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第3回柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会 開催

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平成28年5月19日(木)、厚生労働省共用第6会議室において、第3回柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(以下、カリキュラム検討会)が行われた。

尚、カリキュラム検討会は、碓井貞成氏(公益社団法人全国柔道整復学校協会長)、釜萢敏氏(公益社団法人日本医師会常任理事)、北村聖氏(東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授)、樽本修和氏(帝京平成大学教授・一般社団法人日本柔道整復接骨医学会)、長尾淳彦氏(明治国際医療大学保健医療学部教授・公益社団法人日本柔道整復師会)、成瀬秀夫氏(東京有明医療大学柔道整復学科長)、西山誠氏(国際医療福祉大学教授)、福島統氏(公益財団法人柔道整復研究試験財団代表理事)、細野昇氏(呉竹医療専門学校長)、松下隆氏(一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院外傷センター長)が構成員となっている。座長は北村氏が務めた。

初めに、厚生労働省より第2回カリキュラム検討会で出された主な意見と、それらを踏まえたカリキュラム改善の事務局案が説明された。また、細野構成員と碓井構成員から、各自提出した資料の説明が行われた。

カリキュラム検討会概要

総単位数・時間の引き上げについて

座長は、〝現行のカリキュラムの総単位数と履修時間は、85単位・2480時間となっている。1単位の目安は15時間以上30時間未満で、教える内容によって適宜増減させている。総単位数の引上げに伴う追加時間は、事務局は345時間、細野構成員は270時間を提案しており、75時間の差がある〟として、厚生労働省提出案と細野構成員提出案の各項目における追加時間の提案を比較し、差がある部分について意見を交換する形式で議論を進めた。

柔道整復術適応

座長:「柔道整復術適応」の部分については、自分が面倒を見られる疾患なのかそうでないのかを、正確に判断することが重要視されている。この能力は病気の知識があることとは別であり、しっかり教えなければ大きな事故に繋がりかねない。事務局案では「診断と適応」「各部位の外傷、疾患の適応」で2単位・60時間、「臨床所見からの判断」で2単位・60時間としている。一方、細野構成員の案では、「病態や検査所見、検査所見上の鑑別点」で1単位・15時間、「柔道整復施術適否の臨床的判定」で1単位・15時間とされている。これについて意見を伺いたい。

福島:病態や疾患についてはもともと学習しているので、事務局案では多すぎるのではないか。

松下:医科の内科診断学も実習に近い形で行っているが、とても重要だと考えている。60時間ずつは必要ではないにしても、重要なことでありそちらに教育がシフトしなければならないということを示す必要がある。

長尾:柔道整復術の適否判定では、画像を読む能力としてエコーなどで臨床的にどのような状態であるかを見極める能力も必要だ。来られた患者さんに対し、柔道整復術の適否を見極められるようになるような講義に絞ったほうが良いのではないか。

成瀬:医療過誤を防ぐためにも柔道整復術の適否の判断ができるようにしっかり教育することが重要。鑑別診断と同時に、柔道整復術の適応についても科目としてしっかり教育し、また医接連携も踏まえたうえで画像診断もできるようになるべきだ。

座長:柔道整復術適否は、本当に必要性を感じられているというご意見が多い。専門基礎分野の「病態や検査所見、検査所見上の鑑別点」で2単位・30時間、専門分野の「柔道整復施術適否の臨床的判定」で2単位・30時間としたい。内容としては、専門基礎分野は座学中心で整形外科の先生が臨床推論というのはこういうことだという考え方を、参加型のものを含めて学習する。専門分野は現場での症例とその対処についてグループワークを行うことを中心とする。総単位数は97とし、大事な項目はしっかり学習し、その代わり時間をかけなくていいところは削っていく。

保険の仕組み・職業倫理

座長:「保険の仕組み」と「職業倫理」について、事務局案は1単位・15時間ずつ、細野構成員の案は併せて15時間としている。保険については、学生のうちに施術にいくらかかるのかを教えた方が良いのか、それとも純粋に有効率や副作用だけ教えておいて現場に出てから学べばいいのか。

長尾:「保険の仕組み」については、受領委任払い制度を理解すれば良いだろう。お金の話は臨床研修の中で、接骨院での流れを実際に見れば体得できると考えている。

碓井:卒後すぐに開業してしまう柔道整復師が増えていることに問題を感じている。学校で保険について教えすぎると開業を促進してしまうリスクもあるのではないか。

成瀬:学生は保険が使えるというと、医科と同じだと考えているところがあるので、療養費や受領委任払い、私たちの立場について教育している。倫理を学習することは大切だが、保険の仕組みと倫理のそれぞれに15時間ずつも必要かどうかは疑問だ。

