様の協力が必要だ〟と団結を求めた。

「柔道整復療養費について」

公益社団法人日本柔道整復師会保険部長 三橋裕之氏

(公社)日本柔道整復師会
三橋裕之保険部長

三橋氏は〝日本柔道整復師会は今年1月に「情報管理室」を立ち上げ、データの管理・分析を行なっている〟として、それらの情報に基づき講演を開始した。

平成24年度の柔道整復療養費推計については〝前年度比で減少しており、施術所1件当たりの請求金額はマイナス12.3%となった。しかし日本柔道整復師会の調査により、レセプト件数は平成22年以降徐々に増加していることが分かり、請求件数が減少したために柔道整復療養費が減少したわけではないことが判明した。減少した要因として、柔道整復師数の急増と保険者や外部委託業者による行き過ぎた調査の影響が大きいのではないかと考えられる〟と述べ、実例を含めて保険者による患者調査の実態について解説した。

柔道整復療養費料金改定については〝以前は6部位まで請求できていたが、平成4年に3~6部位目までが一斉に逓減をかけられ、それ以降堰を切ったように毎回逓減されている。民主党政権時の事業仕分けでは地域格差の問題が指摘され、そこからまた状況が厳しくなったように思う。現在は部位別請求として止まっているが、逓減率の強化として形を変えて進んでいる。現在の部位別請求を死守することが日本柔道整復師会に課せられた最重要課題だ〟とした。

しかしながら〝財務省からは「部位数に関係なく施術1回あたりの料金を定額とする算定方法に見直す」などの改革案も出されている。今はまだ議論されてはいないが、数年後には議題として上がってくるのではないか。柔道整復師の自賠責保険取り扱いについても問題視されている〟と関係省庁の柔道整復に対する見方が非常に厳しいものであることを示唆し、課題を解決していくために行っている日本柔道整復師会の活動について紹介した。

最後に(公社)大阪府柔道整復師会副会長・川口靖夫氏は〝これまでの大阪保険講習会においては大阪での事情を中心にお話しさせていただいていたが、今回は講師を外部から招き、初めて聞くような講演だったのではないかと思う。これから一生懸命学び、柔道整復術を広め、府民に貢献していきたい〟との挨拶があり、閉会となった。

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