松下:医師も医療経済を知らずにやっていけば自分たちの仕事にも支障が出る可能性が高いため、現在は医療経済についても学んでいる。受領委任だけではなくて、医療経済が今どうなっていて危機的な状況だから真剣に考えなければと教えるのはいいと思う。

樽本:受領委任払いの方法を教えるだけではなくて、医療系の養成校として医療経済も含めて15時間としたほうが良い。

座長:「保険の仕組み」は、細かい点では受領委任払いはどういうものであるか等、大きな点では今後の医療情勢と柔道整復がどうあるべきかを考える。「保険の仕組み」としては、医療経済並びに保険の仕組み、そして「職業倫理」は、職業倫理・プロフェッショナリズムなどとするのはどうか。座長としては事務局案を採用し、各1単位・15時間ずつとすべきと考える。

ここからは、事務局案・細野構成員案の提案内容を基に、項目ごとに議論が進められた。

放送大学の単位取得による修得

座長:細野構成員の案に、基礎分野の科目の一部に放送大学の単位取得による修得を認めてはどうかというものがあるがどう考えるか。

松下:単位取得に厳しい条件があるということで、いい加減な人は単位が取れないという仕組みを作っておけばいいと思う。

細野:内容が濃く勉強するのが大変だが、それが身に付けば質の向上を担保する意味で良い。あくまで想定されているのは十数回なので、単位数は4~7単位と考えている。

釜萢:看護師2年課程の通信制では、通信だけであとはスクーリングでとる。専門分野を放送で教育するのは難しい。単位を互換できるのかという議論になると思う。

座長:放送大学は今までラジオとテレビしかなかったが、インターネットが使えるようになった。工夫すればできるかもしれないが、問題は本人が見ているのかわからず担保が難しい。

臨床実習施設の在り方について

座長:養成施設附属臨床実習施設以外における臨床実習の在り方について、事務局案で「柔道整復師臨床実習指導者講習会」(16時間以上の講習会)を修了した柔道整復師であることとの要件がある。この講習の仕組みについては、医師の臨床実習が必修化されたときに、各研修病院の指導者を作るために行ったもので、厚生労働省医政局長の印鑑のついた修了証を発行したら制度がうまく回った。すでに医師の6人に1人が受けている非常に良い仕組みで、2泊3日程度で終わる。

長尾:臨床実習施設以外の臨床実習に関して日本柔道整復師会で調査したところ、管理柔道整復師と勤務柔道整復師で計3名以上、開業歴5年以上という施術所は非常に少なく、1,000件前後だった。要件を考え直す必要がある。臨床例が多くないと実習にならないし、学生を預かるうえでの担保がどこにあるのかということを議論していかないと受け入れられないと思う。それらの点を考慮しながら3,000施設程度になるように調整している。

福島:臨床実習は平成30年からの実施は難しいと思う。新カリキュラムは平成30年から導入するにしても、臨床実習については移行期間を設けてもらいたい。

専任教員の見直しについて

座長:事務局からの提案に、教員の質を担保するため、専門分野の専任教員の要件であって、柔道整復師の免許を有する者の要件として、現行の「3年以上実務に従事」から「5年以上実務に従事」に改正してはどうかという内容がある。柔道整復教員の資格要件である講習会を5年の実務経験が終わってから受講すると実質6年となってしまう。

細野:5年以上の実務経験は、5年経てば教壇に立てるということであれば、4年目で講習を受けられるようにすればいいのではないか。

座長:医師の指導者講習も7年だが、7年経たずに講習は受講できる。実務経験が5年に達した時点で講習も修了していれば良い。2年間かけて講習を受けることも可能となる。

新カリキュラムの施行と経過措置について

座長:カリキュラムの移行措置について、事務局案では①新カリキュラムは平成30年4月1日施行と考えているが、それ以前の入学者は現行カリキュラムで卒業させる、②新カリキュラム適用に合わせて、教員増を学年進行に応じた増員とする、③平成32年4月1日施行の専任教員の要件の見直しに伴う経過措置については、2年とする、とされている。今年の卒業者でも教員になれるということで緩い移行措置ではあるがどう考えるか。

福島:専任教員の資格認定をいつから始めるのかにもよる。

座長:平成30年からでは遅い。要件を決めて来年から少しずつ進めなければならない。 とりあえず5年の実務経験がある者としておいて、その者はできるだけ速やかに講習会を受けることとし、3年を目途に講習を受けていないとアウトという移行措置を設けてはどうか。実習そのものを先延ばしにするのは良くない。

今回のカリキュラム検討会により、総単位数97単位は変更せず、最低履修時間は2,795時間となった。

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